彼女の会社で女性社員が増え始めたのはここ5〜6年のことで、男性よりも比較的若く、経験も短い女性社員が多いのでそれが理由なのかもしれないとも感じているようです。
しかし、「経験の短い男性でも呼ばれている会議に、同世代の女性社員は呼ばれないこともある」とか、「もっと若い男性社員がたくさんいるのに、わざわざ中堅の女性社員に単純作業のような仕事を割り振る」など、明らかにおかしいのではないかと感じている部分もあると言います。
しかし、これを責めようにも「個人のスキルや能力を考慮しての仕事分担だ」とか「年齢や経験による」という言い逃れもできることを考えると、下手に意見をして目をつけられてしまうのはいやだと悩んでいました。
筆者もこういった環境には経験があり、やはり不服に感じていました。筆者の場合は積極的に「そのプロジェクトにかかわりたい」と手を挙げてみたり、その領域について専門知識を多く身につけ、プロジェクトメンバーとして必要だと思われる状況をつくってみたり、上司に直訴したりもしました。
しかし、そうした手が通用しないケースもあると思います。その場合はその上司よりさらに上の立場の人と親しくなり、嫌らしくならない程度に相談してみたり、同僚の協力などを得られるよう相談したりしてもいいと思います。
また、周囲の女性と協力しながら職場全体の雰囲気を変えていくことも大事です。「女性がスキルや能力を活かせないまま抑圧されている感じがする」という彼女の職場。今より女性の活躍が目立つ職場にできるよう、周囲と相談してみるのがいいかもしれませんね。
「妊娠、出産、子育て」との付き合い方
3人目は、証券会社で働く30代の女性です。彼女は産休、育休を経て現在時短勤務を利用して職場復帰を果たしたばかり。しかし、「なんで私ばかりキャリアを中断して会社に行けなくなって、育児の負担を背負わなくちゃいけないのかと腹立たしかった」と言います。
旦那さんの会社は忙しく、とても男性の育休が認められるような社風ではないとのこと。彼女は「妊娠、出産は女性しかできないことだから仕方ないと思うけれど、育児については男性にも参加してほしいし、育児によって女性がキャリアを思うように築けないのはずるいと思った」と語ります。
確かに、日本の男性は育児参加にまだまだ消極的で、男性が育児に充てる時間は世界的に見ても短いということはよく知られたことですよね。これに女性が不満を持つのも不思議ではありません。日本で働く女性にも、キャリアを築きたいと思っている人は大勢います。子どもがいるからといって仕事ややりたいことをあきらめたくないと思っている女性も多いでしょう。
こうしたケースでは旦那さんとの話し合いも重要です。もし時間的に余裕があるのであれば、旦那さんには子どもができる前に、男性でも育休が取れる会社に転職してもらうことも選択肢かもしれません。妊娠、出産前にどちらがどれだけ、何を分担するのかということを決めておくのもいいですね。保育園の送り迎え、イベントへの対応、急な病気やケガの呼び出しにどちらが応じるのか、育児と家事の分担などをあらかじめ話し合っておく必要があります。
また、夫婦2人だけで頑張ろうとせず、それぞれの家族からのサポートや、育児・家事の負担を軽減してくれるサービスを積極的に活用するのもいいでしょう。旦那さんにも会社と話し合って、育児負担について職場の人の理解を得られるように以前に準備しておいてもらえるといいですね。
まとめ
いかがでしたか。今回は3人の女性に話を聞くことができましたが、それぞれ抱えている悩みがあり、どれも簡単に解決できるものではありませんでした。
彼女たちと同じように悩みを抱えている人も多いと思います。しかし、そういう悩みは1人で抱え込まず、周囲に相談したり、信頼できる人に打ち明けたりして少しでも自分をラクにさせてあげましょう。周囲と協力して環境を変えようとするのもいいと思います。無理はせず、できることから始めてくださいね。
大塚 ちえ