華やかな振袖に身を包んだ新成人の姿が、各地で見られる成人式。どんな着物を選ぶかは、多くの人にとって楽しみの一つではないでしょうか。

現在SNS上では、そんな成人式で着る予定だという、父が染めた着物の写真に注目が集まっています。

@Muse_15___さんが投稿した当ポストは、執筆時点で14万8000回表示されています。

そこで、LIMO編集部は話題の@Muse_15___さんに取材。父が染めた着物を成人式で着ようと思ったきっかけや、両親の仕事について、インタビューしました!

※投稿の画像は【写真】リンクをご参照ください。

※今回ご紹介する投稿は、投稿者様の掲載許可を頂いております。

1. 成人式で着る予定の着物は「父が染めたもの」 話題の投稿とは

障子の前に掛けられた黄色い花柄の訪問着1/5

障子の前に掛けられた黄色い花柄の訪問着

出所:@Muse_15___

「振袖が話題らしいので便乗して、成人式に着る予定の着物を見てもらおう。京友禅の染色職人だった父が染めたもので、京都知事賞?のような賞も受賞した作品らしいです。訪問着なので振袖ではないけど、普段なかなか着る機会もないので、せっかくだしお披露目〜」というコメントとともに投稿されたのは、1枚の写真。和室の障子の前に、両袖を広げた着物が掛けられています。

白っぽい地色の着物の肩から袖にかけて、大きな黄色い花が連なるように描かれています。花の付け根には青い色が差され、所々に赤い実のような模様も見えます。裾に向かっては、茶色の細い線が波打つように流れ、その間に小さな黄色い花が点々と描かれています。

リプライ欄には、「素晴らしい訪問着ですね。お父様が染めたお着物を着られるなんて誰でもできることではありません。お幸せですね。」「優しい地色に大胆な柄行がとってもモダンで絵画のよう」といった声が寄せられました。投稿主さんは返信で、母が染めた着物の写真も紹介しています。

2. 第二候補だった柄を選んだ理由は 「身長だと着たときに柄が隠れてしまう」

肩から袖にかけて広がる黄色い花の柄2/5

肩から袖にかけて広がる黄色い花の柄

出所:@Muse_15___

肩から袖の部分に寄って見ると、黄色い花びらには濃淡があり、筆で塗り重ねたような質感が見て取れます。花の付け根から伸びる茶色の線は、背中から裾へと流れる線につながっていて、着物全体で一つの絵のように描かれています。

父が染めた着物を成人式で着ようと思ったきっかけについて、「もともと家に着物があることは知っていたので、新しく買わなくても、家にあるものを着ればいいかなと思っていました」と投稿主さん。「ただ、成人式で着るには振袖ではなく訪問着だったため、それなりに親とも揉めましたが、最終的には親が折れてくれました(笑)」と話します。

実は、今回選んだ柄は第二候補だったそうです。「本当は母が持っている松ぼっくり柄の着物を着たかったのですが、私の身長だと着たときに柄が隠れてしまう」ことから、今回の柄に決めたと教えてくれました。

父が京友禅に携わっていたことを知ったのは、かなり最近のことだといいます。「私が生まれた頃には、両親ともにすでに京友禅の仕事はしていませんでした」と投稿主さん。「両親ともに染色の仕事をしていたそうですが、父と母では扱っていた技法が異なっていたそうです。母はろうけつ染めをしていたと聞いています」と話してくれました。

投稿の反響については、「想像以上にたくさんの方に見ていただき、着物を褒めていただけてとても嬉しかったです」とのこと。「着物は長い間、ほとんど着る機会がなくしまったままになっていたので、今回こうして多くの方に見て褒めていただけたことで、着物自身も喜んでいるのではないかと思います」と振り返ってくれました。

3. 「京友禅」とは? 名前の由来や「訪問着」と「振袖」の違い

京友禅は、京都で受け継がれてきた染めの技術で、多彩で絵画のような模様を着物に表すのが特徴です。国の伝統的工芸品にも指定されていて、京都府も京小紋とともに、府を代表する伝統的工芸品の一つとして紹介しています。

京都府によると、京友禅の名前は、江戸時代の元禄年間に京都の祇園あたりに住んでいた扇絵師・宮崎友禅斎に由来するといわれています。それまでの染色法に、友禅斎が美しく華麗な絵を描くことを加え、手描友禅として確立したと伝えられています。

明治時代には、鮮やかで色数の多い化学染料が輸入され、手描友禅の名匠・広瀬治助が、型紙を使って染める「型友禅」を考案しました。模様を切り抜いた型紙で大量に染められるようになったことで、友禅は多くの人に広がっていったとされています。

また、投稿主さんの母が手がけていたという「ろうけつ染め」は、溶かしたろうで模様を描き、ろうを置いた部分に色が入らないようにして染める技法だといわれています。

着物の種類でいうと、振袖は袖が長く、一般的に未婚女性の礼装とされています。一方、訪問着は、縫い目をまたいで一枚の絵のように模様がつながる「絵羽模様」が特徴で、未婚・既婚を問わず着られる準礼装とされています。結婚式に招かれたときや式典、お茶会など、改まった場で幅広く着られている着物です。

成人式では振袖を選ぶ人が多い中、長い間しまわれていた父の訪問着に袖を通すという選択は、家族の歴史を受け継ぐ、特別な一日になるのかもしれません。

4. 著者からの一言コメント

LIMOSNS部
障子の前に掛けられた着物を見て、まず目を奪われたのは、肩から袖に大きく広がる黄色い花でした。白っぽい地色に、流れるような線と小さな花が描かれた構図は、リプライ欄の声のとおり、まるで一枚の絵画のようです。投稿主さんが、父が京友禅に携わっていたことを知ったのはかなり最近のことだそうで、両親が染めた着物が家にあることは知っていても、仕事の詳しい話はほとんど聞いたことがなかったといいます。成人式という節目に、その着物を自分で着ることを選んだというお話からは、家族の歩みに触れようとする気持ちが伝わってきました。本当は母の松ぼっくり柄の着物を着たかったものの、柄の見え方を考えて第二候補を選んだというエピソードも印象的です。長い間しまわれていた着物が、多くの人に褒めてもらえたことで「着物自身も喜んでいるのではないか」という言葉には、着物への愛情を感じました。成人式の日に、この着物がどのように彩られるのか楽しみです。

成人式や結婚式、七五三など、人生の節目には着物を着る機会があります。着物は新しく仕立てたり、レンタルしたりと準備の仕方もさまざまです。私たちは、着物などの和服に、1年間でどれくらいのお金を使っているのでしょうか。

5. 着物にいくら使ってる?1世帯当たり1年間の和服の支出金額を紹介

ここからは記事の話題にちなんで和服の支出金額についてご紹介します。

総務省統計局が発表した2025年の「家計調査」によると、2人以上の世帯における1年間の和服の平均支出金額は1699円でした。

年代別に見ると、29歳以下が416円、30代が408円、40代が1169円、50代が1955円、60代が1973円、70歳以上が2043円となっています。50代、60代、70歳以上の世帯が平均支出金額よりも多い結果となりました。

最も多い70歳以上は、最も少ない30代の約5倍を支出しています。年代が上がるにつれて支出が増える傾向にあり、冠婚葬祭や子ども・孫の行事などで和服を用意する機会が多いことが関係していると考えられます。

今回はXで話題になっている「京友禅の染色職人だった父が染めた訪問着」をご紹介しました。

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参考資料

LIMOSNS部