北朝鮮が相次いで首脳会談を実現へ! 国際的な孤立は本当なのか

米朝会談の結果次第で日本は難しい立場に?

4月末に南北首脳会談実施、5月には初の米朝首脳会談の可能性も

韓国と北朝鮮が4月末に軍事境界線上の板門店で10年半ぶりの首脳会談を実施することで合意と発表されました。そればかりか、5月には米国との首脳会談が実現する見込みにもなったようです。

米朝首脳会談はまだ正式決定ではありませんが、実現すれば初開催となり、歴史的な政治イベントになることは間違いありません。トランプ・金正恩会談でお互いが向かい合う姿を想像しただけでも、多くの人が興奮してしまいそうです。

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北朝鮮の相次ぐ首脳会談実施で日本は難しい立場に?

改めて振り返ると、2018年の年明け以降進んだ融和ムードが、先の平昌五輪で北朝鮮の最高指導部の一員が訪韓したことで一気に本格化しました。ただ、首脳会談までには相応の時間を要するという向きが多かったため、今回の南北首脳会談の合意は世界中で大きな衝撃を持って受け止められました。

また、米朝首脳会談の実施見込みニュースは、それ以上の衝撃があると推測されます。

逆に、日本はやや難しい立場に立たされたと思われます。仮に、米朝首脳会談で雪解けムードが高まることになれば、北朝鮮と対立する日本が孤立する懸念もあるからです。

北朝鮮が大きな“戦利”を得た過去の南北首脳会談

朝鮮半島を南北に分断した朝鮮戦争(1950~53年)の休戦協定成立以降、南北首脳会談は2度行われました。場所は2度とも北朝鮮の首都である平壌で行われています。なお、敬称と肩書は省略しています(以下同)。

  • 第1回:2000年6月13~15日(韓国は金大中、北朝鮮は金正日)
  • 第2回:2007年10月2~4日(韓国は盧武鉉、北朝鮮は金正日)

様々な見方はあるでしょうが、会談後に韓国(民間企業を含む)からの大規模な経済協力などを引き出したことを勘案すると、2度とも北朝鮮の方がより大きな利を得たと言えるのではないでしょうか。

特に、世界中が注目した第1回会談では、それまで謎のベールに包まれていた金正日(キム・ジョンイル)が、ユーモアを交えた穏やかな対応を取ったことで、その人物像への見方が一転見直されたことも話題を呼びました。一方、韓国が得たのは、第1回会談の金大中がノーベル平和賞を受賞したことくらいかもしれません。

それにしても、過去2度の首脳会談を行った3人の国家元首(金大中、盧武鉉、金正日)は既に鬼籍に入っていることに、時の流れを感じてしまうのは筆者だけでしょうか。。

決して侮れない北朝鮮のイメージ転換戦略

今回の首脳会談は、今までの一連の経緯を踏まえると、第1回会談以上に注目度が高いと言えましょう。

また、現在の北朝鮮の最高指導者である金正恩(キム・ジョンウン)の素顔がやや謎めいていることは、第1回とよく似ています。金正恩の対応や行動次第では、彼に貼られた“危険人物”というレッテルが一時的に剥がれる可能性も十分あるのではないでしょうか。

北朝鮮がどのようなイメージ転換戦略を取って来るのか注目です。

日本が北朝鮮に持つイメージは『悪の枢軸』なのか?

ところで、大多数の日本人にとって北朝鮮という国は、拉致問題事件に始まり、一連のミサイル発射や核実験実施など、『悪の枢軸』というイメージが強いことは想像に難くありません。

また、昨年2月に起きたマレーシアでの金正男(キム・ジョンナム、異母兄弟)殺害事件の記憶も新しいところです。そして、“北朝鮮は世界で孤立している”と考える人も少なくないと推察されます。

実際、北朝鮮という国は、国際外交上でどのような位置付けにある国なのでしょうか。

国連加盟国の80%強が北朝鮮と国交関係を有する

結論から言うと、北朝鮮は、多くの日本人が思うほど孤立していないと言えます。現在、国連加盟国193カ国のうち162カ国が北朝鮮と国交を有しています(平成29年2月9日現在の外務省の北朝鮮基礎データによる。なお、国連加盟国数は195カ国という見解もある)。

ここで言う「国交を有する」とは、お互いを「国家」として承認するという意味であり、決して“仲が良い”ということではありません。しかしながら、国連加盟国の80%強が北朝鮮と国交関係を有しているという、厳然たる事実があります。確かに、韓国が188カ国と国交関係があるのに比べると少ないですが、“国際的に孤立している”とまでは言えなさそうです。

ちなみに、北朝鮮と国交関係を持たない主な国は、日本、韓国、米国、フランス、アルゼンチン、チリ、サウジアラビアなどです。

欧州諸国の対応はやや意外、英国やドイツは平壌に大使館を置く

このうち、日本人から見ると少なからず違和感を覚えるのが、欧州諸国の対応です。フランスなど一部を除く大多数が国交関係を有しているだけでなく、英国、ドイツ、スウェーデンなど主要国は、平壌に大使館を構えています。

大使館は在外公館の最上位に位置付けられ、当然、駐在大使もいます。表面上だけの国交関係ならば、大使館を設置することはないでしょう。欧州から見る北朝鮮という国は、日本人が思っているのと大きな乖離がありそうです。

なお、北朝鮮に大使館を置いている国は、これら欧州諸国に加え、中国、ロシア、イラン、インド、キューバなど全部で24~26か国と見られるとされています(一部不明)。

北朝鮮の新たな外交戦略に注目

北朝鮮という国が、意外なほど多くの国と国交関係を有していることがわかりました。しかしながら、「国交を有する=関係が良好」とは限りません。実際、国連の制裁決議発動に従う形で、北朝鮮と距離を置き始めた国々は多く見受けられます。

特に、後ろ盾であった中国との関係が、少なくとも表面上は冷え切っていることで、北朝鮮は経済的にも苦しい立場にあります。今回実施される南北首脳会談、および、その後に開催が見込まれる米朝首脳会談を経て、北朝鮮がこの状況を打破できるのか大いに注目したいと思います。

LIMO編集部

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LIMO編集部は、個人投資家向け金融経済メディアであるLongine(ロンジン)の執筆者である国内外大手証券会社で証券アナリストや運用会社のファンドマネージャーとして長年の調査や運用経験を持つメンバーやビジネス系インターネットメディアでの運営経験者等を中心に構成されています。国内のみならずグローバルの視点から、金融・経済ニュースや投資に関する知識・アイデア、ビジネスパーソンの役に立つ情報ををわかりやすくお届けします。