人気アニメ『ドラえもん』に登場するひみつ道具「どこでもドア」は、行きたい場所へすぐに行けるドアです。
「どこでもドア」が便利なのは、「どこでも行きたい場所に、すぐ、無料で行ける」ところ。物価高が続く昨今、旅行に行くにしても交通費などが値上がっており、「もしもどこでもドアがあったら…」と想像したことがある方も多いかもしれません。
最近ではJR東海とJR西日本が2026年10月16日、東海道・山陽新幹線の「のぞみ」「みずほ」の指定席特急料金を見直すと発表しました。ここでは発表された新しい料金をもとに、夫婦2人で「東京から新大阪や名古屋へ」旅行し、往復する場合の新幹線代と、移動にかかる時間を試算します。あわせてもしどこでもドアがあったらどうなるかを考えてみましょう。」
※料金は、JR東海・JR西日本「東海道・山陽新幹線における「のぞみ」・「みずほ」号の指定席特急料金及びグリーン料金の見直し等について」(2026年10月16日)の、通常期におとな1名が片道を普通車指定席で利用する場合の運賃・料金の合計額です。
1. 【のぞみ値上げ】2027年7月から東京―新大阪は700円、東京―名古屋は580円アップ
今回の発表によると、「のぞみ」「みずほ」の普通車指定席を利用する場合の指定席特急料金は、2027年7月1日購入分から改定されます。運賃と料金を合わせた片道の金額は、区間ごとに次のように変わります。
1.1 東京から出る主な4区間の値上げ幅は580円から860円
- 【東京―名古屋】1万1300円→1万1880円(580円アップ)
- 【東京―新大阪】1万4720円→1万5420円(700円アップ)
- 【東京―岡山】1万7770円→1万8530円(760円アップ)
- 【東京―広島】1万9760円→2万620円(860円アップ)
同じ「のぞみ」でも、東京から遠くまで乗る区間ほど、値上げの幅が大きくなっています。
1.2 改定の理由はインフレによるコストの上昇、自由席は据え置き
発表では、昨今のインフレにともない、安全性やサービスを維持・向上させるためのコストが上がっていることを、改定の理由に挙げています。上限認可の範囲内での「届出」による改定です。
一方で、「のぞみ」「みずほ」の普通車自由席を利用する場合の特急料金は改定しないとしています。指定席を使うか自由席を使うかで、今後の負担の変わり方が違ってきます。
2. 【旅行の新幹線代】夫婦2人で東京―新大阪を往復すると6万1680円に
では、夫婦2人で旅行に出かけると、1回の旅行の新幹線代はいくらになるのでしょうか。おとな2人で往復する、つまり片道4回分で計算しました。
2.1 東京―新大阪は旅行1回で2800円の負担増
- 【今の料金】片道1万4720円×4回で5万8880円
- 【2027年7月以降】片道1万5420円×4回で6万1680円
- 【差】2800円の増加
2.2 東京―名古屋は旅行1回で2320円の負担増
- 【今の料金】片道1万1300円×4回で4万5200円
- 【2027年7月以降】片道1万1880円×4回で4万7520円
- 【差】2320円の増加
※試算の前提:通常期におとな1名が「のぞみ」の普通車指定席を片道で利用する場合の運賃・料金の合計額を、4回分(おとな2人の往復)足し合わせたものです。繁忙期・閑散期の料金の違いや、割引のきっぷ、旅行商品は考えていません。
例)夫婦2人で往復する場合 「のぞみ」普通車指定席の新幹線代(2027年7月1日購入分から改定)1/1
出所:JR東海・JR西日本「東海道・山陽新幹線における「のぞみ」・「みずほ」号の指定席特急料金及びグリーン料金の見直し等について」をもとにLIMO編集部作成
1回あたりの値上げは数百円でも、夫婦2人の往復では、東京―新大阪で2800円の違いになります。年に何度か旅行する家庭なら、その回数分だけ負担が重なります。
3. 【移動時間】東京―新大阪は最速2時間21分、往復で4時間42分
新幹線代と並んで旅行の負担になるのが、移動にかかる時間です。JR東海「新幹線鉄道事業」によると、東京―新大阪間は最速達列車で2時間21分です。2020年3月のダイヤ改正からは、すべての「のぞみ」が東京―新大阪間を2時間30分以内で結んでいます。
3.1 最速の2時間21分なら往復4時間42分
旅行で往復すると、最速の列車に乗ったとしても、車内で過ごす時間は次のとおりです。
- 【片道】2時間21分
- 【往復】4時間42分
3.2 2時間30分なら往復5時間
すべての「のぞみ」が結んでいる2時間30分で計算すると、往復で5時間になります。
もし「どこでもドア」があれば、この時間をまるごと旅先で過ごせることになります。どこでもドアの実現はまだ夢のまた夢ですが、ニュースが出たらシミュレーションをして「もしも…」を想像してみる時間は、きっと豊かになることでしょう。
4. もしもどこでもドアがあれば…旅行で浮くのは「交通費」と「時間」。現実では旅行費用の確認を
ここからは、新幹線代の値上げを、旅行全体にかかるお金と、今後の料金の変化から読み直します。
4.1 国内の宿泊旅行は1人1回あたり7万2412円
観光庁「旅行・観光消費動向調査 2025年年間値(確報)」によると、日本人の国内の宿泊旅行で、1人1回あたりにかかった旅行の支出は7万2412円でした。この金額には、交通費のほか、宿泊費、飲食費、買物代などが含まれます。
旅行の費用は、行き先や泊数によって大きく変わります。新幹線代の値上げは、その一部分です。旅行の予算を考えるときは、交通費と宿泊費などを分けて書き出しておくと、どこが増えたのかがわかりやすくなります。
4.2 グリーン料金も2027年12月15日乗車分から改定
今回の発表では、東海道・山陽新幹線のグリーン車の料金も、2027年12月15日乗車分から改定するとしています。旅行のときにグリーン車を使う方は、指定席とは別の時期に負担が変わる点にも気をつけたいところです。
指定席の値上げは2027年7月1日購入分から、グリーン料金は12月15日乗車分からと、始まる時期と数え方が違います。旅行の日程を決めるときは、きっぷを買う日と乗る日の両方を確かめておくと計画が立てやすくなります。
5. まとめにかえて
まずは、よく行く旅行先までの区間と、1年に何回くらい新幹線で旅行するかを書き出してみましょう。そのうえで、2027年7月以降の金額との差を人数と回数分かけてみると、値上げが家計にどのくらい響くのかがわかります。
「どこでもドア」はまだ夢の道具ですが、移動にかかるお金と時間を数字で確かめておくことは、今日からでもできます。次の旅行の計画を立てるときに、交通費の見積もりもあわせて見直してみるといいでしょう。
※本記事の料金は、通常期におとな1名が片道を普通車指定席で利用する場合の運賃・料金の合計額です。実際の金額は、利用する日や列車、きっぷの種類によって変わります。最新の料金は、JR各社の案内でご確認ください。
参考資料
- JR東海・JR西日本「東海道・山陽新幹線における「のぞみ」・「みずほ」号の指定席特急料金及びグリーン料金の見直し等について」
- JR東海「新幹線鉄道事業」
- 観光庁「旅行・観光消費動向調査 2025年年間値(確報)」
宮野 茉莉子