2026年度から、いわゆる「高校無償化」が拡充され、私立高校に通う家庭も、世帯年収にかかわらず授業料の支援を受けられるようになりました。

では、私立高校の学費は本当に「無償」になるのでしょうか。私立高校の学費には、授業料のほかに入学金や施設関係の費用、諸会費などがかかり、学校によって費目も金額もさまざまです。

本記事では、自身も小学生の息子を育てる筆者が、首都圏で人気の私立高校の学費について調べました。

やや遠い未来ですが、これから高校入試を受ける可能性が高い子供を持つ親としては、今からその準備をしておく必要もあるので、費用感をつかんでおくことはとても大事だと思います。

今回は、大学附属の男子校である早稲田大学高等学院と立教新座高校の2校を取り上げます。両校が公式サイトで公表している2027年度入学者向けの金額をもとに、3年間の学費と、国の就学支援金を差し引いた後の負担を比べます。

1. 【私立高校の学費】早稲田大学高等学院の学費

早稲田大学高等学院(東京都練馬区)は、早稲田大学の附属校で、男子校です。

2027年度入学者の学費は、公式サイトで公開されている「2027年度 入学試験要項」に、学年・学期ごとに示されています。これを年額にまとめると、次のとおりです。

1.1 早稲田大学高等学院 2027年度入学者の登録料・学費・諸会費(年額)

学費は学期ごとに年2回に分けて納めます。入学手続時には、登録料(入学者は入学金に振り替え)と1年の最初の学期分をあわせた76万5000円が必要です。

授業料は学年が上がるごとに高くなるのが特徴で、1年の71万5000円に対し、3年では80万3000円になります。

なお、実験実習料・諸会費は改定される場合があるとされています。

このほか、運動着、教材、宿泊研修などの費用が別に必要です(同校公式サイト「学費・奨学金・就学支援制度」より)。

また、入学者には教育振興資金(1口10万円、2口以上)への協力のお願いがありますが、入学の条件ではないと明記されています。

1.2 早稲田大学高等学院 3年間の学費合計

入学試験要項に示された学年ごとの金額を足すと、次のとおりです。

  • 1年次:126万500円
  • 2年次:105万1500円
  • 3年次:108万8500円
  • 3年間の合計:340万500円

2. 【私立高校の学費】立教新座高校の学費

立教新座高校(埼玉県新座市)は、立教大学と同じ学校法人立教学院が運営する男子校です。

2027年度入学者の学費は、公式サイトで公開されている「2027年度 高等学校入学試験要項(一般入試)」に、2027年度の予定金額として次のとおり示されています。

2.1 立教新座高校 2027年度入学者の初年度納入金(予定)

入学手続時には、入学金30万円と維持資金の一部10万円をあわせた40万円を納めます。残りは5月・9月・1月の3回に分けて口座から引き落とされます(一括全納も可能)。

同校は、これらの金額は2027年度の予定金額で、改定・変更されることがあるとしています。また、入学者には教育研究事業振興資金(1口10万円、複数口)として任意の寄付のお願いがあります。

2.2 立教新座高校 3年間の学費合計(試算)

入学試験要項には、2・3年次の金額として維持資金(37万8000円)だけが示されています。ここでは、授業料・学友会費・セントポール会費も1年次と同じ金額がかかると仮定して試算します。

  • 1年次:133万3000円
  • 2〜3年次:103万3000円(維持資金37万8000円+授業料62万4000円+会費3万1000円)×2年=206万6000円
  • 3年間の合計:339万9000円

3. 早稲田大学高等学院と立教新座高校の費用比較

入学金・授業料と、施設・教育環境のための費用(早大学院は教育環境整備費と実験実習料、立教新座は維持資金)、諸会費を比べると、次のとおりです。

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出所:本記事に記載の内容を基にLIMO編集部作成

出所:本記事に記載の内容を基にLIMO編集部作成

初年度は、入学金と維持資金が高い立教新座高校のほうが7万2500円高くなります。

一方、早稲田大学高等学院は学年が上がるごとに授業料が上がるため、2年次以降は年額で立教新座高校(試算)を上回ります。その結果、3年間の合計はどちらも約340万円で、ほぼ同じ水準になりました。

4. 【高校無償化】就学支援金を差し引くと負担はいくらになる?

