暖かくなってきたと思ったら、もう大型連休が近づいています。

筆者の周囲をみると、円安の影響で海外に旅行を検討するなかで比較的近場の韓国や台湾、東アジア方面に行く方が増えているようです。

もちろん、国内旅行の需要も最高潮なシーズンのひとつといえるでしょう。日本の観光地にスポットが当たり、国内の景気が上向きになると良いですね。

さて、年度が変わったということで注目したいのが年金・保険関連。制度そのものが変わるものもありますし、受給できる金額や支払う金額が変わるものもあります。

2024年4月1日、厚生労働省が後期高齢者医療制度の保険料率を公表。結果的に、2024年度・2025年度ともに引き上げとなります。とくに75歳以上の高齢者の方が対象の「後期高齢者医療保険」も保険料が全国平均7000円を超えるとのことです。

同じく年金額も増額改定となりましたが、物価上昇率に追いついていないことから実質的な目減りと捉えられています。

こうした保険料率などはどのような背景で推移しているのでしょうか。

今回は、公表された後期高齢者医療制度の保険料率とその背景を確認します。記事後半では、保険料の変動推移をチェックしていきましょう。

1. 値上げに対する変動要因は?

保険料率が変動する要因は増減ともに様々。今回の場合、トータルで考えて増額要因が大きいため、負担は増えている形となります。

代表的な背景について、詳しくみていきましょう。

1.1 後期高齢者負担率の見直し

政令で決められている「後期高齢者負担率」は2年ごとに改定されます。

2024(令和6)年4月から、後期高齢者負担率に設定方法が「後期高齢者1人あたりの保険料」と「現役世代1人あたりの後期高齢者支援金」の伸び率が同じようになるように見直しされました。

今回の見直しにより、2024(令和6)年度と2025(令和7)年度が改定され、負担率は前回の2022(令和4)・2023(令和5)年度の11.72%から12.67%と増えています。

1.2 「出産育児一時金」を全世代で支え合う仕組み

子育て世代を社会全体で支援する観点から、2024年4月より「後期高齢者医療制度」から出産育児一時金の費用一部を支援する仕組みを導入されています。

これに伴う後期高齢者医療制度全体の影響は、2024(令和6)年度と2025(令和7)年度で各130億円程度と推計されているようです。

1.3 制度改正に伴う「激変緩和措置」

支払いが増えることで多くの方が影響を受けますが、特に所得の低い方は影響が大きいため緩和措置が行われます。

なお、全体の約6割の低所得者(年金収入153万円相当以下の方)などは、制度改正に伴う負担の増加が生じないように設定されています。

限度額の引き上げについては段階的に実施され、2024年度(令和6年度)は73万円、2025年度(令和7年度)は80万円と移行予定です。

1.4 保険料の増加抑制への「剰余金」活用

前回の2022・2023年度(令和4 ・5年度)の保険料立改訂時における一人当たり医療給付費の見込み(年間約88.5万円)ほど、実績が伸びなかったこと(実績は年間約87.9万円)などで、各広域連合で剰余金が発生しています。

政府の見解によると、剰余金約2820億円を保険料の増加抑制に活用すると見込んでいるようです。

1.5 「財政安定化基金」からの交付

広域連合では、都道府県に設置されている財政安定化基金(国、都道府県、広域連合の保険料が3分の1ずつ拠出)から約133億円の交付を見込んでいます。

なお、2024年度、2025年度(令和6・7年度)の被保険者一人当たりの医療給付費の各広域連合の全国平均の見込みは年間約90.2万円。

2022・2023年度(令和4・5年度)の年間約87.9万円から約2.7%増加する見込みとなっています。

このように様々な背景がある「後期高齢者医療制度」の保険料率。実際にどのくらい増減しているのでしょうか。

次の章から、詳しくみていきましょう。