1. 2月末の1万1,500円台から3割超の下げ、上方修正と逆向きに動いた株価

2025年10月末の月末終値は7,400円台で、昨秋以降では最も低い水準だった。11月末には9,100円台へ大きく切り上がり、年末から1月末にかけては9,000円台を保っている。

2026年2月末には1万1,500円台まで上昇し、昨秋以降の月末終値で最も高い水準をつけた。2025年10月末から見ると5割を超える上げだ。

流れが変わったのは3月以降だ。3月末は1万円台、4月末は9,100円台と水準を切り下げ、5月末から7月末は8,400〜8,600円台で推移した。

8月末には7,900円台まで下げ、2026年9月時点の終値は7,500円台にある。2月末の高値からは3割超の下落で、昨秋の水準近くまで戻ってきた形だ。

11月と2月の上昇は、通期決算や1Q決算の発表時期と重なる。決算内容が株価の見直しにつながった可能性はあるだろう。

一方で、春以降の下げは決算の中身が崩れた局面ではない。住宅・不動産株は金利の動向に左右されやすく、金利上昇への警戒が株価の重しになった可能性がある。ただ、下落の理由を1つに特定するのは難しい。

2. 3Q累計は営業利益1,209億円、上方修正を3回重ねた通期予想

2026年9月期3Q累計の売上高は1兆234億円、営業利益は1,209億円、経常利益は1,160億円、純利益は812億円だった。

通期予想に対する進捗率は、売上高が68.2%、営業利益が67.2%、純利益が68.6%となる。3Q時点の単純な目安である75%は下回る。もっとも、不動産は引き渡しの時期によって四半期ごとの売上が偏りやすく、進捗率だけで判断しないよう注意したい。

上期の段階では、売上高6,891億円(前年同期比+7.1%)、営業利益843億円(同+14.4%)、純利益570億円(同+22.4%)と、利益の伸びが売上を上回っていた。

通期の営業利益予想は、期初の1,700億円から1Qで1,745億円、上期で1,782億円へ引き上げられ、3Qでは1,800億円(前期比+23.3%)となった。1株配当の予想も188円から200円、205円へと段階的に増えている。前期の実績は178円だった。

前期にあたる2025年9月期通期は、売上高1兆3,364億円(前期比+3.1%)、営業利益1,459億円(同+22.5%)だった。会社は当時、全国平均地価が4年連続で上昇し、都心マンションや手頃な戸建住宅、収益不動産、アメリカ不動産への投資需要が高まるとみていた。

その見立てに沿って、実需不動産と投資不動産を組み合わせたポートフォリオ経営で企業価値を高めるというのが会社の方針だ。数字を見る限り、足元まではその想定どおりに進んでいると言えるだろう。

3. 稼ぎ頭は戸建、マンションとプレサンスが利益の厚みを増す

利益の中身をセグメント別に見てみる。3Q累計で最も大きいのは戸建関連事業で、売上高5,630億円(前年同期比+8.7%)、営業利益618億円(同+10.5%)と、連結売上の5割超を占める。

流動化事業は売上高1,540億円(同+8.6%)、営業利益163億円(同+12.1%)と堅調だった。プレサンスは売上高1,500億円(同▲0.3%)とほぼ横ばいながら、営業利益は207億円(同+13.8%)と伸びた。

目を引くのはマンション事業だ。売上高は424億円と前年同期の2倍強に増え、営業利益は75億円、営業利益率は17.8%に達する。規模はまだ小さいが、利益率はセグメントの中で最も高い。

戸建関連事業の営業利益率は11.0%で、稼ぎ頭としての安定感を保っている。そのうえで、マンションやプレサンスといった利益率の高い事業が伸び、全体の利益を押し上げる構図が読み取れる。

2025年9月期の連結営業利益率は10.9%で、不動産業の中央値9.8%を上回る。戸建という1本柱に、利益率の異なる複数の事業が重なることで、稼ぐ力に厚みが出てきた段階と考えられる。

4. 筆者コメント

印象的なのは、会社の見通しと株価の向きがここまで食い違っている点だ。

会社は期中に何度も予想を引き上げ、利益の伸びも売上を上回ってきた。それでも株価は下げ続けた。私は、市場が見ているのが今期の利益ではなく、その先の「条件」なのではないかと考えている。

戸建住宅は、買い手の多くが住宅ローンを組む商品だ。金利が上がれば、同じ家でも月々の返済は重くなる。株価は、足元の引き渡しの好調さより、来期以降の需要の変化を先に織り込もうとしているのだろう。

