電話加入権は、いまどのくらいの価値があるのでしょうか。NTT東日本によると、メタル設備を使う加入電話は2026年5月1日以降に順次新規販売を終了し、2027年3月31日以降に順次サービスを終了します。
私は、保険の手続きやマネーセミナーの運営を支えていた頃から、固定費の見直しは家計を整える入口だと考えてきました。ここでは、電話加入権の売買相場の推移と加入電話の終了時期、使い続けた場合の費用を、NTT東日本の公表資料で確認します。
※売買価格は、NTT東日本「電話加入権取引市場における売買価格の推移」(全日本電話取引業協会調べ、東京の業者間の仲値)の数字です。基本料は、NTT東日本「加入電話」に掲載されている住宅用・プッシュ回線の月額(2026年10月28日時点)です。
1. 電話加入権の売買相場は?1995年3月の約5万5000円から2004年10月の約1万1000円へ、約8割下がった
NTT東日本「電話加入権取引市場における売買価格の推移」によると、東京の業者間の仲値は、1995年3月の5万5000円から2004年10月の1万1000円まで下がりました。
- 【1995年3月】約5万5000円
- 【1999年3月】約3万4000円
- 【2002年3月】約2万円
- 【2004年10月】約1万1000円
下落幅は約4万4000円で、1995年3月の約8割にあたります。確認できた公的な資料のなかで、2004年10月より新しい売買価格は見当たりませんでした。
施設設置負担金は、NTT東日本「加入電話の施設設置負担金の変遷」によると、1985年4月から7万2000円(当時の名称は工事負担金)でした。2005年3月からは3万6000円(税抜)に引き下げられる予定と発表され、現在のNTT東日本のページには3万9600円(税込)と掲載されています。
- 【払った額】7万2000円
- 【2004年10月の売買相場】約1万1000円(払った額の約15%)
※試算の前提:7万2000円は加入電話(単独電話)の施設設置負担金、1万1000円は東京の業者間の仲値です。割合は1万1000円÷7万2000円で計算し、小数点以下を四捨五入しています。
2. 加入電話はいつ終わる?2026年5月1日から順次新規販売を終了、2027年3月31日以降に順次サービスを終了
NTT東日本は、メタル設備を使う加入電話について、利用の減少や設備の老朽化を理由に、2035年頃までに光回線やモバイル回線を使うサービスへ段階的に移行するとしています。終了の時期はエリアによって異なります。
- 【新規販売の終了】2026年5月1日以降に順次
- 【サービスの終了】2027年3月31日以降に順次
- 【移行の目安】2035年頃までに、光回線やモバイル回線を使うサービスへ
サービス終了日以降は、現在のサービスを使えなくなります。代替サービスは、光回線電話、ワイヤレス固定電話、ひかり電話(いずれもIP電話サービス)で、申し込みと工事が必要です。移行の初期費用は無料とされていますが、条件があります。
加入電話で他の事業者の通話サービスを使っている場合、そのサービスも加入電話の終了日で使えなくなります。詳しくは各事業者へ確認する必要があります。
3. 加入電話の基本料は?住宅用なら月1980円から2090円で、5年続けると約11万9000円から約12万5000円
NTT東日本「加入電話」には、住宅用・プッシュ回線の月額が、取扱所の級局ごとに掲載されています。ここでは、掲載された額のまま使い続けた場合を試算します。
- 【1・2級局】月1980円、1年で約2万3800円、5年で約11万9000円
- 【3級局】月2090円、1年で約2万5100円、5年で約12万5000円
※試算の前提:住宅用・プッシュ回線の月額に12か月、60か月をかけ、百円の位を四捨五入しています。通話料、電話ユニバーサルサービス料、電話リレーサービス料は含みません。料金は改定されることがあります。
加入電話の終了予定を考えると、5年続ける前提は、終了時期がまだ先のエリアに限られます。実際に使える期間は、お住まいのエリアの終了時期で変わります。
4. 電話加入権を残すには?利用休止は最大10年で回線使用料なし、解約すると電話加入権は戻らない
