新NISAの普及に伴い、「オルカン」と「S&P500」は投資先のツートップとして人気を二分する比較対象になっています。

実際、これからNISAを始めようとしている方の中には、どちらが良いのか悩んでいる方もいるでしょう。

本記事では、「オルカン」と「S&P500」の特徴や違いを確認するとともに、それぞれに100万円を投資し30年間放置した場合の資産額の差をシミュレーションしていきます。

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1. 「オルカン」と「S&P500」の特徴を整理

「オルカン」と「S&P500」の違いについてよくわからない方もいるでしょう。

簡単にいうと、世界全体に分散投資し安定した運用を重視するのがオルカン、米国への高い成長性を期待するのがS&P500です。

では、それぞれの特徴を確認していきましょう。

1.1 オルカンの特徴

オルカンとは「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」の略称で、その名の通り、世界の株式市場に一括して投資する金融商品です。

投資先を自分で選ぶ手間なく世界中の優良企業に幅広く投資できるため、投資初心者に選ばれるものの一つです。

投資先は世界約50ヵ国、約3000銘柄にも及びます。組入国の比率は米国が約60%を占め、その他日本・欧州・新興国などで構成されています。

投資先が分散されているためリスクが抑えられている分、リターンは穏やかですが、長期間の運用で安定した利益が期待できます。

1.2 S&P500の特徴

S&P500は、米国の大手企業約500社の時価総額をもとに算出されている、米国の代表的な株価指数の一つです。

一般的には「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」を指すことが多いです。

投資先は米国の主要約500の銘柄で、マイクロソフトやアップル、エヌビディアなどいずれも厳しい基準をクリアした銘柄で構成されています。

米国の銘柄のみで構成されているため、米国の経済状況が長期的に悪化した場合には大きなリスクが生じる可能性があります。しかし、好調であれば高いリターンを得られることが期待できます。

2. 「オルカン」と「S&P500」の運用実績

「オルカン」や「S&P500」をベンチマークに据えるファンドはいくつかありますが、本記事では三菱UFJアセットマネジメントの以下2つの運用実績を比較します。

  • eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
  • eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)

2.1 オルカンの運用実績

2026年2月20日時点での「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の運用実績は次の通りです。

  • 設定日:2018年10月31日
  • 設定来のトータルリターン:+239.56%
  • 過去5年間のリターン:+145.93%
  • 過去1年間のリターン:+23.10%
  • 過去6カ月間のリターン:+16.72%
  • 過去1カ月間のリターン:-0.89%

2.2 S&P500の運用実績

2026年2月20日時点での「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の運用実績は次の通りです。

S&P500の運用実績2/2

S&P500の運用実績

出所:三菱UFJアセットマネジメント「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」 をもとに筆者作成

  • 設定日:2018年7月3日
  • 設定来のトータルリターン:+289.85%
  • 過去5年間のリターン:+174.10%
  • 過去1年間のリターン:+15.85%
  • 過去6カ月間のリターン:+12.97%
  • 過去1カ月間のリターン:-2.94%

2.3 運用実績の比較

両者は設定日が異なるため一概には比較できませんが、設定来のトータルリターンはS&P500の方が良好であることがわかります。

一方、過去1年間のリターンを見るとオルカンの方が優勢となっています。

どちらが良いのか迷うところですが、どちらか一方が常に優位に立ち続けるということはありません。

自分のリスク許容度に合わせて、納得感のある方を持ち続けることが大切です。

3. 「オルカン」「S&P500」に100万円投資し30年間放置した場合の資産額は?

ここからは、タイトルにあるようにオルカンとS&P500にそれぞれ100万円を投資し、30年間放置した場合の資産額をシミュレーションしていきます。

なお、騰落率を年平均成長率(CAGR)に換算して試算します。
※CAGR(%)=[(N年目の数値÷1年目の数値)^ {1 ÷(N-1)}-1]×100

3.1 「オルカン」に100万円投資し30年間放置したケース

eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の設定日(2018/10/31)から2026年2月までの約7. 3年で、資産が約3.39倍(+239%)になったとすると、年平均成長率CAGRは約18.3%となります。

100万円を年率18.3%で30年間運用した場合の資産額をシミュレーションすると、約1億5472万円となります。

3.2 「S&P500」に100万円投資し30年間放置したケース

eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の設定日(2018/7/3)から2026年2月までの約7.6年で資産が約3.89倍(+289%)になったとすると、年平均成長率CAGRは約19.6%となります。

100万円を年率19.6%で30年間運用した場合の資産額をシミュレーションすると、約2億1475万円となります。

今回のシミュレーションでは、オルカンの年率は約18.3%、S&P500は年率約19.6%で試算しました。

100万円を30年間運用すると、約6000万円もの差が生じる結果となりました。

利率差はわずかでも30年間の複利効果により、これほどまで資産額に差が生じることになります。

ただし、年率約18.3%や約19.6%は異次元といわれるほどの高利率であり、今後もこういった状態が続くとは限りません。

今回のシミュレーションは、あくまでも年率18.3%や約19.6%が実現した場合のものであることを十分にご理解ください。

4. まとめ

オルカンとS&P500は、いずれも長期投資に適しているとされる人気のファンドですが、投資先や運用実績など異なる点があります。

今回のシミュレーションでは、わずかな年率の差でも100万円を30年間放置すると資産額に大きな差が生じることがわかりました。

ただし、過去の高い実績にとらわれず、自分のリスク許容度や運用目的に適した投資先を選ぶことが大切です。

家計やライフスタイルに合った資産形成について考えてみてはいかがでしょうか。

参考資料

木内 菜穂子