株式市場の振り返り-狭い価格レンジ内で推移しながら続伸、新興市場は4連騰

2016年9月1日(木)の東京株式市場は小幅続伸となりました。日経平均株価は前日比+0.2%の上昇、TOPIXも+0.6%の上昇で引けています。また、新興株式市場の東証マザーズ総合指数は+0.7%上昇して4日続伸となりました。

日経平均株価は、NY市場の下落などを受けて前日比▲2円安で寄り付いた後、すぐに▲22円安となります。しかし、その後は徐々に切り返し、後場の開始後には一時+53円高となる場面が見られました。大引けに掛けては一進一退となり、結局、+39円高の16,926円で終わっています。一日の値幅は僅かに75円という狭いレンジでの推移となりました。

東証1部で上昇したのは1,182銘柄、値下がり656銘柄、変わらず134銘柄でした。東証1部の出来高は18億4,374万株、売買代金は1兆9,541億円(概算)となっています。売買代金は再び2兆円割れとなりましたが、様子見スタンスが強かったことを考えると、まずまずの水準かもしれません。

セクター動向と主要銘柄の動き-25業種が上昇、銀行など金融関連に買いが集まる

東証1部で上昇したのは25業種、下落したのは8業種でした。上昇率の上位には、銀行など金融関連、医薬品などのディフェンシブ業種、小売など内需関連が名を連ねています。他方、下落した業種には、鉱業など原油価格下落に係わる業種が多く見られました。

個別銘柄では、エーザイ(4523)が大幅上昇となり、アステラス製薬(4503)や武田薬品工業(4502)などの薬品株も値を上げました。また、村田製作所(6981)も大幅高となった他、ソフトバンクグループ(9984)やKDDI(9433)が上昇し、セブン&アイ・ホールディングス(3382)や任天堂(7974)が堅調に推移しました。一方、ファーストリティリング(9983)やファナック(6954)が値を下げ、コマツ(6301)や日本電産(6594)も冴えない動きに終始しました。

東証マザーズ市場の動き-寄り付き後のマイナスを跳ね返して、総合指数は4日続伸

東証マザーズ総合指数は、寄り付き直後はマイナス圏に沈みましたが、その後は切り返して堅調に推移しました。終わってみれば、久々の高値引けとなる4日続伸となっています。ただ、出来高は4,694万株、売買代金は625億円に止まり、いずれも前日よりは減少しています。なお、騰落状況は、値上がり111銘柄、値下がりは102銘柄、変わらず9銘柄となりました。4日続伸となったものの、まだ資金流入は起きていません。閑散相場を打破するような物色テーマや材料が欲しいところです。

個別銘柄では、前日と同様に、そーせいグループ(4565)、アンジェス MG(4563)、アキュセラ(4589)など医療バイオ関連銘柄が不振に終わりました。ただ、前日にストップ高だったグリーンペプタイド(4594)は小幅続伸となり、相対的には健闘したと言えます。また、不安定な株価の動きが続くCYBERDYNE(7779)は+5%超の大幅上昇となり、前日に続く上昇となりました。ようやく、株価底打ちの期待が高まっています。小型株ではCRI・ミドルウェア(3698)、LITALICO(6187)、アイティメディア(2148)などの上昇が目立ちました。

本日(9月2日)の注目点-雇用統計発表前で様子見スタンスの中、粗い値動きにも注意

2016年に入ってから、月初第一営業日は波乱が起きるパターンが多かったのですが、今月は非常に静かな動きに終わりました。日中の値幅(高値と安値の差)は僅か約75円でした。しかし、雇用統計発表を控えた2日(金)は、その反動等を含めて、粗い値動きとなる可能性があります。様子見スタンスが強い時は、1日のような静かな動きと、揺さ振りが仕掛けられる粗い値動きの2パターンがあります。

2日も大きな冒険をする必要はありません。雇用統計の発表如何で、為替相場が大きく動く可能性があるため、“円安か?円高か?”のような博打に近い先読み投資はリスクが大きいと言えます。その分、為替影響に左右され難い医薬品セクターなどに注目するのも一考に値しましょう。

一方、知らず知らずのうちに4連騰となったのが新興市場です。ただ、まだ資金流入の動きはありません。7月から始まった東証マザーズ先物指数の影響が出ているかもしれませんので、底打ちを判断した積極的な投資スタンスは時期尚早と言えましょう。大型株の動向を見極めてからでも遅くはないと考えられます。

青山 諭志