さて、先ほどは貯蓄が多い都道府県について述べましたが、その上位10都道府県の中からネット貯蓄が多い都道府県を見てみましょう。

すると、第3位は和歌山県の1.356万円、第2位が福井県の1,398万円。そして第1位が1,520万円で香川県でした。

そう、「うどん県」こと香川県がネット貯蓄の一番高い県だったのです。東京都の1,178万円と比較してもその水準の高さが見て取れると思います。

ちなみに、貯蓄上位10都道府県におけるネット貯蓄の3位以降は、第4位が奈良県、第5位が富山県、第6位が愛知県、第7位が三重県、第8位が神奈川県、第9位が東京都、第10位が千葉県となっています。

貯蓄の少ない県は?

最後に貯蓄の少ない県について見ておきます。

貯蓄の少ない県の第3位は鹿児島県の948万円、第2位は青森県の862万円、第1位は沖縄県の575万円です。鹿児島県と沖縄県はそれぞれ農業が盛んな地域ですが、本州において首都圏からもっとも離れた「県」というのが印象的です。

また、先ほどもふれたネット貯蓄では、鹿児島県が434万円、青森県が471万円、沖縄県が87万円となっています。沖縄は貯蓄も少ない一方、負債もあるためにネット貯蓄が少なくなっています。

まとめにかえて

いかがでしたでしょうか。貯蓄と負債からは都道県別の格差も見えてくるのではないでしょうか。

少子高齢化に伴い労働人口が減少していく中、地方創生が叫ばれる一方、都心回帰を進めることで都市の効率化を訴える人もいます。

ただ、あくまでも一つの切り口ではありますが、貯蓄と負債の「平均値」という統計上の数字を見ると、実際には必ずしも首都圏が豊かだというわけではありません。平均した富は地方の方が魅力的にも見えます。

「働き方改革」の議論が盛んになっていますが、子供を持つ世代には単純にテレワークで家で働けるというだけではなく、安心して子守りを任せられる父母や祖父母が近くに住んでくれている方が、よほど気分的にゆとりをもって生活できると感じている人もいるのではないでしょうか。

夏休みに実家に帰省してみた時に、あらためて故郷のおカネ事情について考え直してみても面白いかもしれません。

青山 諭志