パーソルHD、1Q売上高は前年比+0.9% コロナで減収のCareer SBUを人材派遣事業でカバー

2020年8月12日に行なわれた、パーソルホールディングス株式会社2021年3月期第1四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:パーソルホールディングス株式会社 代表取締役社長 CEO 水田正道 氏\nパーソルホールディングス株式会社 執行役員 CFO 関喜代司 氏

2021年3月期第1四半期決算概要(連結)

関喜代司氏:パーソルホールディングス株式会社で財務を担当しています関です。本日はお忙しい中ご参加いただき、誠にありがとうございます。本日の2021年3月期第1四半期決算説明会は、通常の決算説明に加え、計画の見直しのために発表を延期していた中期経営計画についても合わせて説明したいと思っています。

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本日ご報告する内容のうち、2021年3月期第1四半期決算概要については私から、2030年に向けた当社の目指す姿、中期経営計画2023、2021年3月期業績予想については社長の水田からご報告したいと思います。

それでは、第1四半期決算についてご説明します。当第1四半期は、新型コロナウイルス拡大の影響を受け、不確実性の高い、大変厳しい事業環境でした。このような環境下ではありますが、売上高については、新型コロナウイルスの影響を受けたCareer SBUにおける減収を、主力事業である人材派遣事業の堅調な推移によってカバーするかたちとなり、売上高は微増という結果になりました。

一方、営業利益については、コロナ影響を多大に受けたCareer SBUの減収が影響し、グループ全体としては減益という結果となりました。なお、5月に開示した第1四半期業績予想対比においては、売上高、利益水準ともに上回る着地となったわけですが、とくに利益面については、上限として出しましたレンジを大幅に上回る結果となりました。この中身について、次ページでご説明します。

2021年3月期第1四半期決算概要(営業利益の上振れ要因)

4ページでは、5月に開示した第1四半期の営業利益から実際の当期第1四半期の実績についての間の内訳を表示しています。5月に開示した第1四半期の営業利益予想は、15億円から30億円でしたが、結果として、営業利益は90億円超の実績となりました。

営業利益が上振れた主な要因は、Staffing SBUにおいて、期初の見立てよりも全日休業となる派遣スタッフが少なく、想定ほど売上が落ち込まなかったことや、業務受託を行なっているBPOサービスの事業が極めて順調に推移したことがあります。

2021年3月期第1四半期決算概要(SBU別 売上高)

次に、今お伝えした全体の状況をSBUごとにご説明します。まず売上高についてですが、Staffing SBUにおいては、派遣スタッフの休業者数等のネガティブ要素の影響が想定より小さかったこと、また、繰り返しになりますが、BPO領域において新規の案件獲得が順調に進んだことから、前年同期比6.9パーセントの増収という結果となりました。

次にCareer SBUについてですが、こちらは前年11月に「an」事業を撤退したことに加え、新型コロナウイルスの拡大影響による受注減少の影響もあり、前期と比べて大幅な減収となりました。ただし、第1四半期を見た場合、4月については大きな受注減となったということではありましたが、5月、6月にかけては、徐々に回復基調にあることも補足したいと思います。

次に、Professional Outsourcing SBUについてですが、こちらにおいては、エンジニアリング領域を中心に一部未稼働のスタッフが発生したものの、IT領域を中心とした旺盛な需要を取り込むことに成功し、全体としては2桁の増収となりました。

一方、Solution SBUにおいては、新型コロナウイルスの影響によって、中堅中小企業の人件費の抑制の動きや飲食店の全体的な営業自粛要請など、社会全体の動きが影響し、足元の需要は多少弱含みとなっています。しかし、新規の事業領域については、順調に事業拡大を図れていると考えています。

なお、Solution SBUの中で1つの事業領域として展開してる転職アプリ事業「ミイダス」は、原則的な会計処理方針を当期から適用しており、この影響で3億8,000万円の影響額があるため、全体として減収となっています。

Asia Pacific SBUは、オーストラリアドル安などのために減収となりました。しかし、現地通貨ベースでビジネスを見ると、PERSOLKELLYにおいては人材派遣事業が好調であり、プログラムの事業全体においても、メンテナンス事業も安定的に推移しています。

Asia Pacificの決算期については、日本と違い、1月から12月で決算を組んでおり、当第1四半期の業績は現地における1月から3月の実績となっています。したがって、新型コロナウイルスの影響としては、今回の第1四半期決算ではなく、第2四半期以降の決算、業績に表れるかたちとなります。

