株価下落は損? 資産形成に必要な「買い時」「売り時」の考え方

株価の急落といった状況で私たちが気になるのは、持っている資産の価値の下落でしょう。「この株価水準では損が出る」ということでしょうが、ただ「損」かどうかは売却するときに判断すれば良いことです。

買い時の考えかた

投資で成果を上げるためには「安く買って高く売る」ことに尽きます。しかし、いつが安いのかわからず、また買った後にはどこの水準で売ればいいのか分からないものです。「もっと安く買えたのに」、「もっと高く売れたのに」といったことが、常に頭をよぎります。

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それを解消するためにこんなふうに考えてみてはどうでしょう。

「安く買う」という行動は、「安い時に買って、高い時に買わない」ことです。とはいってもいつが安いかわからなければ同じなので、さらにここに数量の概念を持ち込んでみます。たとえば、「安い時に(たくさん)買って、高い時には(少ししか)買わない」と考えるのです。

これは、積立投資で実現することができます。「一定額で」定期的に投資を行う積立投資は、「一定額」であるがゆえに、たとえば投資信託で考えると、基準価額が下落した時には「たくさん買えて」、基準価額が上昇した時には「少ししか買わない」という行動を自動的に行ってくれます。

今は資産形成の時期

株価の急落といった状況で、私たちは持っている資産価値が下落することに気が向いてしまいます。しかし、価格の下落はたくさん買えるタイミングでもあるのです。

現役世代にとっては、将来性のある資産を使って資産形成をするという目標を前提に考えると、今はそれを継続する時期です。売却のタイミングを考える時期ではありません。その時期がまだ20年、30年先の現役世代には、今は資産形成に専念してほしいと思います。

売り時の考えかた

とはいっても売却することも気になりますよね。そこで売却するときの考え方もちょっと紹介します。

売却するときには「高く売る」ことが望ましいですから、買う時と同じように、「高い時に売って、安い時には売らない」と考えます。そしてここに数量の考え方を入れるのです。そうすると、「高い時に(たくさん)売って、安い時には(少ししか)売らない」となります。

これは、定率引き出しの考え方に通じます。定率引き出しでは、運用残高の一定率を引き出すと決めるのですが、同じく投資信託で考えれば基準価額が上がった時には残高も増えますから、結果的にたくさんの金額を引き出すことになります。

逆に、基準価額が下落しているときには残高が減っていますから、一定率で引き出すとこちらも結果的に少しの金額しか引き出さないことになります。

さて、こうして考えると、価格の大幅な変動の時でも、「買い」も「売り」も基本のルールは変わりません。「安い時に(たくさん)買って、高い時には(少ししか)買わない」、「高い時に(たくさん)売って、安い時には(少ししか)売らない」と、数量の概念を入れることです。

価格の変動を過度に恐れて、資産形成を中断することは得策ではありません。

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合同会社フィンウェル研究所代表 野尻 哲史

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執筆者
野尻 哲史

合同会社フィンウェル研究所代表。国内外証券会社、大手外資系運用会社を経て、2019年5月に現職。資産の取り崩し、地方都市移住、雇用継続などの退職後の生活に関する提言を行っている。行動経済学会、日本FP学会などの会員などの他、2018年9月から金融審議会市場ワーキング・グループ委員。著書に『IFAとは何者か』(一般社団法人金融財政事情研究会)『老後の資産形成をゼッタイ始める!と思える本』(扶桑社)『定年後のお金』(講談社+α新書)『脱老後難民 「英国流」資産形成アイデアに学ぶ』(日本経済新聞出版社)など多数。