2. 65歳以上で定年退職した場合は「高年齢求職者給付金」

65歳以上に定年退職をした場合は、高年齢被保険者を対象とした「高年齢求職者給付金」が受給できます。

2.1 【受給できる条件】

高年齢求職者給付金を受給するには、以下の3つの条件をすべて満たしている必要があります。

高年齢求職者給付金の受給条件

高年齢求職者給付金の受給条件

出所:ハローワークインターネットサービス「基本手当について」をもとにLIMO編集部作成

  • 離職日以前の1年間に、被保険者期間が通算6ヵ月以上ある
  • ハローワークに求職申し込みをしている
  • 現在失業中である

なお、「失業中」とは、失業保険のところでも触れたように、求職の申し込みをしており就職に対して積極的な意思や能力がある状態を指します。

そのため、家事や学業に専念する方や起業している方、次の就職先が決まっている方は対象外です。

2.2 【支給額】

高年齢求職者給付金は「基本日額×所定の日数」で計算された金額が支給されます。

基本日額とは、離職日以前の6ヵ月において毎月支払われた賃金の合計を180で割った金額の5割〜8割程度の金額となります(上限額・下限額あり)。

「所定の日数」は、加入者の被保険者期間に応じて以下のように決められています。

高年齢求職者給付金

高年齢求職者給付金

出所:厚生労働省「高年齢求職者給付金はこんな制度です!」を元に筆者作成

なお、高年齢求職者給付金は一時金で支給されます。公的年金との併給調整は行われないため、受給しても年金が減らされることはありません。

3. 失業保険と高年齢求職者給付金の違い

失業保険と高年齢求職者給付金は、どちらも退職した後に受給できるものですが、どのような違いがあるのでしょうか。具体的な違いを下表にまとめました。

4. まとめにかえて

65歳未満に定年退職をした場合は失業保険の受給対象になりますが、65歳以上の場合は高年齢求職者給付金の受給対象になります。

それぞれ受給要件が決められているため、内容を理解したうえでどちらを選択するのかを決めることが大切です。年金との併給が可能かどうかも異なるため注意しましょう。

参考資料

木内 菜穂子