1. 【神奈川県の難読駅名】「尻手」「八丁畷」「入生田」の読み方、駅のまわりの地価と街の姿を紹介

電車の案内や路線図で「なんか見たことある」と思いながら、いざ漢字だけを目にすると読み方に戸惑う駅名は少なくありません。

神奈川県には、昔の街道や村の名前、古い言葉がそのまま残った駅名がたくさんあります。

今回は、神奈川県にある難読駅名を3つ出題します。あわせて、駅にまつわる人物や歴史、駅のまわりの地価など「お金」にまつわる話も紹介します。

住まい選びや街歩きのヒントとしても楽しんでみてください。

2. 【神奈川県の難読駅名】川崎市幸区「尻手駅」の読み方と由来

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LIMO編集部作成

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最初にご紹介する駅は、JR南武線の「尻手駅」です。

川崎と立川を結ぶ南武線で、川崎駅と矢向駅のあいだにあります。浜川崎方面へ向かう南武支線が分かれる駅でもあります。

「しりて」と読みたくなりますが、正解はどうでしょうか。

2.1 読み方は「しって」

「しって」と読みます。

JR東日本によると、尻手駅は1927年(昭和2年)3月9日に開業しました。

面白いのは、駅の住所と町の名前がちがう市にあることです。JR東日本の駅の情報では、尻手駅の住所は「川崎市幸区南幸町3丁目」です。一方、「尻手」という町は川崎市ではなく、となりの横浜市鶴見区にあり、尻手1丁目から3丁目まであります。

なお、「尻手」という地名の由来については、市の公式資料などでは確認できず、はっきりしていません。

2.2 【「尻手」ゆかりの人物】郷ひろみさんのお父さんが勤めていたと伝わる駅

尻手駅には、意外な有名人とのつながりがあります。

川崎市幸区の地域ニュースサイト「幸区民ニュース」では、歌手の郷ひろみさんのお父さんが国鉄の職員で、この尻手駅に勤めていたと紹介されています。

また、2015年のNEWSポストセブンの記事でも、郷ひろみさんのお父さんが尻手駅で助役(副駅長)として勤めていたという地元の人の話が紹介されています。

ふだんは乗り換えで通りすぎるだけという方も、そんな話を思い浮かべながら降りてみると、駅の見え方が少し変わるかもしれません。

2.3 【「尻手」の地価公示価格】住宅地は1平方メートル45万5000円

2026年の地価公示では、横浜市鶴見区尻手1丁目の住宅地が1平方メートルあたり45万5000円でした。前年の42万1000円から8.1%上がっています。

上がり方は、鶴見区にある住宅地の地点のなかで2番目に大きくなっています。尻手2丁目の商業地も42万円で、前年の39万円から7.7%の上昇です。

神奈川県によると、2026年の県全体の住宅地の平均変動率は3.4%でした。

尻手はその2倍以上のペースで上がっていることになります。川崎駅まで1駅という近さが評価されていると考えられます。

3. 【神奈川県の難読駅名】川崎市川崎区「八丁畷駅」の読み方と由来

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LIMO編集部作成

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次にご紹介する駅は、川崎市川崎区にある「八丁畷駅」です。

京急本線の京急川崎駅と鶴見市場駅のあいだにあり、JR南武支線にも乗り換えができる駅です。

「はっちょうてつ」と読みたくなりますが、正解はどうでしょうか。

3.1 読み方は「はっちょうなわて」

「はっちょうなわて」と読みます。

「畷(なわて)」は、田んぼの中をまっすぐに通る道のことです。「八丁」は昔の長さの単位で、1丁は約109mです。

川崎区の資料によると、東海道の川崎宿を抜けると、となりの市場村(今の横浜市鶴見区市場上町)まで、田んぼの中のまっすぐな道が八丁(約870m ※京急の駅案内では「約800m」とされている)続いていたことが、この名前の由来とされています。

3.2 【「八丁畷」の街】芭蕉の句碑と無縁塚が残る

駅の近くには、松尾芭蕉の句碑があります。

川崎市教育委員会によると、芭蕉は1694年(元禄7年)、ふるさとへ向かう旅の途中、川崎宿まで見送りに来た弟子たちとこの八丁畷で別れました。

そのときに詠んだのが「麦の穂を たよりにつかむ 別れかな」という句です。

句碑は1830年(文政13年)に建てられたもので、句が実際に詠まれた場所に立つ芭蕉の句碑は数少なく、たいへん貴重とされています。現在は川崎市地域文化財になっています。

