2026年10月22日の東京株式市場で、日経平均株価は前日比1713円40銭安の6万2907円84銭で取引を終えました。7月からみても、半導体やAI関連の銘柄が売られ、指数を大きく押し下げています。

新NISAなどで日経平均に連動する投資信託を毎月積み立てている人にとって、評価額が目減りしていく画面を見るのは落ち着かないものです。では、下がり続ける局面では、どんな心持ちでいればよいのでしょうか。

元機関投資家で、日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)の泉田良輔の監修のもと、

一次資料で確認しながら解説します。

結論:日経平均だけを見て一喜一憂せず、資産と地域の分散で構える

先に結論をお伝えします。毎月同じ金額を積み立てる投資、いわゆる「ドルコスト平均法」では、値下がりした局面は、同じ金額でより多くの口数を買える時期でもあります。下落そのものを過度に恐れる必要はありません。

ただし、注意したい点が2つあります。

一つは、現時点の日経平均は日本経済全体の平均というより、半導体・AI関連の一部の銘柄の値動きを強く受ける指数であることがあります。TOPIXが上場企業が幅広く分散しているのに対して、日経平均株価の構成はそれと異なります。

もう一つは、その偏りに備えるには、株式であれば地域の分散と、株式以外も含めた資産の分散、つまりアセット・アロケーションの両方が必要になることです。

なぜ日経平均の下落がこれほど不安になるのか

日経平均は、ここ数年で大きく上昇してきました。日本経済新聞社の月次ファクトシートによると、2026年9月末時点の騰落率は年初来で32.61%、過去1年では48.56%に達しています。

上がり方が急だった分、下げ始めると「せっかく増えた分がなくなってしまうのでは」と感じやすくなります。積立を続けている人ほど、毎月の評価額の変化が目に入り、不安は大きくなりがちでしょう。

また、最近では、「AIバブルではないか」という声も聞かれます。

実際、IMF(国際通貨基金)は2026年10月13日付のブログで、AIへの投資や収益性が期待を下回れば、AI産業に関連する資産価格の調整を引き起こしうると指摘もしています。

ただ、バブルだったかどうかは、多くの場合あとになってからしか分かりません。だからこそ、どちらに転んでも困らない備えが大切になります。その第一歩として、日経平均がどんな銘柄の値動きで決まっているのかを確かめておきましょう。

日経平均TOP5:内3銘柄で半導体・AI関連として全体の3割を占める

日本経済新聞社の月次ファクトシート(2026年9月末時点)で、構成ウエートの上位を見てみましょう。

  • アドバンテスト:12.39%
  • 東京エレクトロン:8.90%
  • ファーストリテイリング:8.54%
  • ソフトバンクグループ:7.75%
  • リクルートホールディングス:2.53%

出所:日本経済新聞社「日経平均株価 月次ファクトシート」

半導体の検査装置を手がけるアドバンテスト、半導体製造装置の東京エレクトロン、AI関連への投資を積極的に進めるソフトバンクグループ。この3銘柄だけで、日経平均の約29%を占めています。業種別でも「技術」が56.96%と、半分を超えています。

日経平均は225銘柄で構成されていますが、株価の高い銘柄、いわゆる「値嵩(ねがさ)株」ほど指数への影響が大きくなる仕組みです。そのため、日本の上場企業全体の動きよりも、一部の値がさ株、とりわけ半導体・AI関連株の値動きを強く映しやすいということになります。

運用の専門家から見る2つの落とし穴

一つ目の落とし穴は、下落の途中で積立をやめてしまうことです。毎月3万円ずつ12カ月積み立て、その間に基準価額が100から70まで3割下がり、その後100に戻ったケースをシミュレーションも含めて考えてみましょう。

  • 投資した元本:36万円
  • 平均の購入単価:約85
  • 12カ月後(基準価額100)の評価額:約42万3000円(元本比で約17%増)

※基準価額が100から毎月6ずつ70まで下がり、その後毎月5ずつ100まで戻ると仮定した編集部の単純計算。手数料・信託報酬・税金は考慮していません。

  • 1カ月目:100(積立開始)
  • 2〜6カ月目:94 → 88 → 82 → 76 → 70(毎月6ずつ下落)
  • 7〜12カ月目:75 → 80 → 85 → 90 → 95 → 100(毎月5ずつ上昇)

基準価額は元の水準に戻っただけなのに、評価額が増えるのは、安い時期に多くの口数を買えていたからです。もちろん、下落が長く続けば評価額はマイナスのままですし、元の水準に戻る保証もありません。それでも、下がったところでやめてしまえば、この仕組みの恩恵は受けられなくなります。

二つ目の落とし穴は、「日経平均は日本株全体に分散しているから安心」という思い込みです。先に見たとおり、日経平均の約3割は半導体・AI関連の3銘柄です。日経平均だけを積み立てていると、資産の多くがAI・半導体という一つのテーマの値動きに左右されることになります。

では、全世界株式に切り替えれば解決するかというと、そうとも言い切れません。全世界株式の代表的な指数であるMSCI ACWI Indexでも、上位にはエヌビディアやマイクロソフトなどAI関連の米国企業が並びます。地域を分散しても、AI関連株の値動きからは完全には逃れられないのです。

だからこそ、監修者の泉田は「地域の分散に加えて、債券や預金など値動きの性質が異なる資産を組み合わせる資産分散が大切です」と指摘します。

あなたはどうする?お金を使う時期で考える構え方

お金を使うまで10年以上ある人なら、下落は口数を増やす時期と受け止め、積立を続けるという考え方があるでしょう。そのうえで、日経平均だけでなく、全世界株式やTOPIXに連動する投資信託を組み合わせれば、偏りをやわらげられます。

一方、数年以内に使う予定のお金であれば、株式だけで運用していること自体を見直す余地があります。値下がりしても困らない分だけを株式に回し、残りは預金や個人向け国債などで持つという方法もあります。

まとめ――日経平均の積立が下がったときのチェックポイント

日経平均の約3割は、アドバンテスト、東京エレクトロン、ソフトバンクグループという半導体・AI関連の3銘柄が占めています。毎月同じ額を積み立てていれば、3割下げて元の水準に戻るだけでも評価額は約17%増える計算です。下落そのものより、偏りと、お金を使う時期を確かめることが大切です。日経平均が下がったときは、次の点を確認してみてください。

  • 自分の資産が、日経平均や特定のテーマに偏りすぎていないか
  • 地域の分散(日本・米国・その他)と、資産の分散(株式・債券・預金)の両方ができているか
  • そのお金を使うのはいつか、下落しても積立を続けられる金額か

日経平均は日本経済そのものではありません。中身を知っておけば、下落のニュースにも落ち着いて向き合えるはずです。

参考資料

LIMO編集部