「愛国歌」は教科書に掲載されているので、小学校1年生のときから歌われている、はずです。そして朝鮮中央テレビでも放送の開始時には必ず流れているそうです。にもかかわらず、国民の多くは歌えないと言われています。

理由に挙げられているのは、まず、国民が歌詞に接する機会が少ないことです。もっぱら演奏だけが行われ、君が代のように大勢で斉唱されることが非常に少ないそうです。

国歌以上に親しまれているのが、歴代指導者の歌

国民が国歌を歌えない理由の2つ目は、『金日成将軍の歌』をはじめとした、歴代指導者を讃える歌のほうが多く使われていることが挙げられています。こちらは多くの国民が歌えるようです。

曲も荘厳さのある「愛国歌」に比べ、「金日成……」は勇ましく、同国のイメージを映しているように感じなくもありません。作曲者は「愛国歌」と同じ金元均です。

2007年の朝鮮中央通信は、「愛国歌」が新たに編曲されたことを報じています。テンポがより緩やかになり、高音と低音のコントラストが強調されているとのこと。忘れ去られた国歌というわけでもなさそうですね。

参考:『国のうた』弓狩 匡純、世界の国歌/民謡集(ウェブサイト)、朝鮮労働党万歳!(ウェブサイト)

間宮 書子