つまり今の株価は、業績の成績表への反応というより、住宅需要の「天気予報」への反応に近い。

決算を見るときは、利益の伸びと同時に、金利や住宅需要といった外部環境の変化をセットで確かめてほしい。業績と株価のズレを読み解く手がかりは、決算書の外にもある。

5. 有利子負債7,200億円は重いのか、業界の物差しで測り直す

ここからは財務の側面を掘り下げる。2025年9月期末の借入金と社債の合計は7,200億円で、2021年9月期末の4,371億円から1.6倍に膨らんだ。同じ期間に総資産も8,799億円から1兆4,120億円へ拡大している。

支払利息も31億円から77億円へ増えた。借入を増やしながら規模を拡大してきたことは、数字からはっきり読み取れる。

急成長する不動産会社と聞くと、借入に頼った危うい財務をイメージする人もいるだろう。ところが業界の物差しを当てると、その姿は少し違って見える。

2025年9月期の自己資本比率は38.1%で、不動産業の中央値33.6%を上回る。試しに有利子負債を自己資本で割ると1.3倍台で、業種のD/Eレシオ(負債資本倍率)の中央値1.38倍とほぼ同じ水準だ。

しかも手元には4,076億円の現金及び預金があり、借入金と社債から差し引くと3,100億円台にとどまる。借入の絶対額は大きいが、業界内で突出して重いわけではない。

むしろ注目したいのは、ROEの中身だ。2025年9月期のROEは20.1%と、不動産業の中央値9.5%の2倍を超える。総資産に対する純利益の比率(ROA)も7%台で、中央値3.1%を大きく上回る。

高いROEは借入の多さだけで生まれているのではなく、資産を回して利益を出す力そのものが強いと解釈できる。一方で配当性向は20.3%と業種の中央値33.1%より低く、利益の多くを事業に再投資している姿がうかがえる。

6. 営業CFがマイナスに振れる年がある理由、在庫を抱える事業モデルの特性

キャッシュフローに目を移すと、利益とは違う表情が見えてくる。営業CFは2021年9月期が501億円、2022年9月期が▲163億円、2023年9月期が173億円、2024年9月期が1,047億円、2025年9月期が295億円と、年によって大きく振れている。

2026年9月期も上期の営業CFは▲371億円だった。一方で財務CFは+428億円で、借入などで資金を手当てしている。

背景にあるのは、この会社の事業モデルだ。用地を仕入れて住宅を建てて売る事業では、仕入れた土地や建築中の建物が販売用の在庫として資産に積み上がる。仕入れを増やす年は、利益が出ていても営業CFが目減りしやすい。

実際、流動資産は2021年9月期末の8,307億円から2025年9月期末には1兆3,128億円へ増えている。利益の成長と在庫の積み増しが、同時に進んできたと読み取れる。

営業CFのマイナスは、成長のための仕入れの裏返しでもある。ただし金利が上がる局面では、在庫を抱える期間が長いほど資金のコストが重くなる。営業CFの符号だけで評価するのではなく、在庫の回転と借入コストをセットで見分ける姿勢が重要だ。

7. 筆者コメント

オープンハウスグループは、規模を追う局面から、資本の効き方を問われる局面へ移りつつあるように見える。

これまでは、借入を使って在庫を積み、それを売って利益を伸ばすという成長の型が、低い金利のもとでうまく回ってきた。ROAの高さは、その回転の速さを映しているのだろう。

ところが金利の前提が変わると、同じ型でも資金のコストが効いてくる。利益は伸びても、株主が手にする価値の伸びが鈍る可能性がある。株価の下げは、その変化を先取りしているとも受け止められる。

この先の論点は、成長の速度を保ちながら在庫の回転をどこまで高められるかだ。利益の額よりも、資本がどれだけ速く回っているかに目を向けることをおすすめしたい。

通期決算では、利益の着地とあわせて営業CFと借入の増え方を確かめたい。成長の質を測る物差しは、そこにあるはずだ。

参考資料

9. 免責事項

本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、特定の株式の購入や売却について助言や推奨するものではありません。

本記事上の情報に起因、また関連して生じた損害や損失に関しては一切の責任を負いません。

投資判断は最新の決算資料や市場動向などをご自身でご確認の上、自己責任で行ってください。

株主優待の内容や条件などは変更される可能性があるため、必ず公式サイトでご確認ください。

石津 大希