わたしたちの老後生活を支える「年金」ですが、2023年度の水準は3年ぶりにプラス改定となります。

しかし、昨今の物価上昇には追いつけず、高齢者にとって厳しい懐事情となりそうです。

そんな公的年金ですが、国民年金を含む厚生年金を、月平均で30万円以上も受け取っている「高額受給者」がいます。

全体の割合等について詳しくみていきましょう。

【注目記事】厚生年金220万円なら「後期高齢の保険料」が10万円天引き!容赦ない手取りに愕然

1. 年金は「国民年金と厚生年金」の2階建て

日本の公的年金制度は「2階建て」と呼ばれています。

1/3

出所:日本年金機構「国民年金・厚生年金保険 被保険者のしおり」(令和4年4月)、厚生労働省「日本の公的年金は『2階建て』」をもとに、LIMO編集部作成

出所:日本年金機構「国民年金・厚生年金保険 被保険者のしおり」(令和4年4月)、厚生労働省「日本の公的年金は『2階建て』」をもとに、LIMO編集部作成

国民年金は、日本では20歳から60歳までのすべての人に加入が義務づけられています。一方、「厚生年金」は、主に公務員や会社員が国民年金に上乗せして加入します。

国民年金には満額があり、納付期間が足りなければ差し引かれるという性質ですが、厚生年金は在職中の給与と加入期間によって異なります。

つまり、厚生年金に加入している方は比較的手厚い年金額になりますが、現役時代の稼ぎに左右されるということです。

では、厚生年金を30万円以上受け取っている高額受給者はどれくらいいるのでしょうか。最新データから見ていきます。

2. 厚生年金「30万円以上」の割合を計算

厚生労働省は2022年12月、「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を公表しました。

こちらによると、国民年金を含む厚生年金の平均受給額は14万3965円です。

受給額1万円ごとの人数も見ていきましょう。

2/3

出所:厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

出所:厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

  • 1万円未満:9万9642人
  • 1万円以上~2万円未満:2万1099人
  • 2万円以上~3万円未満:5万6394人
  • 3万円以上~4万円未満:10万364人
  • 4万円以上~5万円未満:11万1076人
  • 5万円以上~6万円未満:16万3877人
  • 6万円以上~7万円未満:41万6310人
  • 7万円以上~8万円未満:70万7600人
  • 8万円以上~9万円未満:93万7890人
  • 9万円以上~10万円未満:113万5527人
  • 10万円以上~11万円未満:113万5983人
  • 11万円以上~12万円未満:103万7483人
  • 12万円以上~13万円未満:94万5237人
  • 13万円以上~14万円未満:91万8753人
  • 14万円以上~15万円未満:93万9100人
  • 15万円以上~16万円未満:97万1605人
  • 16万円以上~17万円未満:101万5909人
  • 17万円以上~18万円未満:104万2396人
  • 18万円以上~19万円未満:100万5506人
  • 19万円以上~20万円未満:91万7100人
  • 20万円以上~21万円未満:77万5394人
  • 21万円以上~22万円未満:59万3908人
  • 22万円以上~23万円未満:40万9231人
  • 23万円以上~24万円未満:27万4250人
  • 24万円以上~25万円未満:18万1775人
  • 25万円以上~26万円未満:11万4222人
  • 26万円以上~27万円未満:6万8976人
  • 27万円以上~28万円未満:3万9784人
  • 28万円以上~29万円未満:1万9866人
  • 29万円以上~30万円未満:9372人
  • 30万円以上~:1万4816人

これにより、30万円以上の高額受給者は1万4816人、全体の0.13%であることがわかります。

ちなみに男性は1万4455人の0.13%。女性は361人の0.01%です。かなりの少数派と言えるでしょう。

3. 厚生年金保険料はいくら納めるか

ここで気になるのが、これだけの年金を受給するために納める「厚生年金保険料」ではないでしょうか。

保険料が決まる過程を見ていきましょう。

3/3

出所:日本年金機構「老齢年金ガイド 令和4年度版」

出所:日本年金機構「老齢年金ガイド 令和4年度版」

  • 2003年3月以前:平均標準報酬月額×7.125/1000×2003年3月までの加入期間の月数
  • 2003年4月以降:平均標準報酬額×5.481/1000×2003年4月以降の加入期間の月数

「標準報酬月額」は、4月から6月までの収入額に基づいて算出されます。

標準報酬月額を厚生年金の「保険料額表」にあてはめることで、年金保険料が決まっていきます。

年金保険料は、会社と自己負担で折半し、毎月の給与から天引きされます。

では、年金を多くもらえる人の厚生年金保険料はどのくらいでしょうか。日本年金機構の「標準報酬月額表」から、30段階目以上の年金保険料の負担額(会社と折半した後の金額)を確認します。

  • 30段目…5万3985円(標準報酬月額:59万円)
  • 31段目…5万6730円(標準報酬月額:62万円)
  • 32段目…5万9475円(標準報酬月額:65万円)

4. 厚生年金「高額受給者」になるのは至難の技

今回は、国民年金を含む厚生年金が「月30万円以上」の方の割合を見ていきました。

保険料を多く納めれば年金額が上がりますが、現状では保険料の上限が5万9475円となっています。

上限がある以上、40年間の収入を約65万円にキープするのは難しいでしょう。

確かに30万円以上を受給する方は存在するものの、目指すのは至難の技と言えます。老後に収入源を確保したい場合、公的年金だけでなく、他の収入源も取り入れる方が現実的でしょう。

iDeCoや個人年金保険など、現在の税負担も軽減しながら老後資金を確保する方法もあります。

老後に向けて不労所得を目指すのも一つですし、長く働くためにスキルアップや健康づくりに励むのもいいでしょう。

まずは、ご自身のライフプランを考えてみる時間を設けてみることをおすすめします。

参考資料

太田 彩子