キュレーターから読者に伝えたいポイント

2016年3月期は中国経済の動向に翻弄された1年でしたが、2017年3月期の業績を考えるうえでも重要な関心事です。

最近は、マクロ統計だけではなくミクロレベルでも“少し安定化してきた”という話が聞かれますが、一方で中国の統計は当てにならないので実態はもっと悪い、巨額の不良債権問題が隠れているので楽観できない、といった慎重論も相変わらず多く見受けられます。

このように意見が割れる局面において、いつまでも超悲観論を引きずっているとせっかくの投資チャンスを失うことになります。一方、あまりに楽観的になりすぎると大火傷を負う可能性もあります。

大切なことは、悲観一色ではなくなってきたという事実であり、これを踏まえて中国の回復が本物かを考えることをお勧めします。今回ピックアップして解説する以下3本の記事は、そうした“頭の体操”を行うための一助になるかと思います。

マクロ統計からは安定化が確認できる

この記事では、中国経済の安定化の兆しを示す最近のマクロ統計を紹介しています。具体的には、2016年4月15日に発表された1-3月期GDP成長率(+6.7%増)や、同日に発表された工業生産(+6.8%増)、固定資産投資(+10.7%増)等です。

中身を精査する必要はあるものの、とりあえずこれまで中国政府が行ってきた金融緩和や財政出動などの政策効果は現れてきており、ハードランディングや底割れが避けられている中国の現在の実態を、これらの統計から読み取ることができます。

安定化の兆しが見られる、中国経済

出所:ピクテ投信投資顧問

回復の持続性を考えるためのポイント

中国経済が安定化してきたことは事実だとしても、その安定化が永遠に続く保証はどこにもありません。この記事にあるように、回復の持続を見込むためには財政政策による景気の下支えが継続するか、過剰生産能力や不良債権といった負の遺産の処理を、大きなショックを回避しながら進めることができるかを注視していく必要がありそうです。

中国GDP、質を見ることも必要では

出所:ピクテ投信投資顧問

決算発表での企業サイドの見方は依然として慎重意見が多いが・・・

2016年3月期決算発表が本格化してきましたが、注目点の1つである中国ビジネスの動向については様々な見方があります。2016年4月27日決算を発表したコマツ(6301)は、中国の建機需要は2017年3月期も2割以上減少するとコメントしました。

一方、中国の鉄鋼市況は急回復しており粗鋼生産量も過去のピーク水準まで回復していることから、財政出動等の景気刺激策の効果は顕在化してきたことも事実です。

とはいえ、この記事にあるように、当事者であるJFEホールディングス(5411)の経営陣ですら、こうした中国の鉄鋼市況の回復には半信半疑で、慎重に状況を見極めている段階です。このため回復が持続するのであれば、ここから投資しても遅くはないということになります。

いずれにせよ、今後もまだ決算発表が続くため、様々な側面から情報を集めて冷静に判断していきたいと思います。

中国景気はどうやら本当に持ち直しているようだ

出所:楽天証券

【2016年4月30日 投信1編集部】

■参考記事■

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LIMO編集部