株式市場の振り返り-薄商いの中で7日ぶりの反発、新興市場は3日続伸
2016年5月9日(月)の東京株式市場は7日ぶりの反発となりました。日経平均株価は前日比+0.6%の上昇、TOPIXも+0.6%の上昇で引けています。また、東証マザーズ総合指数は+2.8%の大幅上昇で3日続伸となりました。
日経平均株価は、前日比+119円高で寄り付きました。その後間もなく+186円高まで上昇する場面が見られましたが、その後は上値が重くなり、前場で一時+52円高まで下落しています。その後はやや切り返したものの、大引けは+109円高の16,216円で終わっています。7日ぶりの上昇となりましたが、力強さに欠けた印象は残ります。
東証1部で上昇したのは1,283銘柄、値下がり567銘柄、変わらず101銘柄でした。東証1部の出来高は17億1,849万株、売買代金は1兆7,317億円(概算)となっています。売買代金は4月11日以来の2兆円割れとなり、厳しい薄商いとなりました。
セクター動向と主要銘柄の動き-22業種が上昇、11業種が下落。内需関連業種に買い目立つ
東証1部で上昇したのは22業種、下落したのは11業種でした。上昇率上位は、小売+2.2%、不動産+1.7%、水産・農林+1.6%、食料品+1.5%、建設+1.5%などでした。一方、下落率が大きかったのは、鉄鋼▲2.2%、精密機器▲1.2%、海運▲0.7%、非鉄金属▲0.6%、保険▲0.6%などでした。円高進行に歯止めが掛かった割には、為替感応度の高い業種が今一つ不振でした。
個別銘柄では、ファーストリティリング(9983)やセブン&アイ・ホールディングス(3382)などの小売主力株が上昇し、良品計画(7453)やニトリホールディングス(9843)なども値を上げています。また、三井不動産(8801)、住友不動産(8830)、清水建設(1803)、鹿島(1812)なども上昇しました。トヨタ自動車(7203)や富士重工(7270)などの自動車株も概ね高くなっています。一方、日経平均株価への指数寄与度の大きい銘柄の中では、KDDI(9433)、京セラ(6971)、ダイキン工業(6367)などが下落し、ローム(6963)やアルプス電気(6770)も値を下げました。また、東京電力ホールディングス(9501)や中部電力(9502)などの電力株も不振が目立ちました。
本日のポイントと注目テーマと関連業種-閑散の株式相場にカンフル剤となるサプライズ決算に期待
週明けで連休明けでもある9日(月)は7日ぶりに反発となりましたが、売買代金は今年最低を記録し、昨年末の大納会(12月30日)以来となる薄商いでした。ほとんど正月気分の大納会と同じような閑散状況ということは、いかに力強さに欠けているかが分かります。やはり、様子見スタンスが強いと言えましょう。
その閑散とした膠着状況に刺激を与えるのは、決算発表です。9日は大きな動きがありませんでしたが、10日(火)以降は主力企業のサプライズ決算も相応に出て来ると思われます。個人投資家が決算サプライズを追い掛けるのは危険ですが、相場のカンフル剤になればそれはそれで良いことです。
そのような中、注目セクターに変更はなく、政府の景気対策や成長戦略に関係する内需関連銘柄に目を向けたいと思います。特に、医療バイオ関連、建設、不動産、小売などの下値をコツコツと狙いたいところです。
一方で、4月末の“日銀ゼロ回答”以降に顕著になった円高進行に対して、張本人の黒田総裁を始め、主要閣僚から為替介入を示唆する発言が続いています。しかし、現状は何も実施されておらず、牽制球に止まっているようです。これ以上、牽制球で終わる状況が続くと、“やれるものならやってみろ!”という短期筋の円買いが進む可能性があり、再度の円高進行の懸念が拭えません。自動車や精密機器等の為替影響が大きいセクターに対しては、予断を許さずに慎重に臨むべきでしょう。牽制球を何度も続けると、その効果は薄らぐばかりです。
【2016年5月9日 投信1編集部】
■参考記事■
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LIMO編集部