2. 家計収支は世帯差が大きい

家計調査の結果を見ると、やはり子育て世帯のほうが支出が多い傾向にあります。それでも、収支状況が平均的な世帯であれば、毎年100万円を積立投資に回すことも難しくありません。

例えば、共働きで「夫婦+未婚の子ども1人」の3人世帯では、実収入が71万3558円、実支出が49万2832円ですから、約22万円が手元に残ります。その内、約8万4000円を積み立てに回せば、年間100万円の積立額を確保できる計算です。

ただし、家計調査の結果はあくまでも平均値であり、実際の収支状況は世帯差が大きくなります。中には積立投資にお金を回す余裕などなく、生活が苦しいと感じている家庭もあるでしょう。

厚生労働省の「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」を見ると、子どもがいる世帯で生活が「大変苦しい」または「やや苦しい」と回答した割合は54.7%に上ります。

半数以上の世帯が苦しいと感じているのが現状であり、その状態で投資を行うのは難しいでしょう。

少額ずつなら続けることができるかもしれませんが、家計の収支が悪化すると挫折してしまう可能性もあります。では、積立投資を挫折しそうなときはどうしたらよいのでしょうか。

3. 積立投資を挫折しそうなときに押さえておきたいポイント

積立投資を挫折しそうなときは、以下の点について考えてみましょう。

3.1 積立投資のメリットをもう1度考える

積立投資のメリットは、毎月一定額ずつ、長期間積み立てることで価格変動のリスクを抑えられ、さらに複利効果が期待できる点です。そのため、安定した運用成果を得るには、長期間続けることが何よりも重要と言えます。

家計の負担が大きいからといって、将来に向けてコツコツと準備してきたものを途中でやめてしまうのは非常にもったいないことです。

一度積み立てるのをやめてしまうと再びモチベーションを上げるのが難しくなり、そのまま積立投資を再開できなくなる可能性もあります。そうなれば必要な資金を準備できず、将来困ることになりかねません。

しかし、家計の収支状況が悪化しているのであれば、積立額も含めて家計の見直しを行う必要があるでしょう。

3.2 削減できる支出がないか考える

積立投資に回している資金のほかに、削減できる支出がないか考えてみましょう。

例えば、毎月固定でかかる保険料や通信費、サブスクリプションサービスなどをうまく削減できれば、1年間で数万円から数十万円の節約になる可能性があります。それにより、無理なく積立投資を継続できるかもしれません。

とはいえ、積立投資で将来のことを考えられる家庭でしたら、すでに節約を試みているかもしれません。それでも毎年100万円を積み立てるのが辛い場合は、次のポイントについて考えてみましょう。

3.3 積立額を減額する

積み立てをやめずに家計の負担を抑えるには、積立額の減額が有効です。毎月の収支が改善し、家計の圧迫によって感じていたストレスが軽減される可能性があります。

積立額の減額によって目標金額への到達が遠のきますが、生活レベルを過度に落としたり、ストレスを感じたりしてまで投資を行うべきではありません。

家計の収支状況に合わせて、適切な積立額を今一度考えてみましょう。

4. 積立投資は無理なくコツコツと

子育て世帯では、少なくとも子どもが大きくなるまでは様々な費用がかかりますし、今回のようなケースで積み立てを続けるのは精神的にも負担が大きいように思えます。

また、積立投資に回すお金以外にも、急な出費などに対応するための貯蓄や、万が一の際の保障なども必要となります。

積立投資を行うのは大事なことですが、無理なく長期的に続けられるよう、余裕資金の範囲内で行うようにしましょう。

参考資料

加藤 聖人