NTT東日本「電話の利用休止・一時中断・解約」では、電話が不要になったときの手続きを3つに分けています。
- 【利用休止】電話加入権を残したまま止める手続き。最大10年(5年ごとに更新)で、期間中の回線使用料はかかりません。再開すると電話番号は変わります
- 【一時中断】電話番号を残したまま止める手続き。回線使用料などの月額利用料は必要です
- 【解約】電話契約を終える手続き。電話加入権もなくなり、復権はできません
利用休止の工事費は、止めるときが3300円から、再開するときも3300円からです。お客さま宅への訪問が必要な再開工事は2万2000円からとされています。加入電話・ライトプランは、休止も譲渡もできません。
※試算の前提:工事費は、NTT東日本「電話の利用休止・一時中断・解約」に掲載された最低額で、工事の内容によって変わります。
5. サービス終了後の電話加入権はどうなる?確認できたことと、できなかったこと
NTT東日本「施設設置負担金についてのご説明」(2004年11月5日)には、施設設置負担金は解約時等にも返還しないこと、電話加入権の財産的価値を保証するものではないことが書かれています。一方で、取引市場が形成され、質権の設定が認められ、法人税法上は非減価償却資産とされていることにも触れています。
- 【確認できたこと】負担金は返還されない。売買相場は2004年10月に約1万1000円だった
- 【確認できなかったこと】加入電話のサービス終了後の電話加入権の扱い。2004年10月より新しい売買価格
この2点は、確認できた公表資料に記載がありませんでした。契約や税の扱いに関わるため、手放す前にNTT東日本の窓口や、税理士・税務署に確認するのが確実です。
6. 【元FP会社職員の視点】検証:電話加入権は「いくらで売れるか」より「いつ、どう手放すか」で考える
ここまでの数字から、私は2つのことを感じています。1つ目は、約15%という割合の見方です。7万2000円は、NTT東日本の説明では、加入者回線の建設費用の一部を基本料の前払い的に負担したものです。売買相場と並べるだけでは、払った額の意味をとらえきれません。
2つ目は、時間の使い方です。電話加入権の相場は、1995年から2004年までの約9年半で約8割下がりました。加入電話も、2027年3月31日以降に順次終了します。持ち続けるほど価値が戻る性質のものではない点は、押さえておきたいところです。
保険の手続きに携わっていた頃も、契約は入ったあとに見直すことが大切だと感じていました。固定電話の基本料は年に約2万3800円から約2万5100円かかりますが、利用休止なら回線使用料はかかりません。止めるか、残すか、番号を残す必要があるかを、自分の暮らしに合わせて整理してみてください。
電話番号を残したいのか、電話加入権そのものを残したいのかで、選ぶ手続きは変わります。迷うときは、NTT東日本の窓口で、お住まいのエリアの終了時期を確かめてから決めても遅くありません。
正解は一つではありません。ご家族の電話の使い方や、実家の固定電話の状況を話し合いながら、無理のない形で整理していきましょう。
7. まとめ
電話加入権の東京の売買相場は、1995年3月の約5万5000円から2004年10月の約1万1000円まで下がりました。加入電話は、2027年3月31日以降に順次サービスを終了します。終了後の電話加入権の扱いは、確認できた資料には載っていませんでした。
利用休止は最大10年で回線使用料がかからず、解約すると電話加入権は戻りません。固定電話の今後を考えるときは、お住まいのエリアの終了時期を確かめ、ご家族と話し合いながら進めていきましょう。
※本記事の試算は、NTT東日本の公表資料にもとづく概算です。料金や提供条件は改定されることがあります。制度や契約の詳細は、NTT東日本などでご確認ください。
参考資料
- NTT東日本「電話加入権取引市場における売買価格の推移」
- NTT東日本「加入電話の施設設置負担金の変遷」
- NTT東日本「施設設置負担金についてのご説明」
- NTT東日本「加入電話」
- NTT東日本「今後の固定電話サービスについて よくあるご質問」
- NTT東日本「電話の利用休止・一時中断・解約」
下村 美乃莉