岸田総理は2024年3月28日の会見で、賃金アップに向けて施策を語りました。

物価のみが上昇する現代において、収入の増加は多くの国民が望んでいることのひとつです。

一方、高齢になれば主な収入が年金となるため、それまでに多くの資産形成を行なうことも重要になります。

今回は、今の60歳代がどれほど貯蓄を保有しているのかを見ることで、老後の備えについて考えていきます。

実は60歳代であっても、収入のうち平均11%を貯蓄に回しているようです。

1. 【60歳代・二人以上世帯】貯蓄2000〜3000万円未満は何パーセント?

まずは、60歳代・二人以上世帯の貯蓄額を見ていきます。

平均値と中央値だけでなく、貯蓄額ごとの世帯分布もみることで、より実態を把握しやすくしましょう。「貯蓄2000〜3000万円未満」の人がどれくらいいるのか注目です。

早速、金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」より、60歳代・二人以上世帯の貯蓄事情を確認します(金融資産を保有していない世帯を含む)。

【写真1枚目/全3枚】60歳代・二人以上世帯の貯蓄円グラフ。後半の写真では「収入から貯蓄に回す」シニアの実情が一覧表で浮き彫りに

60歳代・二人以上世帯の貯蓄円グラフ

出所:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」をもとにLIMO編集部作成

1.1 【60歳代・二人以上世帯】の貯蓄2000〜3000万円未満の割合

  • 9.5%

1.2 【60歳代・二人以上世帯】の貯蓄2000万円以上の割合

  • 30.0%

1.3 【60歳代・二人以上世帯の貯蓄額】平均と中央値

  • 平均:2026万円
  • 中央値:700万円

貯蓄2000〜3000万円未満は9.5%、貯蓄3000万円以上でみると20.5%となるため、「2000万円以上の保有世帯」は60歳代の全世帯のうち30%のようです。

なお、こちらは「貯蓄を保有していない」世帯も含む統計調査のため、次章では保有世帯に絞った調査結果も確認します。

2. 【60歳代・二人以上世帯】貯蓄保有世帯のみの平均と中央値はいくらか

同調査より貯蓄保有世帯のみの貯蓄額について見ていきましょう。

2.1 【60歳代・二人以上世帯】の貯蓄2000〜3000万円未満の割合

  • 12.0%

2.2 【60歳代・二人以上世帯】の貯蓄2000万円以上の割合

  • 38.0%

2.3 【60歳代・二人以上世帯の貯蓄額】平均と中央値

  • 平均:2588万円
  • 中央値:1200万円

貯蓄保有世帯のみの貯蓄額をみると、貯蓄2000〜3000万円未満は12.0%。2000万円以上に広げると38%となりました。

平均は2500万円を超え、中央値も1000万円を超えています。

多くの資産形成に成功した世帯では、現役を引退して「貯蓄の取り崩し」に入っていることも考えられます。

一方で、60歳代であっても「収入から貯蓄に回している」という世帯は一定数います。

では、60歳代の世帯は手取り収入からどれほど貯蓄に回しているのでしょうか。次章にて「手取り収入からの貯蓄割合」について確認しましょう。