先日、友人に初めてファンドを購入するためのアドバイスをしました。その際に友人は、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて市場が底を打った2020年3月23日を指して、「なぜこの時に投資するよう勧めてくれなかったんだ?」と聞いてきました。

これは、初めて投資する人にありがちな質問です。投資には、「明日市場が暴落したらどうする?」という懸念が常にあります。問題は、底値で投資したり市場の暴落を回避したりするタイミングは、後になって振り返った時にしか分からないということです。

複利を効果的に活用する

では、投資のタイミングを知るにはどうすればよいでしょうか。どのファンドマネージャーに投資の仕方を尋ねたとしても、異口同音に「なるべく若いうちに、定期的に投資を始めること」というアドバイスが返ってくると思います。

このような投資方法は手軽なだけでなく、リターンを最大化できるおそらく最良の戦略の1つといえます。

その理由は、第一に、若いうちに定額投資を始めれば、複利を享受することができるからです。「複利」はよく耳にする言葉ですが、その効果を本当の意味で理解している人は少ないと思います。

21歳から26歳までの5年間、年間のリターンが5%のファンドに毎月500ポンドを投資した場合、その後一切その他の投資を行わなかったとしても、65歳の誕生日に25万ポンド近い金額を手にすることになります。逆に、35歳の誕生日から投資を開始して25万ポンドを手にするためには、65歳まで毎月300ポンド近い投資が必要です。

ウォーレン・バフェットはかつて、自分の投資が成功した3つの要因のうち1つは複利にあると述べましたが、上記の例を見ていただければ、その理由がお分かりになるでしょう。

ドルコスト平均法はパニック時の安値買いに最適

第二に、投資のプロは、積立投資をすることで損失額と平均購入単価を平準化することができ、相場がボトムアウトした後の早期回復に役立つことを知っているからです。

これは、市場の下落局面でも投資し続け、価格が低い時に株式をより多く購入する「ドルコスト平均法」の効果によるものです。これによりファンド投資の平均買付単価を押し下げ、ポートフォリオの価値の下落率を大幅に抑えるわけです。

ファンドマネージャーが積立投資を勧めるもう1つの理由は、パニックに陥った投資家の売りで株価が下落した時に安値買いができるからです。

値下がりが始まると人々は不合理な行動をし始め、狼狽売りをするか、投資を一切やめてしまいます。恐怖によって価格が人為的に低くなるため、実際にはこれが最高の買い時になることがよくあります。

積立投資するだけで、市場の下落局面での買いのタイミングについて考えることなく、自動的に最適なタイミングを選択していることになるわけです。投資するために「時期を見極め」ようとするとチャンスを逃がすことが多くなりますが、ファンドに定額積み立てをすることによって、チャンスを逃すことも無くなるでしょう。

投資家の中には完璧なエントリーポイントを見つけようと投資する時期に何カ月も頭を悩ませる人がいます。現実には、投資の時期を完璧に見極めることは非常に難しく、理想的なエントリーポイントは事後にならなければ分からないものです。

ファンドマネージャーが長期にわたり金額を分けて投資するのはこのような理由からであり、個人投資家もそれに従うのが理にかなっています。

投資期間は長いほどよい

最後に、積立投資は優れた投資法であり、ファンドマネージャーは定期的に投資することによる効力を認識しています。投資期間が長ければ長いほど、利益も増加します。

金額にかかわらず、毎月積立投資をすれば、時間の経過とともに資産が形成されます。理想的には、収入の中から一定の金額を投資すると、時間の経過とともに収入が増減しても将来の備えを増やすことが可能です。

積立投資は資産を増やすパワフルな方法であり、早く始めることに越したことはありません。時間と積立投資を味方につければ、短期のボラティリティを乗り切り、市場に投資する時期を見極めようとして投資し損なうことも回避できるようになるでしょう。