2019年に「老後2000万問題」が話題になり、はや4年。最近はあまり話題にならなくなりましたが、当時は老後どうなるのだろうと思った人も多かったと思います。

人生100年時代といわれる現代、公的年金の減少や生活必需品の相次ぐ値上げなどで長生きする時代の新しい問題がでてきました。

今回は、日本の60代のお金事情にフォーカスします。

60代といえば、定年退職を迎えたり、教育費のかかる時期がひと段落したりと、金銭的な余裕がうまれやすいタイミング。そろそろ老後資金の準備を始めようと意気込んでいる人も、いるかもしれません。

たしかに、最近では定年延長や再就職といった選択肢も増えてきています。しかし、「60代になってから貯蓄する」という考えには注意が必要です。

では早速、熟年世代のお金事情をひもといていきます。

1. 60代の平均貯蓄額

まずは金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年)」を参考に、60歳代二人以上世帯の貯蓄額についてまとめていきます。

平均だけでなく「金融資産保有額」ごとの人数も記載しているので、より実態がわかりやすくなっています。

出所:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年)」をもとにLIMO編集部作成

1.1 60歳代世帯「金融資産保有額」(※金融資産を保有していない世帯を含む)

・平均:2427万円
・中央値:810万円

1.2 保有額ごとの人数割合

・金融資産非保有:19.0%
・100万円未満:6.4%
・100~200万円未満:4.8%
・200~300万円未満:3.4%
・300~400万円未満:3.3%
・400~500万円未満:2.6%
・500~700万円未満:5.9%
・700~1000万円未満:5.3%
・1000~1500万円未満:8.4%
・1500~2000万円未満:6.0%
・2000~3000万円未満:9.6%
・3000万円以上:22.8%
・無回答:2.6%

3000万円以上を保有する世帯は22.8%いることがわかります。一方、「金融資産を保有していない」という世帯も、19.0%います。