日本各地が梅雨入りする6月。湿った空気の影響を受けてか、なんとなくぼんやりとしてしまうこと、ありますよね。

ボーっとしていると、今やらないといけない仕事や勉強とは関係ないことを考えることも。時には、学生時代を思い出すこともあるかもしれません。

そこで今回は「学校用語の関西弁」をテーマに、学校でよく使う関西ならではの表現を紹介します。

大人になると使う機会がないものもあるため、「関西弁」と気づいていないフレーズがあるかもしれません。

関西弁1. 上靴

「上靴」

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学校に到着したら、まずはスニーカーやローファーから、室内用の履物に履き替えます。この室内用の履物、通っていた学校・地域では何と呼んでいましたか?

全国的には、「上履き」と呼んでいるところが多いのではないでしょうか。しかし関西では、「上靴」と呼ぶケースが多い傾向にあります。

どちらも建物の中で履く靴を指しているため意味は伝わるのですが、聞き慣れていないと違和感を覚えることも。

筆者も高校の修学旅行で沖縄県の生徒と交流会をしたとき、「上靴に履き替える」と言ったところ伝わらなかったことがあります。

ただし、「上靴」という呼び方は中四国の瀬戸内地域や九州北部でも使うという方がいました。

「ズック」と呼ぶところもあるようで、「上履き」が主流とはいえ、細かく見ていくと表現の仕方は地域によって異なります。

関西弁2. 三角座り

体育の授業や全校集会などで座るときの定番の体勢、「体育座り」。関西圏では「体育座り」と並んで、「三角座り」という呼び方もよく使われています。

足を折りたたんだときの形は三角形に見えますし、「三角座り」という呼び名が生まれるのも納得です。

日本各地には、「体育座り」「三角座り」以外にも、「体操座り」「安座(あんざ)」といった表現もあります。「体育座り」の呼び方で、相手の出身地を推測できるかもしれませんね。

関西弁3. 押しピン

「押しピン」

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掲示板や教室に紙を貼るとき、四隅にギュッと押し込む「画びょう」のことを、関西では「押しピン」と表現することがあります。

関東の人に「押しピン取って」と言ったところ伝わらず、関西を出て数年経ってから関西独特の表現だったと気づく人もいるほど、当たり前のように使われている表現です。

一方で、「関東でも”押しピン”という名称は使われている」との声も。

金属製の丸くて平らなものを「画びょう」、プラスチック製のものを「押しピン」と表現している人もいます。

関西以外では素材によって「画びょう」と「押しピン」を使い分けるケースもあり、方言かどうかという視点を超えた言葉とも言えますね。

関西弁4. よせて/よして

休み時間で遊ぶときや、授業で班を組んで活動するとき、「自分も入れて/混ぜて!」と声をかけたことがある方もいるでしょう。

関西では「入れて」「混ぜて」の代わりに、「よせて」「よして」と言うことがよくあります。

関西以外だと、「よせて」は「寄せて」と受け取れるため、聞き慣れていない人からすると「何を寄せるんだろう?」と疑問に思われることも。

関東の学校に進学したり、会社に就職したりした後で、「よせて」「よして」は関西ならではの言い回しだったことに気づく人もいるようです。

関西弁5. ○回生

「○回生」

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小学校から高校までは、1年生、2年生と学年を数えていきます。

関西では大学生の学年を数えるときだけ、1回生、2回生と数える人が多い傾向にあります。

関西で大学生の学年の数え方が異なる理由は、一説によると東京大学と京都大学の進級制度の違いにあると考えられています。

東京大学では学年ごとに決められた科目に合格しなければ進級できなかったため、学年が重要視されていました。つまり、2年生が留年したらもう一度2年生ということになります。

一方、京都大学では所定の単位を取得したら卒業できるため、大学に何年在籍しているかを示すように1回生、2回生という呼び方が定着したようです。

100年以上の歴史がある言い回しですし、関西の広範囲に広まっているのも納得です。

【番外編】机をつる

番外編として、関西6府県とともに近畿圏に含まれる三重県の、学校でよく使うフレーズを1つ紹介します。

それは、「机をつる」。「つる」を「釣る」と変換して少し混乱しそうになりますが、「机を運ぶ」という意味になります。

学校によっては、掃除の時間に机を運ぶ係「机つり係」を設けているところも。

掃除の時間や席替えで机を運ぶとき、「机つってー!」と号令がかかる様子が、学校ではよく見られるようです。

意外と気づかないかも!?学校で使っている地元の言葉

今回は、学校用語の関西弁を少しだけ紹介しました。子どもの頃から学校で当たり前のように使っていると、関西を離れてから地元ならではの言葉だったと気づくことも少なくありません。

関西に限らず、地元ならではの学校用語は日本各地にあります。最後に紹介した「机をつる」は、愛知県でも使うとの声も多く見られました。

学校でよく使っている・使っていたあの言葉も、もしかすると地元だけの表現かも!?心当たりのある言い回しがあったら、ぜひ周りの人と共有してみてくださいね。

※地域により異なります。また由来には諸説あります。

参考資料

太田 彩子