レンタカーやカーリースなどで知られ、堅実な「リース会社」と認識されがちなオリックス。

しかし直近決算を紐解くと、利益の大半を稼ぎ出しているのはリースではなく「投資」です。

安定した収益基盤と独自のネットワークを武器に、なぜ同社は高い投資リターンを上げ続けられるのか。元機関投資家の分析をもとに、同社の真の事業構造と「稼ぐ力」の秘密に迫ります。

1. リース会社というイメージの裏に隠された「稼ぐ力」

オリックスといえば、レンタカーや企業向けのカーリース、あるいはプロ野球球団などを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。株式市場においても、三菱HCキャピタルなどと比較され、堅実な「リース会社」として認識されがちです。

しかし、直近の決算を見ると、その利益の大部分はリース業から生み出されたものではありません。手堅いビジネスモデルに見える同社が、一体なぜ、これほど大きな利益を上げることができるのでしょうか。

この秘密について、元機関投資家の木村敬子氏と泉田良輔氏の分析をもとに、オリックスの事業構造と財務体質を紐解き、業績好調の本当の理由を解説します。

2. 決算から見えてくる「総合金融会社」としての実態

まず、直近の業績を確認します。オリックスの2027年3月期第1四半期(2026年4〜6月)の営業収益(売上高)は、前年同期比17.4%増の8,766億円でした。前年同期も7.7%増(売却を決めたオリックス銀行を「非継続事業」として除いた組替後の数値)となっており、順調に収益を拡大しています。

営業利益は前年同期比11.7%増の1,339億円でした。しかし、さらに注目すべきは、継続事業からの税引前四半期純利益が4,061億円に達し、営業利益の約3倍に膨らんでいる点です。

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第1四半期の収益と利益

出所:オリックス株式会社「2027年3月期 第1四半期決算短信」(2026年8月6日)を基にイズミダイズム作成

この利益の押し上げ要因となっているのが、営業利益と税引前利益の間に計上される「持分法投資損益」(出資比率に応じて取り込む、出資先の損益)などの項目です。ここには、東芝を保有するファンドへの出資を通じて間接的に取り込んでいる、キオクシア関連の売却益や評価益などが含まれています。

木村氏は、現在のオリックスを単なるリース会社として捉えることはできないと指摘します。「同じようなことをやっている会社って、他にないので」と述べ、同社が独自のポジションを持つ総合金融会社であると評価しています。

3. 「金融」「事業」「投資」の3分類で構成されるポートフォリオ

オリックスの事業構造を理解する上で重要なのが、同社がビジネスを「金融」「事業」「投資」の3つに分類している点です。

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4セグメントと3分類のマトリックス

出所:オリックス株式会社「2027年3月期 第1四半期 決算説明会資料」p.8(2026年8月6日)

同社は、APAC(日本を含むアジア・太平洋地域)、インフラ、欧米、保険という4つのセグメントを持っています。その中身を収益の性質によって3つに分類し、マトリックスに配置しています(保険は「金融」のみ)。

1つ目の「金融」は、リースや保険など、ストック型(契約が積み上がり、継続的に収益が入る形)で利ざやを稼ぐ安定的なビジネスです。

2つ目の「事業」は、自動車リースや不動産運営など、現場のオペレーションまで自社で手掛ける領域です。

3つ目の「投資」は、国内のプライベート・エクイティ(PE)投資など、企業や事業を買収し、価値を高めてから売却してリターンを得るビジネスです。

第1四半期の利益をこの3分類で見ると、その特徴が鮮明になります。「金融」が452億円、「事業」が554億円であったのに対し、「投資」は3,235億円と突出しています。キオクシア関連の売却益・評価益(税引前で約1,798億円)を除いたとしても、投資事業が極めて大きな利益を生み出しています。

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3分類別の利益構成

出所:オリックス株式会社「2027年3月期 第1四半期 決算説明会資料」(2026年8月6日)を基にイズミダイズム作成

インタビュワーが、いまの主な収益源はどこかと尋ねると、木村氏は次のように解説します。

「金融と事業というかなり安定した収益でカバーしながらすごくバランスのいいポートフォリオを保っている」

投資事業は、売却のタイミングによって利益が大きく変動する(ボラティリティがある)性質を持っています。実際、投資区分の利益は、2021年3月期の541億円から2026年3月期の3,063億円まで、年によって大きく振れています。

オリックスの強みは、この変動の大きい投資ビジネスを、金融と事業という安定した収益基盤でしっかりと支える構造を持っている点にあると考えられます。