近年、愛車が突然盗まれる「自動車盗難」の被害が後を絶ちません。警察庁が発表した最新の統計資料によると、自動車盗難の発生傾向や手口には新たな変化が見られます。今回は都道府県別の盗難件数を紹介します。
1. 自動車盗難件数は4年連続で増加
1/5
GBJSTOCK/shutterstock.com
警察庁が発表した「自動車盗難等の発生状況等について(令和8年2月公表)」によると、自動車盗難の認知件数は、平成15年のピーク時(約6万4000件)と比較すると1割以下にまで減少しています。
しかし、令和4年以降は4年連続で増加傾向に転じており、決して楽観視できない状況が続いています。近年の自動車盗難の大きな特徴は、「組織化」と「広域化」です。
窃盗グループは特定の高級国産車などを狙い、盗み出した車両を一時的に別の場所に保管した後、都道府県境を越えて悪質な「自動車解体ヤード」などに持ち込み、海外へ不正に輸出するという実態がうかがえます。
こうした犯行グループは実態が見えにくく、メンバーを入れ替えながら犯行を繰り返す「匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)」の特徴を有しており、警察による摘発を免れようと巧妙に動いています。
2. 令和7年の認知件数は6386件。検挙率は37.3%
過去10年間(平成28年〜令和7年)の自動車盗難における「認知件数」「検挙件数」「検挙人員」の具体的な推移は以下の通りです。
自動車盗難の認知件数/検挙件数/検挙人員の推移2/5
出所:警察庁
- 平成28年:認知 1万1655件/検挙 5713件/人員 1100人
- 平成29年:認知 1万213件/検挙 5357件/人員 1034人
- 平成30年:認知 8628件/検挙 4248件/人員 914人
- 令和元年:認知 7143件/検挙 3845件/人員 778人
- 令和2年:認知 5210件/検挙 3006件/人員 666人
- 令和3年:認知 5182件/検挙 2556件/人員 634人
- 令和4年:認知 5734件/検挙 2612件/人員 625人
- 令和5年:認知 5762件/検挙 2462件/人員 745人
- 令和6年:認知 6080件/検挙 2683件/人員 600人
- 令和7年:認知 6386件/検挙 2379件/人員 744人
長期的には減少しているものの直近4年は増加しており、令和7年の認知件数は6386件となっています。なお、令和7年の検挙率は37.3%であり、依然として約6割以上の事件が未解決のままです。
3. 都道府県別の認知件数は上位5県で全体の55.4%
都道府県別で自動車盗難の認知件数をみてみると、地域によって大きく差があることが分かります。
3/5
出所:警察庁
認知件数(令和7年)が特に多いのは以下の地域です。
- 愛知県:1051件
- 埼玉県:756件
- 神奈川県:649件
- 茨城県:540件
- 千葉県:539件
上位5県の認知件数は全体の55.4%を占めており、群を抜いています。
組織的な盗難の場合、盗難車はヤード(自動車解体場)などでバラバラに解体され、海外に不正輸出されるケースが多いです。そのため、ヤードや国際貿易港に近いなどの条件が揃っている地域で被害が集中する傾向があるようです。
東京(164件)が上位でないのは意外ですが、これは防犯カメラ・警察の監視網が密であることや盗んだ自動車を解体する土地が限られているためです。また、マンションの割合が高いため、駐車場のセキュリティレベルが高いことも理由に挙げられます。
ちなみに認知件数が少ないのは以下の地域です。
- 秋田県:3件
- 鳥取県:5件
- 島根県:5件
- 徳島県:5件
- 佐賀県:5件
佐賀県は令和6年は20件でしたが、過去の事件を含めて集中的に検挙が進んだことで、被害を抑えることができています。
4. 盗難車種はトヨタが上位独占。トップは「ランドクルーザー」
車種別の盗難件数ランキングは以下の通りです。
4/5
出所:警察庁
- 1位 トヨタ ランドクルーザー:1177台
- 2位 トヨタ プリウス:424台
- 3位 トヨタ アルファード:303台
- 4位 トヨタ ハイエース:209台
- 4位 トヨタ レクサスRX:209台(同率)
- 6位 トヨタ レクサスLX:195台
- 7位 トヨタ クラウン:173台
- 8位 ダイハツ ハイゼット:114台
- 9位 トヨタ レクサスLS:108台
- 10位 スズキ キャリイ:92台
ランキングはトヨタが上位を独占しています。特に先日発売された「ランドクルーザー"FJ"」が話題になっている「ランドクルーザー」は2位に倍以上の大差をつける圧倒的な被害数です。
5/5
出所:トヨタ自動車株式会社
保有台数に対するリスクを示す「千台当たりの盗難台数」で見ると、レクサスLXは「19.7台」と群を抜いて高く、所有している場合は極めて厳重な警戒が必要です。
なお、ハイゼットやキャリイといった軽トラック、古い型式の車両や大型トラックなども一定数狙われる傾向にあります。
昨今は盗難の手口が巧妙化しているため、対策はメーカーが標準搭載するスマートキーや防犯システムだけでなく、複数の対策を組み合わせることが重要です。
また、直近は発生場所として「一般住宅の駐車場」の被害件数が増加しており、45.2%(2885件)と過去最高になっています。自宅の敷地内だから安心という油断は禁物です。
参考資料
LIMO自動車部