2. 社会保険の適用拡大に伴う影響とは?

社会保険の適用を新たに受ける方は、単身者であれば保険料が低減しますが、結婚している場合は扶養を外れて負担が増加するケースがあります。

一方で、厚生年金に加入することになるため、老後の年金支給額の増加も期待できます。

2.1 単身者は企業と折半負担になりむしろ負担減に

単身者の場合は、もともと国民保険料を納めていたはずで、その金額は月収8万8000円で1万9400円/月となります。

今後もし社会保険に加入することになると、保険料は企業との折半負担になります。

総額は2万5000円となりますが、折半により従業員の負担は1万2500円となるため、むしろ負担は軽減するのです。

【写真全3枚中1枚目】社会保険適用で変わる保険料負担。2枚目の写真で「年収の壁・支援強化パッケージ」も解説

社会保険適用で変わる保険料負担

出所:厚生労働省「社会保険適用拡大ガイドブック」

2.2 夫婦の場合は扶養から外れるのがネックに

夫婦で相手の扶養に入っている場合は、社会保険の支払いが始まることにより、扶養から外れて実質的な家計の負担が増大します。

社会保険に加入することになれば、月収8万8000円のケースで月々1万2500円の負担増となります。

ただし、政府は年収の壁・支援強化パッケージに取り組みことで、当面の間は負担増とならないようにされています。

具体的には、収入が一時的に上がったとしても事業主がその旨を証明することで、引き続き扶養に入り続けることが可能となる仕組みとなっているのです。

3. 厚生年金が適用されるメリットもある

社会保険が適用されるのは悪いことばかりではありません。

特に厚生年金に加入することで、将来の年金額が増えるのは重要なメリットです。

たとえば月収8万8000円であらたに厚生年金が適用される場合、仮に月収の増減がなかったとすると、勤続期間に応じて次の図のように支給額が増加します。

勤続期間に応じて増える厚生年金

勤続期間に応じて増える厚生年金

出所:厚生労働省「配偶者の扶養の範囲内でお勤めのみなさま」

厚生年金が適用されることにより、老後はよりゆとりを持った暮らしが期待できます。

4. まとめにかえて

2024年10月より社会保険の適用範囲が拡大します。

今回の適用範囲の拡大によって、あらたに社会保険料を支払わなければならない人が一定数出てきます。

ただし、政府は年収の壁対策を進めています。厚生年金が増えたり、また健康保険が充実できるというメリットもあるため、総合的に考えておけると良いでしょう。

※読者のご指摘により文章を一部修正しました(2024年4月14日AM9:07)

参考資料

太田 彩子