2021年3月期第1四半期決算概要(SBU別 営業利益)

営業利益についての全体内容をご説明したいと思います。先ほどもご説明しましたが、Staffing SBUは前年同期比で増益となりました。その増収効果に加え、確実な受注に取り組んでいましたBPO領域において、継続的に収益改善に取り組んだ結果、採算性も合わせて改善していることも、Staffing SBUの数値に寄与していると考えています。

Career SBUについては、当初から景気の減退を感知していましたので、経営努力としてコスト削減に取り組む中で、コロナ影響を大きく受け、減益となりました。ただし、期初に発表した予想よりは増収となったことから、営業利益も予想値に関しては上回る結果となっています。

Professional Outsourcing SBUにおいては、未稼働の技術者が一定存在するものの、増収の効果やコスト削減に注力したことにより、全体のSBUとしては増益となりました。

Solution SBUについては、コロナの環境下で積極的なマーケティング投資を控えた結果、販管費全体が減少し、予想より赤字額は減少しました。なお、利益面においても、「ミイダス」の原則的会計処理方針の適用における影響額が利益ベースで3億6,000万円もあり、減益要因となっています。

Asia Pacific SBUについては、主に中国で展開している収益性の高い人材紹介事業において、当第2四半期内でコロナウイルス感染拡大の影響を受けたこともあり、前年同期比では改善しているのですが、SBU全体としては赤字という結果になっています。以上、簡単ではありますが、グループ全体とSBUごとの売上および利益の推移について私からご説明させていただきました。

価値創造ストーリー

水田正道氏:水田でございます。私からは、2030年に当社が目指す世界、2023年3月期までの経営計画、今期の業績予想について発表したいと思います。

ご覧のスライドは、5月の決算発表でご説明した価値創造ストーリーです。我々が描く、この価値創造ストーリーと新しい働き方、雇用のあり方を提案し、個人のワークエンゲージメントを向上させていきたいと思っています。そのために、価値創造の源泉、重点的な戦略を定義しています。

パーソルが目指す世界 グループビジョン

我々のビジョンは、「はたらいて、笑おう。」です。これを一人でも多くの方に体現していただくために、我々は精一杯努力していきたいと思っています。スライドに記載していますが、とくに自分で自分のことを決めていくことが、「はたらいて、笑おう。」の必須条件だと思っています。働いたことが、世のため人のためになり、誰かから喜んでもらうことを実感するなど、自分が必要とされていることを実感することは、「はたらいて、笑おう。」体感するために絶対必要なことだと思っています。

2030年 世界の”はたらく” の変化

我々が描いている2030年に向けた“はたらく”の変化です。これからは、70歳まで普通に働くことになると思います。一方で、事業の寿命は年々短くなってきています。テクノロジーの進歩は非常に速く、あらゆる働き方を変えていきます。ということは、必然的にジョブチェンジやキャリアチェンジが頻繁に起こっていくということです。さらに、コロナウイルスの影響がこの動きを加速度的にしていくと考えています。

パーソルの強み 価値創造の源泉

続いて、我々の強みです。我々は、はたらく個人に誠実に寄り添い、人材、価値ある情報、健全な財務基盤を駆使して、チャレンジ、イノベーションをどんどん起こしていくことが、我々の文化だと思っています。この文化が非常にうまく融合していると思いますし、これを当たり前のことにしていきたいと思います。文化に勝る戦略はないと思っていますので、大事に育んでいきたいと思います。

グループ重点戦略

続いて、重点戦略です。なによりも、「はたらいて、笑おう。」というビジョンに取り組むためには、自分自身で選んでいくことが絶対必要だと思います。個人にフォーカスしていき、テクノロジーを武器にして、新しい働き方を支援していくのと同時に、新たな価値ある事業を創出していきます。そして、この我々のビジョンを世界に展開し、世界の人々から共感をいただきたいと考えています。

パーソルが目指す社会的価値・経済的価値

我々の目指す社会的、経済的な価値についてです。今回、新たに5つのSBU体制で移行していきたいと思います。それぞれのステークホルダーに、「はたらいて、笑おう。」を指標化していきたいと思います。働いて笑える方が増えれば増えるほど、それが我々の経済的、社会的価値を向上すると固く信じています。

