厚生年金の被保険者なら「遺族基礎年金」「遺族厚生年金」どちらも受け取れる
厚生年金保険の被保険者だった人が亡くなったときに支給されるのが、遺族基礎年金と遺族厚生年金です。
その際、たとえば亡くなった会社員や公務員の妻に子どもがいなければ、遺族基礎年金は支給されず、遺族厚生年金だけを受け取ります。
一方、妻に子どもがいれば、遺族基礎年金と遺族厚生年金の両方が受け取れます。
支給条件
ただし遺族厚生年金を受給するには、以下3つの条件、いずれかを満たす必要があります。
- 厚生年金の被保険者が亡くなったとき、または加入中の傷病がもとで初診の日から5年以内に死亡したとき(遺族基礎年金と同様の保険料納付要件を満たした人が対象)。
- 老齢厚生年金の受給資格期間が25年以上ある者が死亡したとき。
- 1級・2級の障害厚生(共済)年金を受けられる者が死亡したとき。
支給対象
死亡した人に生計を維持されていた以下の遺族のうち、最も優先順位の高い方が受け取ることができます。
- 第一順位:配偶者と子
- 第二順位:父母
- 第三順位:孫
- 第四順位:祖父母
遺族基礎年金の支給対象と比べて、範囲が広がりました。
子・孫については、18歳到達年度の末日を経過していない、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の場合が条件です。
また、配偶者には夫も含まれます。夫、父母、祖父母は55歳以上が条件です。
支給額
遺族基礎年金の支給額は、上述のとおり一律に定められています。しかし遺族厚生年金の支給額は、亡くなった人の厚生年金に加入していた期間の報酬額によって異なります。
およその金額としては、死亡した人の老齢厚生年金で受け取る報酬比例部分の4分の3になります。
2020年度(令和2年度)の厚生労働省年金局「厚生金保険・国民年金事業の概況」によれば、遺族厚生年金の平均月額(遺族基礎年金を含む)は8万892円です。
年間の受給額としては、8万892円×12ヵ月=97万704円ほどになります。人により金額は異なりますが、目安として捉えておけばよいでしょう。
遺族厚生年金は、一生涯受給できる年金です。しかし、遺族厚生年金を受給している妻が結婚した場合、遺族厚生年金を受給している子どもが養子になった場合など、失権することになりますので、注意しましょう。