本格的な冬の到来を告げる12月は、慌ただしい年の瀬を迎えながらも、来年の生活設計に思いを巡らせる時期かもしれません。 特に、金融市場の変動や物価高騰が続く中、将来の生活を支える公的年金制度への関心は高まっています。
日本の公的年金制度は「国民年金」と「厚生年金」の2階建て構造となっており、現役時代の働き方や年金への加入状況によって、将来受け取れる年金額には大きな差が生じます。 ご自身の年金受給額がどの程度になるのかは、老後資金計画を立てる上で最も重要な要素の一つと言えるでしょう。
本記事では、公的年金制度の基本的な仕組みを改めて確認するとともに、厚生労働省の最新の統計データに基づき、年齢階級別および男女別の国民年金と厚生年金の平均受給額を詳しく分析します。
特に、国民年金のみの受給者と厚生年金加入者との間で生じる受給額の「格差」の実態や、年金受給者全体の平均額に見られる男女差の背景についても深掘りします。
1. 公的年金制度は「国民年金(ベース部分)」と「厚生年金(上乗せ部分)」の2階建て構造
「2階建て」と表現される日本の公的年金制度は、基礎となる「国民年金」と、その上に追加される「厚生年金」で成り立っています。
ここでは、それぞれの仕組みについて順に確認していきましょう。
1.1 1階部分:「国民年金」の基本をおさらいしよう
- 加入対象:原則として日本国内に住む20歳以上から60歳未満の全ての人
- 年金保険料:全員一律(※1)
- 老後の受給額:40年間納付すると65歳以降に満額(※2)を受給できる
※1 国民年金保険料の月額:2025年度 1万7510円
※2 国民年金(老齢基礎年金)の月額:2025年度 6万9308円
1.2 2階部分:「厚生年金」の基本をおさらいしよう
- 加入対象:会社員や公務員、一定要件を満たすパート・アルバイトの人が国民年金に上乗せして加入
- 年金保険料:報酬(賞与・給与)に応じて計算される(上限額あり※3)
- 老後の受給額:国民年金に上乗せして受給。厚生年金部分は年金加入期間や納付済保険料により個人差が出る。
※3 保険料額は標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算されます。
2階部分である厚生年金に加入している人は、同時に1階部分の国民年金にも加入しています。
どの年金に加入しているかは将来の受給額に直結し、厚生年金にも加入していた人のほうが、受け取れる年金額は一般的に多くなります。
