「数年前に買った個人向け国債、いまはどれくらい利子がついているのだろう」
買ったきりで、利率を見直していない人もいるのではないでしょうか。
個人向け国債のうち「変動10年」は、買ったあとも半年ごとに利率が見直されるタイプです。
本記事では、2021年11月募集分(第140回債)を例に、利率がどう動いてきたか、次の利率がいつ決まるのかを見ていきます。
記事後半では、中途換金(満期の前に国に買い取ってもらい、お金に戻すこと)で差し引かれる額はいくらかも試算します。
1. 2021年11月募集分の変動10年、利率は年0.07%から年1.67%に
財務省の発行条件では、回号ごとに、これまで適用された利率が公表されています。2021年11月募集分(第140回債)の推移は次のとおりです。
発行された2021年12月からの半年は年0.07%でした。2023年12月15日までは年0.3%に届かない水準が続きましたが、2023年12月16日からの半年で年0.60%に上がりました。
その後、年0.57%、年0.65%と横ばいに近い時期をはさみ、2025年6月16日からは年0.84%、12月16日からは年1.10%、2026年6月16日からは年1.67%となっています。最初の半年と比べると、およそ24倍の水準です。
100万円分を持っていた場合、半年分の利子は「100万円×利率÷2」で計算できます(編集部の試算)。
- 最初の半年(年0.07%):税引前350円/税引後278円
- 2026年6月16日からの半年(年1.67%):税引前8350円/税引後6653円
- 2026年12月15日までの10回分の合計:税引前3万600円
同じ月に募集された固定5年(第128回債)は、5年間ずっと年0.05%で、100万円分の利子は5年間で税引前2500円です。この固定5年は2026年12月15日に満期を迎えます。
なお、毎年5月・11月に利率が決まる回号(5月募集分・11月募集分)なら、買った年が違っても、同じ半年には同じ利率が適用されます。2022年〜2025年の11月募集分も、2026年6月16日からの半年は年1.67%です。
2. 変動10年の利率はいつ・どうやって決まる?
変動10年の利率は「基準金利×0.66」で計算されます。基準金利は、利子の計算期間が始まる日の前月までに最後に行われた10年国債の入札の平均落札利回り(入札で国債が買われた利回りの平均)です。
2026年6月16日からの半年は、基準金利2.53%×0.66=1.6698%で、年1.67%でした。計算結果が0.05%を下回っても、年0.05%が下限として適用されます。
2026年12月16日からの半年の利率は、11月5日に予定されている10年国債の入札結果をもとに、11月6日に公表される予定です。11月9日から募集が始まる11月募集分(第200回債)の利率も、同じ11月6日に公表されます。なお、6月・12月に利率が決まる回号(6月募集分・12月募集分)は、12月4日に公表予定です。
次の利率が上がるか下がるかは、入札の結果が出るまで分かりません。変動10年を持っている人は、11月6日の公表後に、財務省の発行条件のページで自分の回号の次の利率を確認してみましょう。
次は、中途換金するときに差し引かれる額を試算します。
3. 中途換金すると、差し引かれる額はいくら?
個人向け国債は、発行から1年が過ぎればいつでも中途換金できます。その際、「直前2回分の各利子(税引前)相当額×0.79685」が差し引かれます。0.79685を掛けるのは、利子を受け取るときに20.315%の税金が差し引かれているためです。
100万円分を持っていて、直前2回分が年1.10%と年1.67%の半年だった場合の試算は次のとおりです(編集部の試算)。
- 直前2回分の利子(税引前):5500円+8350円=1万3850円
- 差し引かれる額:1万3850円×0.79685=約1万1036円
直前2回分が年0.07%と年0.17%の時期なら、差し引かれる額は約956円でした。利率が上がった時期ほど、換金で手放す額も大きくなります。
なお、災害救助法の適用対象となった大規模な自然災害で被害を受けた場合や、保有者本人が亡くなった場合は、発行から1年がたっていなくても換金できます。
4. まとめ
2021年11月募集分の変動10年は、最初の半年の年0.07%から、2026年6月16日からの半年は年1.67%まで利率が上がりました。一方で、金利が下がれば利率も下がる仕組みで、その場合も年0.05%の下限は変わりません。
変動10年を持っている人は、11月6日の公表後に、財務省の発行条件のページで自分の回号の次の利率を確認してみましょう。これから買うかどうか迷っている人は、利率が満期まで変わらない固定タイプとの違いをふまえ、いつまでお金を使わずにおけるかと合わせて検討することが大切です。
【免責事項】
- 本記事の試算は、記載した利率をもとにした目安であり、実際の受取額を保証するものではありません。
- 本記事は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであり、特定の商品の売買を助言・推奨するものではありません。
参考資料
- 財務省「変動10年「第140回債」」
- 財務省「固定5年「第128回債」」
- 財務省「「変動10年」商品概要」
- 財務省「発行スケジュール」
- 財務省「入札カレンダー:令和8年11月」
- 財務省「個人向け国債の中途換金についてのよくある質問」
高原 祥子