「日本の映画館は別格すぎる!」――そんな言葉とともに、フランス出身の@bebechan_franceさんがInstagramに投稿した動画が、9000件を超えるいいねを集めています。

記事後半では、訪日客が映画館のような「体験」にどのくらいお金を使っているのかを、観光庁のデータで見ていきます。

1. 【日本に染まる前と後】ポップコーン、スマホ、帰り際…映画館での過ごし方はこう変わった

日本に染まる前。高いのに美味しくないポップコーンに顔をしかめる1/2

日本に染まる前。高いのに美味しくないポップコーンに顔をしかめる

出所:@bebechan_france

「日本に染まる前」は、高いのに美味しくないポップコーンに顔をしかめ、上映中は騒がしい客席やスマホの光に悩まされます。

エンドロールの途中でみんなが退場し、最後は床を見回して「どこもかしこも汚い…」とつぶやいて終わります。

日本に染まった後。上映後は身の回りを片付けてから席を立つ2/2

日本に染まった後。上映後は身の回りを片付けてから席を立つ

出所:@bebechan_france

一方「日本に染まった後」は、上映前に携帯電話を機内モードにし、感動的なシーンも口元を押さえて静かに味わいます。

最後は「立つ鳥跡を濁さず」のテロップとともに、身の回りを片付けてから席を立っていました。

コメント欄には「誇張じゃなくてほんとにこの通りですよね」という声も寄せられていましたよ。

@bebechan_franceさん、ご協力ありがとうございました!

日本人には当たり前の映画館での過ごし方も、海外から来た人には特別な体験に映るようです。では、訪日客はこうした「体験」にどのくらいお金を使っているのでしょうか。

2. 訪日客の「娯楽等サービス費」は1090億円、前年同期の1032億円から増加

観光庁「インバウンド消費動向調査」の2026年4-6月期の調査結果(2次速報)によると、訪日外国人旅行消費額は2兆5125億円で、2025年同期比0.3%増とほぼ横ばいでした。

そのなかで、映画館やテーマパーク、美術館などの入場料を含む「娯楽等サービス費」は1090億円。前年同期の1032億円から増え、消費額全体に占める割合(構成比)も4.1%から4.3%になりました。

2.1 費目別の訪日外国人旅行消費額(2026年4-6月期)

  • 宿泊費:9207億円(前年同期:9636億円)
  • 買物代:6821億円(同:6547億円)
  • 飲食費:5463億円(同:5257億円)
  • 交通費:2527億円(同:2543億円)
  • 娯楽等サービス費:1090億円(同:1032億円)

宿泊費と交通費が前年同期を下回った一方で、娯楽等サービス費、買物代、飲食費は前年同期を上回りました。

ちなみに、フランスからの旅行者(一般客)1人当たりの娯楽等サービス費は1万9304円で、全国籍・地域の1万620円を上回っています。

3. 訪日客が「体験」に使うお金は、私たちの暮らしとどうつながる?

観光庁の2025年の年次報告書によると、日本滞在中にしたことのうち「満足した」と答えた人の割合は、「日本の日常生活体験」が97.2%と最も高くなっています。映画館で静かに観て片付けて帰るような日常のひとコマも、訪日客にとっては満足度の高い体験なのかもしれません。

娯楽等サービス費として使われたお金は、映画館やテーマパーク、美術館といった施設の売上になります。いずれも、地域で暮らす私たちが日常的に利用する場所です。

政府は2026年3月に閣議決定した「観光立国推進基本計画(第5次)」で、観光を「地域経済や日本経済の発展をリードする戦略産業」と位置づけ、訪日外国人旅行消費額9.5兆円(2025年)の経済波及効果は約19兆円に及ぶとしています。

一方で同計画は、混雑やマナー違反といった課題への対応も掲げ、「インバウンドの戦略的な誘客と住民生活の質の確保との両立」を施策の柱の一つにしています。

静かに観て、片付けて帰る。日本人にとっての当たり前が、海外の人には価値ある体験として映り、その体験が身近な施設を支えるお金にもなっています。動画をきっかけに、いつもの映画館が少し違って見えてくるかもしれません。

4. 訪日外国人の消費データ、よくある疑問

Q. 「娯楽等サービス費」には、どんなお金が含まれる?

A. 観光庁の調査の費目区分では、現地ツアー・観光ガイド、テーマパークや美術館・博物館・動植物園・水族館の入場料、音楽コンサートや演劇などのチケット代、スポーツ観戦、温泉・スパ、マッサージなどが含まれます。映画館は「その他娯楽等サービス費」に分類されています。なお、パッケージツアー料金に含まれる分は対象外です。

Q. 日本に住んでいる外国人のお金の使い道も、この統計に含まれる?

A. 含まれません。観光庁の「インバウンド消費動向調査」でいう「訪日外国人」には、観光・レジャー目的のほか、業務目的や親族・知人訪問目的などで日本を訪れた外国人が含まれる一方、日本に居住している外国人は含まれないとされています。日本で暮らす外国人が映画館で使うお金は、この統計の対象外ということになります。

5. ライターからの一言コメント

小野 温子
「日本に染まる前」と「染まった後」の違いをユーモアたっぷりに演じ分けた@bebechan_franceさんの動画からは、日本人が普段意識していない映画館のマナーが、外から見ると特別なものに映ることが伝わってきました。訪日客が日本での「体験」にもお金を使っていることを知ると、私たちの身近な場所の魅力を見直すきっかけになりそうですね。

参考資料

小野 温子