パーソルが達成に貢献するSDGsとサステナビリティ方針

また、SDGs達成に貢献していきたいと思います。なお、統合報告書を作成しており、今年度中に公表する予定です。

前中期経営計画(17/3期~20/3期)の振り返り

3ヶ年の中期経営計画についてご説明します。まずは、2016年5月に設定した前中期経営計画の振り返りを簡単にしたいと思います。最初に定量的な振り返りです。2016年度は売上7,500億円、営業利益450億円、EBITDA600億円でスタートしました。2018年にProgrammed社をM&Aしましたので、売上9,800億円、営業利益480億円、EBITDA630億円という、新たな定量的な目標を設定しています。

しかし、今回は残念な結果に終わっています。定量的な目標は達成できませんでした。みなさま非常におなじみでお世話になった「an」事業の撤退に伴うものが一つの大きな要因です。それ以外の我々の大事な営業基盤である派遣スタッフ数、「doda」における新規登録者数、国内の法人のお客さまの数は順調に増加しています。

前中期経営計画の振り返り(戦略)

戦略面の振り返りです。5つの戦略を掲げています。パーソルへのブランド変更、いろいろなIT投資、グループシナジーの創出に関しては、一定の成果が出たと考えています。一方、アジア・パシフィック地域における量的な拡大はできましたが、残念ながら多額の減損を出してしまったことは反省しなければいけないと思っています。

中期経営計画2023の全体方針

2020年全体の経営計画の基本方針です。ステークホルダーのみなさまには、まずこの「はたらいて、笑おう。」というビジョンにぜひ共感していただきたいと思います。この「はたらいて、笑おう。」というビジョンを実現するためには、みなさま方により信頼をいただかなければいけないと思っています。

そのために、先ほど我々の文化とお伝えしましたが、一人ひとりに寄り添う、個人にフォーカスするということで、多様な働き方を実現していきます。緊張感を持って我々経営陣が経営できるようなガバナンス体制の強化を図っていきます。そして、ESGを推進していくことで、パーソルグループの社会的価値を向上させていく所存です。

今後は、ますます先が見通せない時代だと思っています。こちらに対応するために、ROICを活用した資本収益性を重視し、財務の規律を確保する新しい経営指標を用いていきたいと思っています。その上で、中期的にはイノベーションを継続し、経済的な価値を向上していきます。

ガバナンス強化をすると同時に、現場への権限移譲を積極的に進めていきたいと思います。その結果、責任を明確化することにより、当事者意識を増加させ、意思決定を迅速に行なっていきたいと思います。

PRO SBUは成長領域であり、一番重要な我々の戦略的な事業だと思います。積極的なM&Aを展開するのはもちろん、我々の大事な資産である技術者の育成に集中的に投資していきます。引き続きテクノロジーの投資は非常に厳しい環境下ではありますが、継続したいと思います。これによって新規の事業を創出すると同時に、DXを通じて、生産性の向上、顧客の満足度の向上に務めていきたいと思っています。

各SBUの戦略的位置づけ

各SBUの戦略的位置づけです。Staffing事業は、とにかくシェアを向上させてスケールメリットを取っていきたいと思います。規模が大きくなれば、みなさまが働きたいという情報をとにかく一番多く持っているという、スケールメリットも必要になってくると思います。

また昨今、改正派遣法、同一労働同一賃金など、法律が大きく変わっています。この法律は、派遣で働く方々の雇用の安定に資する非常に素晴らしい法律だと思っています。当然、我々にとっても大変厳しいことではあるのですが、これを我々の経済的、社会的成長につなげていきたいと思います。そして、先ほど関から報告しましたBPOは、非常に堅調に推移しています。この流れを今後とも変えないように頑張っていきたいと思います。

Career事業は、コロナの影響を最も受けた事業です。今後はWithコロナにより、働き方改革が加速します。そして、雇用の流動化、適材適所が進みます。これから転職する方の数は飛躍的に増えていくと思います。その時に備えて、IT投資を継続します。今はまさに我慢の時だと思います。