2026年度から、国の「高等学校等就学支援金」が新しくなりました。

文部科学省によると、所得制限が撤廃され、私立高校(全日制)に通う生徒には、世帯年収にかかわらず年45万7200円を上限に授業料が支援されます。返済は不要ですが、申請が必要です。

ただし、支援の対象は授業料だけです。入学金や施設関係の費用、諸会費などは対象になりません。また、日本国籍以外の生徒には国籍・在留資格などの要件があります。

なお、以下の試算は令和8年度(2026年度)の支援額を、2027年度入学者の3年間にそのまま当てはめたものです。

※2027年度以降の支援額が変われば、負担額も変わります。

4.1 国の就学支援金(年45万7200円)を差し引いた後の学費

両校とも授業料が年45万7200円を上回るため、毎年上限額いっぱいの支援を受けられる計算です。3年間で最大137万1600円になります。

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出所:各校の入学試験要項、文部科学省「高校生等への修学支援」を基にLIMO編集部作成

出所:各校の入学試験要項、文部科学省「高校生等への修学支援」を基にLIMO編集部作成

就学支援金を差し引いても、3年間の負担はどちらも約203万円あるということになりました。

差額の授業料負担があることにくわえ、入学金や施設関係の費用は支援の対象外だからです。

授業料が高い早大学院は、支援後も授業料が年25万〜35万円ほど残ります。一方、立教新座は授業料の残りは年16万6800円ですが、入学金と維持資金が高く、3年間の合計では両校がほぼ並びます。

4.2 東京都に住んでいる場合は、都の上乗せもある

東京都に住んでいる場合は、都の「私立高等学校等授業料軽減助成金」も受けられます。

東京都私学財団によると、令和8年度は国の就学支援金とあわせて、最大で年50万1000円(都の分は年4万3800円が上限)まで、実際に負担した授業料を助成します。所得要件はなく、都外の私立高校に通う場合も対象です。

国と都の支援を最大まで受けた場合、3年間の負担は、早大学院が189万7500円、立教新座が189万6000円(試算)になります。

都の助成金は、国の就学支援金とは別に、毎年度の申請が必要です(令和8年度の通常申請は7月でした)。

4.3 埼玉県に住んでいる場合は、所得によって県の補助もある

埼玉県では、生徒と保護者が県内に住み、所得要件を満たす場合に、県の「父母負担軽減事業補助金」を受けられます。補助の対象は、授業料のほか、施設費等納付金や入学金です。

ただし、対象は埼玉県が認可した私立学校に通う場合です。

県内にある立教新座高校は対象になりえますが、東京都にある早大学院は対象外になります。補助額は所得によって異なるので、埼玉県の公式サイトで確認しましょう。

4.4 支援を受けても、入学時のお金は用意しておくことがおすすめ

支援金は、入学後に申請して支給が決まる仕組みです。

学校によっては、いったん授業料を納めたあとに支援金の分が戻ってくる場合もあります。たとえば早大学院は公式サイトで、就学支援金の分をあらかじめ授業料から減らして徴収するのではなく、学費の納入後、1月末に年間の支給額を振り込むと説明しています。

入学手続時に必要な金額(早大学院は76万5000円、立教新座は40万円)は、支援を見込まずに準備しておくと安心です。

5. 【早稲田大学高等学院・立教新座高校学費】まとめ

公式に公表されている2027年度の金額で比べると、3年間の学費は早稲田大学高等学院が340万500円、立教新座高校が339万9000円(試算)でした。

2026年度から国の就学支援金は所得制限なしで年45万7200円が上限となり、これを差し引くと3年間の負担はどちらも約203万円です。「高校無償化」といっても、授業料が支援の上限を超える分や、入学金・施設関係の費用は家庭の負担として残ります。

私立高校の学費を考えるときは、授業料だけでなく、支援の対象外になる費用や入学時に必要な金額まで含めて確認しておきましょう。住んでいる都道府県の上乗せ制度もあわせて調べておくことが大切です。

6. 著者のコメント

長島 迪子
「高校無償化」と聞くと、私立高校でも学費がかからなくなる印象を持つかもしれません。

実際に計算すると、今回の2校では国の支援を差し引いても3年間で約200万円が残りました。

支援の対象は授業料だけで、入学金や施設関係の費用は含まれないからです。

本記事は学費を両校の公式サイトの入学試験要項から、支援制度を文部科学省などの公式情報から引いているので、資金計画の参考にしてください。

参考資料

長島 迪子