また、京急の八丁畷駅の敷地内には「無縁塚」があります。

このあたりでは江戸時代以降、多くの人骨が見つかっていて、災害などで亡くなった身元のわからない人たちを葬ったのではないかといわれています。

1934年(昭和9年)に地元と川崎市が供養塔を建て、今も町内会が毎年供養を続けています。

3.3 【「八丁畷」の地価公示価格】住宅地は川崎区で最も高い1平方メートル41万6000円

2026年の地価公示では、駅のある池田1丁目のとなりの池田2丁目の住宅地が1平方メートルあたり41万6000円でした。

前年の39万8000円から4.5%上がっています。これは、川崎区にある住宅地16地点のなかで最も高い値段です。

芭蕉の句碑がある日進町の商業地は56万2000円で、前年の50万円から12.4%も上がりました。

川崎区では、川崎駅前本町の商業地が1平方メートルあたり700万円(前年比11.1%上昇)となるなど、駅前の地価が大きく上がっています。

川崎駅に近い八丁畷のまわりにも、その流れが広がっていると考えられます。

4. 【神奈川県の難読駅名】小田原市「入生田駅」の読み方と由来

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LIMO編集部作成

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最後にご紹介する駅は、小田原市入生田にある箱根登山鉄道の「入生田駅」です。

小田原と箱根を結ぶ箱根登山鉄道で、風祭駅と箱根湯本駅のあいだにあります。箱根ナビ(小田急箱根グループ)によると、小田原~箱根湯本間は1935年(昭和10年)10月1日に営業を始めました。

「いりせいだ」「にゅうせいだ」と読みたくなりますが、正解はどうでしょうか。

4.1 読み方は「いりうだ」

「いりうだ」と読みます。

「生」を「う」と読むのがポイントです。駅名は、駅のある小田原市の地名「入生田」からとられています。

なお、「入生田」という地名の由来については、市の公式資料などでは確認できず、はっきりしていません。

4.2 【「入生田」の街】博物館としだれ桜の名所

駅を出てすぐのところには、神奈川県立生命の星・地球博物館があります。神奈川県によると、入生田駅から歩いて3分です。

また、入生田には小田原藩主の稲葉家の菩提寺「長興山紹太寺(ちょうこうざんしょうたいじ)」があります。

小田原市によると、藩主の稲葉正則が1669年(寛文9年)にお寺をこの地に移し、父母と春日局の霊をとむらいました。

境内にある「長興山の枝垂桜」は、そのころに植えられたもので、樹齢は約350年と考えられています。高さは約13mあり、小田原市の天然記念物に指定されています。

4.3 【「入生田」の地価公示価格】となりの風祭の住宅地は1平方メートル6万8800円

入生田には地価公示の地点がないため、となりの風祭の地点を見てみましょう。

2026年の地価公示では、風祭の住宅地が1平方メートルあたり6万8800円で、前年から横ばいでした。

箱根登山鉄道の箱根板橋駅がある板橋の住宅地も14万6000円で、こちらも前年と同じ値段です。

小田原市の住宅地36地点を見ると、上がった地点が24、横ばいが10、下がった地点が1でした(残る1地点は今年から新しく選ばれた地点)。

川崎・横浜の駅のまわりでは大きく上がっている一方、小田原の山あいの住宅地では地価が落ち着いていることがわかります。

5. 著者のコメント

長島 迪子
郷ひろみさんのお父さんが勤めていたと伝わる駅、芭蕉が弟子と別れた道、小田原藩主ゆかりのしだれ桜と、3つの駅にはそれぞれの面白いエピソードがあり、調べていてい面白かったです。

尻手駅のように、駅名の町と駅のある市がちがうという意外な発見もあります。

地価を見ると、川崎駅に近い尻手や八丁畷では上昇が続き、小田原の入生田周辺では落ち着いた動きと、同じ神奈川県でも街ごとにちがう顔を持っています。

読み方の面白さをきっかけに、ふだん通りすぎている駅で一度降りてみると、新しい発見があるかもしれません。

6. 【まとめ】尻手の住宅地は入生田周辺の約6.6倍

今回紹介した3駅の近くの地点を並べると、尻手(尻手1丁目)の住宅地は、入生田のとなりの風祭の住宅地の約6.6倍の値段でした。

上がり方では、尻手周辺が8.1%と最も大きく伸びています。

※入生田には標準地がないため、近くの地点を掲載。商業地は住宅地と単純に比較できません

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本記事に記載の内容を基にLIMO編集部作成

本記事に記載の内容を基にLIMO編集部作成

今回は神奈川県の難読駅名「尻手(しって)」「八丁畷(はっちょうなわて)」「入生田(いりうだ)」を紹介しました。

郷ひろみさんゆかりの駅、芭蕉が別れの句を詠んだ道、小田原藩主ゆかりのしだれ桜と、駅にまつわる話はそれぞれ個性的です。

一方で、駅のまわりを見ると、川崎駅に近く地価の上昇が続く街と、自然の多い落ち着いた街と、地価の動きもさまざまです。

ふだん何気なく使っている駅名にも、歴史とお金の両方から見た物語があります。ぜひ身近な駅の名前の由来や地価も調べてみてください。

参考資料

長島 迪子