PRO SBUは先ほど説明したとおり、我々にとって非常に大きな戦略的事業ですので、こちらに集中的に投資します。

Solution事業は、引き続き新規事業によって新たな価値を想像すると同時に、我々の高い成長の次の「飯の種」としてしっかり取り組んでいきたいと思います。

海外に関しては、収益性向上を最優先し、今後は当面大規模なM&Aは予定していません。

2023年3月期の業績数値目標

2021年3月期の業績の数値目標です。レンジを設けていますので非常に見づらいかと思いますが、売上高9,134億円から9,458億円、営業利益180億円から220億円、EBITDA340億円から380億円、当期純利益83億円から111億円をそれぞれ予定しています。2023年3月期計画は、売上1兆、営業利益450億円、EBITDA610億円の過去最高売上、過去最高収益を目指していきたいと思います。

取締役会構成

ガバナンス体制です。これから、独立の社外取締役を原則過半数以上としていきますので、まさに我々執行サイドとしては、緊張感を持って世の中の常識をしっかり理解しながら進んでいきたいと思います。この4月には、新たにヤマトホールディングスの会長である山内さま、そして会計の専門家である友田さまに加わっていただいています。

グループ横断の委員会新設

我々の意思決定をスムーズに健全に行なうために、投資委員会、リスクマネジメント委員会、人事委員会の新たな3つの委員会を設置します。とくに投資委員会は、大きな海外における減損を出していますので、しっかりと議論を進めながら投資を進めていきたいと思います。社内だけで議論をすると、どうしても社内の論理に陥る可能性がありますので、外部の有識者を招聘し、しっかりと検討していきたいと思います。

財務方針

続いて、財務の方針についてご説明します。主に3点あります。財務規律を確保するということと、資本の収益効率性をしっかり見ていかなければいけないということで、ROICを新たな経営指標、大事な経営指標として導入することとします。2023年3月期を目処に、10パーセントを上回る水準を保っていきたいと思います。また、2024年3月期をもちまして、IFRSを導入していきたいと思っています。

大事な株主さまへの還元方針については、いろいろと精査しています。決定後、速やかに株主さまへの還元方針を発表する予定です。

当社のROIC推移

今までの当社のROICの推移です。徐々に上がってきていますが、今期のROICに関しては非常に厳しい収益環境です。しかし、10パーセントという水準を2023年度に向けて維持するかたちでしっかりと取り組んでいきます。

COVID-19の影響について

最後に2021年3月期の業績予想です。まずコロナの影響です。市況の状況ですが、いろいろなところで報道されているように、例えばIT関連、巣ごもり関連で、需要は非常に順調に推移しています。金融や製造業は現状維持という感じですが、飲食、観光、アパレルは、需要自身は大幅に減少していますが、我々の取引先としては非常に少ないというところが、ある意味、第1四半期の業績につながったのではないかと思います。

当然、我々の事業でコロナの影響を一番受けているのが、Career事業の求人広告、そして紹介事業です。派遣は想定以上に非常に底堅いものがあります。BPOは、現在も非常に好調に推移しています。リモートワークがこれだけ拡大したことからも、コロナで働き方が大きく変わったことを実感しています。

やはり、これからはジョブ型が一気に広まっていくと思います。当然、ジョブ型が広がると、新卒一括採用や年功序列終身雇用といった日本の伝統的な人事制度がどんどん変わっていくと思います。そして働く側も、勤務地、時間にとらわれない働き方、多様性のある働き方が当たり前になっていくと思います。企業、そして働く個人をマッチングしていくからこそ、我々のグループビジョンである「はたらいて、笑おう。」を定着させていきたいと思います。

まさにパーソルグループの出番であると思っています。我々の社会的価値を向上することが、経済的成長とリンクしていくと思います。やはりこれからは、当社の経営もそうなのですが、数年に一度はなにかが起こると思い、それに備えながらしっかりと経営マネジメントをしていくことを、あらためて知らしめられたと思います。

いろいろな意味で、我々のお客さまもそれを感じていると思います。ということは、これから健全化、適正化、流動性がより非常に重要になってくると思いますし、それを我々で精一杯ご支援しなければいけないと思います。

2021年3月期業績予想

2021年の3月期の業績の予想です。先ほどからお伝えしているように、コロナの影響が、これ以上、人の移動や経済に制限がかからないことが前提になっています。配当予想については、現時点では未定とします。

非常に厳しい環境下ではありますし、大変な1年になると覚悟を持っています。ぜひ引き続き、みなさまにはご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。私からは以上です。ご清聴ありがとうございました。

記事提供:ログミーファイナンス

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