2024年1月19日、厚生労働省より2024年度の年金額改定が発表されました。

2024年度の年金額は物価や賃金の上昇を背景に2023年度から2.7%の増額。2年連続の年金額引き上げとなりました。

しかしながら、年金収入だけで老後生活をやりくりできるシニアは多くありません。

老後、年金だけに頼らない資金確保は必須といえるでしょう。

本記事では金融広報中央委員会の資料をもとに、60歳代・二人以上世帯の貯蓄額をみていきます。

また老後生活を支える柱の1つ「国民年金・厚生年金」の受給額も確認していきます。

1. 【60歳代・二人以上世帯】貯蓄3000万円台は何パーセントか

60歳代・二人以上世帯で「貯蓄3000万円以上」を達成している人はどれくらいいるのでしょうか。

金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和4年)」より、60歳代・二人以上世帯の貯蓄事情を確認します(金融資産を保有していない世帯を含む)。

1.1 【60歳代・二人以上世帯】の貯蓄3000万円以上の割合

  • 20.3%

1.2 【60歳代・二人以上世帯の貯蓄額】平均と中央値

  • 平均:1819万円
  • 中央値:700万円

 【ご参考】60歳代・二人以上世帯の貯蓄額一覧表(金融資産を保有していない世帯を含む)

  • 金融資産非保有:20.8%
  • 100万円未満:6.1%
  • 100~200万円未満:5.5%
  • 200~300万円未満:3.3%
  • 300~400万円未満:3.2%
  • 400~500万円未満:3.4%
  • 500~700万円未満:5.3%
  • 700~1000万円未満:6.1%
  • 1000~1500万円未満:8.6%
  • 1500~2000万円未満:5.7%
  • 2000~3000万円未満:8.8%
  • 3000万円以上:20.3%

貯蓄3000万円以上は2割となりました。

定年退職時にまとまった退職金を受け取った方もいるかもしれません。

なお、上記の貯蓄額には現金・預貯金以外に株式や投資信託、債券などの金融商品残高を含みます。

2. 老齢年金「国民年金&厚生年金」の平均受給額(月額)はいくらか

老後生活を支える柱の一つとなる老齢年金「国民年金&厚生年金」の平均受給額も確認しておきましょう。

厚生労働省年金局が公表した「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、2022年度末の国民年金の平均月額は、以下のとおりです。

2.1 国民年金(老齢基礎年金)の受給額

国民年金の平均受給額

国民年金の平均受給額

出所:厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」 をもとにLIMO編集部作成

  • 全体:5万6316円
  • 男性:5万8798円
  • 女性:5万4426円

2.2 【国民年金】受給額ごとの人数(1万円刻み)

  • 1万円未満:6万5660人
  • 1万円以上~2万円未満:27万4330人
  • 2万円以上~3万円未満:88万1065人
  • 3万円以上~4万円未満:266万1520人
  • 4万円以上~5万円未満:465万5774人
  • 5万円以上~6万円未満:824万6178人
  • 6万円以上~7万円未満:1484万7491人
  • 7万円以上~:178万3609人

2.3 厚生年金(老齢基礎年金)の受給額

厚生年金の平均受給額

厚生年金の平均受給額

出所:厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」 をもとにLIMO編集部作成

  • 全体:14万3973円
  • 男性:16万3875円
  • 女性:10万4878円

2.4 【厚生年金】受給額ごとの人数(1万円刻み)

  • 1万円未満:6万1358人
  • 1万円以上~2万円未満:1万5728人
  • 2万円以上~3万円未満:5万4921人
  • 3万円以上~4万円未満:9万5172人
  • 4万円以上~5万円未満:10万2402人
  • 5万円以上~6万円未満:15万2773人
  • 6万円以上~7万円未満:41万1749人
  • 7万円以上~8万円未満:68万7473人
  • 8万円以上~9万円未満:92万8511人
  • 9万円以上~10万円未満:112万3972人
  • 10万円以上~11万円未満:112万7493人
  • 11万円以上~12万円未満:103万4254人
  • 12万円以上~13万円未満:94万5662人
  • 13万円以上~14万円未満:92万5503人
  • 14万円以上~15万円未満:95万3156人
  • 15万円以上~16万円未満:99万4044人
  • 16万円以上~17万円未満:104万730人
  • 17万円以上~18万円未満:105万8410人
  • 18万円以上~19万円未満:101万554人
  • 19万円以上~20万円未満:90万9998人
  • 20万円以上~21万円未満:75万9086人
  • 21万円以上~22万円未満:56万9206人
  • 22万円以上~23万円未満:38万3582人
  • 23万円以上~24万円未満:25万3529人
  • 24万円以上~25万円未満:16万6281人
  • 25万円以上~26万円未満:10万2291人
  • 26万円以上~27万円未満:5万9766人
  • 27万円以上~28万円未満:3万3463人
  • 28万円以上~29万円未満:1万5793人
  • 29万円以上~30万円未満:7351人
  • 30万円以上~:1万2490人
  • ※国民年金部分を含む

老齢年金の平均受給額は厚生年金が月額14万円台、国民年金が5万円台でした。

厚生年金は現役時代の年金加入期間や収入により年金額が決定するため個人差が大きいものです。

ねんきん定期便やねんきんネットで、ご自身の年金見込額を確認してみることをおすすめします。

国民年金は40年間未納なく保険料を納付すれば満額が支給され、未納がある場合はその分減額されます。

保険料は全員一律ですが年度ごとに改定されるため、加入時期により満額が異なります。

ご参考までに2024年度は満額月額6万8000円です。

国民年金のみを受給される方は、貯蓄が3000万円あっても安心とはいえないでしょう。

仮に毎月貯蓄を15万円取り崩せば、年間で180万円。約16年で貯蓄が底をついてしまいます。

取り崩しのペースは世帯ごとに異なるものです。

年金見込額と老後の生活費を想定しておけると良いでしょう。

3. 老後に向けた計画的な資産形成を

これまで60歳代・二人以上世帯の「貯蓄3000万円以上の割合」を確認してきました。

家庭環境や社会情勢の変化により貯蓄できない場合もありますが、継続的に貯蓄を続けるためには、毎月の給料や収入から一定額を先に貯蓄し、残りのお金で生活していく「先取り貯金」が効果的です。

先取り貯金であれば、基本的に一度申し込みをすれば毎月一定額を貯蓄できるので、きちんとお金を貯めることができるでしょう。

また、先取り貯金は預貯金だけでなく、リスクはありますが投資信託などの積み立てといった運用もあります。

これを機に自身に合った貯蓄方法について考えてみてはいかがでしょうか。

参考資料

和田 直子