台湾LED大手のエピスター(Epistar、晶元光電)とレクスターエレクトロニクス(Lextar、隆達電子)は、共同持株会社を設立することに合意した。持株会社はⅢ-Ⅴ族化合物半導体の投資プラットフォームとして活動し、その傘下でエピスターはLEDのエピ技術やチップ、レクスターはパッケージやモジュールを強化しつつ、独立した事業を展開する。
エピスターは上流、レクスターは下流の技術に注力
両社の1株に対し、共同持株会社の株式をエピスターは0.5株、レクスターは0.275株を割り当てるかたちで交換して設立する。共同持株会社は、ミニ/マイクロLEDディスプレー、インテリジェントセンシング、Ⅲ-Ⅴ族半導体マイクロエレクトロニクス分野を含む次世代技術を探求する。
設立によって両社はリソースを統合し、エピスターはLEDの上流と中流の技術に集中し、レクスターを顧客の1つとする。レクスターはLED下流の技術に注力し、エピスターを戦略的サプライヤーの1つとする。迅速な商業化に向けた製品・技術開発、投資の効率化とコストで管理によるメリットを最大化し、ミニ/マイクロLED技術の早期商業化を目指していく。
共同持株会社には両社から各2人の委員を派遣する。エピスターのBJ Lee会長は「将来は共同持株会社が全体の運用を管理・計画してリソースを効果的に活用し、全子会社がこのプラットフォームで進化できるようにする」と述べた。
エピスターは台湾LED業界の再編を主導
エピスターはこれまで、台湾LED業界の再編を主導してきた。12年に資本関係があったヒューガオプトテック(Huga Optotech)を株式交換で子会社化し、14年にはフォルモサエピタキシー(Formosa Epitaxy=Forepi))を合併。15年にはTSMCからLED製造子会社「TSMC Solid State Lighting」を取得した。
さらに、18年には事業体制を従来のLED特化型からⅢ―Ⅴ族化合物半導体全体へ拡大する方針を明らかにし、グループを3つの会社に分割。エピスターはLED事業を引き継ぎ、VCSEL(垂直共振器面発光レーザー)やGaNパワーデバイスなどのファンドリー事業を手がけるUnikorn Semiconductorと、ミニ/マイクロLEDやセンサーなどのコンポーネント/モジュール事業を担当するYenrich Technologyを新設した。
ミニ/マイクロLEDに関しては、20年1月に中国LEDディスプレー大手のレアードグループ(利亜徳集団)とチップ&モジュールを製造する合弁会社の設立に合意。当初10億元を投じて江蘇省無錫市にLED生産拠点を設立予定で、23年までに本格量産の開始を目指している。
レクスターはミニLED-BLUを商品化
一方、レクスターはミニLEDについて、すでに18年から32インチ液晶モニターのバックライト(BLU)に採用・商品化されている。また、これに続き17.3インチの4KノートPC用パネルに240ゾーンのローカルディミング機能を備えたBLUを商品化済み。このほか、ミニLEDチップを0.75mmピッチで駆動回路基板に転写した「UFP I-Mini RGB display module」も商品化している。
マイクロLEDについては顧客の要望に応じてチップを供給しており、米X-Displayが開発したフルカラー5.1型ディスプレーなどに供給した実績がある。ちなみに、X-DisplayはアイルランドのマイクロLED開発ベンチャーであるX-Celeprintが事業化に向けて18年末に設立した企業。
電子デバイス産業新聞 編集長 津村 明宏