外食チェーンを展開するサイゼリヤは、2026年10月29日にメニューの価格を改定しました。その少し前の10月14日には、2026年8月期の決算短信も公表しています。
今回は、サイゼリヤ<7581>の値上げの中身と業績、これまでの株価の推移を確認し、最後に株価と配当の数字をまとめてみていきましょう。
なお、株価は日々動き、業績や配当の予想も会社の判断で変わることがあります。投資のご判断はご自身の責任でお願いします。
※記事中の株価はすべて終値です。
※株式分割の影響は遡及修正して調整しています。
1. サイゼリヤ(7581)は10月29日に値上げ。メニュー全般で平均6%
最初に、10月29日の値上げの中身をみておきましょう。
1.1 価格改定の中身と、変わらないメニュー
株式会社サイゼリヤの「10月29日(木)価格改定のお知らせ」(2026年10月14日)によると、価格の見直しはメニュー全般で平均6%です。たとえば税込300円の「ミラノ風ドリア」は320円に、税込400円のメニューは420〜430円になります。
レジャー施設の周りや都市部の一部の24店舗は、平均10%の改定です。一方で、「フレッシュワイン」と「ランチ」「モーニング限定メニュー」の価格は変わりません。
1.2 会社が示している価格の方針
お知らせでは、原材料の価格やエネルギーなどのコストが上がり続けていることが、改定の背景として挙げられています。2026年8月期の決算短信でも、品質を保って安定して提供していくためのメニュー価格の改定は、状況に応じて行う方針が示されています。
値上げが業績にどう表れるかは、これから出る決算で確かめていくことになります。次の章では、まず直近の業績の数字を整理します。
2. 2026年8月期は売上高17.4%増。2027年8月期は増収・増益の予想
株式会社サイゼリヤ「2026年8月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」から、業績の数字をみていきます。
2.1 2026年8月期の実績と前の期との比較
- 売上高 3014億8300万円(前期比17.4%増)
- 営業利益 164億1900万円(5.9%増)
- 経常利益 168億3000万円(6.5%増)
- 親会社株主に帰属する当期純利益 110億4600万円(1.1%減)
前の期の2025年8月期は、売上高が2567億1400万円、親会社株主に帰属する当期純利益が111億6400万円でした。2026年8月期は、売上高が増えた一方で、当期純利益は前の期をわずかに下回っています。
売上高と利益の動きは同じとは限らないので、どちらか一方だけで会社の調子を判断しないことが大切です。
2.2 2027年8月期の会社の予想
- 売上高 3337億円(10.7%増)
- 営業利益 212億円(29.1%増)
- 経常利益 208億円(23.6%増)
- 親会社株主に帰属する当期純利益 134億円(21.3%増)
1株あたり当期純利益は、2026年8月期が224円81銭、2027年8月期の予想が272円70銭です。予想は会社の見通しなので、実績が予想と違ってくることもある点に注意が必要です。
2.3 会社が挙げるリスクと取り組み
決算短信では、2027年8月期の見通しについて、会社の考えも示されています。景気の面では、中東情勢や中国の不動産市場の停滞、アメリカの通商政策などが、海外の需要を通じて日本の経済を押し下げるおそれがあるとしています。天候や自然災害をきっかけにした世界的な物価の上昇や、食材とエネルギーの価格が高いまま続くこともリスクとして挙げられています。
一方で、賃上げなどで実質所得が増え、個人消費にも持ち直しの動きが見られるとしたうえで、先行きは見通しにくい状況が続くとみています。外食業界については、食材や資源の価格の高止まりと、人手不足による人件費の上昇で厳しい状況が続き、デジタル化の進み方によって経営の環境も大きく変わっていくと想定しています。
そのうえで会社は、人材教育やサプライチェーンの立て直し、店舗の仕組みを見直すための投資を進める方針です。店舗運営部門の組織を変えることや、ITを使った店舗作業の標準化、世界規模での生産と供給の体制づくり、DXの取り組みも続けていくとしています。また商品の品質維持や安定提供のため、メニュー価格改定は状況に応じて行うことにも触れられていました。
このように業績予想の数字だけでなく、会社がどのようなリスクを見ているのかもあわせて読んでおくと、次の決算を確かめるときの手がかりになるでしょう。
3. サイゼリヤのこれまでの株価の推移。年初来安値は4955円、年初来高値は8420円
次にサイゼリヤのこれまでの株価の推移を確かめます。
3.1 サイゼリヤの年初来高値と年初来安値
年初来安値は4955円で、つけたのは2026年5月1日です。年初来高値は8420円で、2026年7月29日でした。今年に入ってからの高値と安値の差は大きく、値動きの幅は決して小さくない銘柄だといえるでしょう。
3.2 2026年11月2日時点の直近の終値と参考指標
11月2日の終値は8160円でした。7月の年初来高値8420円に近い位置にあります。参考指標は以下の通りです。
- 終値 8160円(前日比 ▲0.61%)
- 時価総額 426,542百万円
- PER(会社予想) 29.99倍
- PBR(実績ベース) 2.98倍
- 配当利回り(予想) 0.43%
11月2日は始値8210円で始まり、高値は8270円、安値は8060円でした。前日の10月30日の終値8210円と比べると50円安い、8160円で取引を終えています。
3.3 次の配当も期末の年1回。2026年8月期は35円
決算短信によると、1株あたりの年間配当金は次のとおりで、いずれも第2四半期末の配当は0円の期末配当だけです。
- 2025年8月期 30円
- 2026年8月期 35円
- 2027年8月期(予想) 35円
連結の配当性向は、2025年8月期が13.4%、2026年8月期が15.8%で、2.4ポイント上がりました。2026年8月期の期末配当は、2026年11月27日に開く予定の定時株主総会で決議され、11月30日に支払いが始まる予定です。
100株を持っていれば、税金などが差し引かれる前の金額で3500円です。受け取る金額は持っている株数で変わるので、ご自身の株数に置きかえてみると、配当のイメージはつかみやすくなるでしょう。
4. まとめにかえて
今回の値上げは、決算短信で価格改定の方針が示されたのと同じ10月14日に発表されました。値上げのあとの業績は、これから出る決算で数字として確かめることができます。
株価や業績の予想、配当は変わることがあるので、決算短信や会社のお知らせを、そのつど確かめたいところです。権利付き最終日も、近づいたら証券会社の案内であわせて確かめておくと安心でしょう。
5. 免責事項
- 本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、特定の株式の購入や売却について助言や推奨するものではありません。
- 本記事上の情報に起因、また関連して生じた損害や損失に関しては一切の責任を負いません。
- 投資判断は最新の決算資料や市場動向などをご自身でご確認の上、自己責任で行ってください。
- 株主優待の内容や条件などは変更される可能性があるため、必ず公式サイトでご確認ください。
参考資料
宮野 茉莉子