総務省統計局の労働力調査によると、2023年平均の就業者数は6738万人でのうち328万人が転職していたことがわかりました。

新年度を機に、おなじく転職を検討している人も多いかもしれません。

転職のひとつの指針となるのが「年収」。そして、その年収に大きく左右されるのが老後生活の収入の柱といえる「年金」です。

自分の年収だと年金をどのくらい受給できるかを把握しておくことが、老後の資金計画の第一歩といえるでしょう。

今回は、国税庁「平均年収一覧」で年齢別の平均年収をチェックするとともに、年収500万円の人が受給できる厚生年金をシミュレーションしてみました。

1. 【年齢別】国税庁の実態調査によると、平均年収はいくら?

国税庁の「令和4年分 民間給与実態調査」によると、1年を通じて勤務した給与所得者の年齢階層別の平均給与は下記のようになりました。

1年を通じて勤務した給与所得者の年齢階層別・平均給与

【図表3/3】1年を通じて勤務した給与所得者の年齢階層別・平均給与

出所国税庁「令和4年分 民間給与実態統計調査」

<年齢階層別の平均給与>

  • 19歳以下:124万円
  • 20歳~24歳:273万円
  • 25歳~29歳:389万円
  • 30歳~34歳:425万円
  • 35歳~39歳:462万円
  • 40歳~44歳:491万円
  • 45歳~49歳:521万円
  • 50歳~54歳:537万円
  • 55歳~59歳:546万円(男性平均は702万円で最高平均年収)
  • 60歳~64歳:441万円
  • 65歳~69歳:342万円
  • 70歳以上:298万円

男性の場合は年齢が上がるにつれて平均年収が上昇しており、55〜59歳では平均年収が「702万円」となっています。

一方、女性の場合はどの年代においても平均年収に顕著な差が見られず、ピークは25〜29歳で「349万円」です。

上記の年代別の賃金差から、女性は結婚や出産をするタイミングで家事や子育てといった仕事以外の役割が増えるケースが多く、収入の上昇があまり見られない現状がうかがえます。

ライフスタイルの影響も顕著にあらわれる働き方と年収。男女ともに、過去5年間で平均年収帯の割合に大きな変化はなく、賃金上昇があまりされていない現状がうかがえます。

今回は、50歳代前半の平均年収に近い「年収500万円」に注目し、厚生年金をいくらもらえるかシミュレーションしてみましょう。

2. 年収500万円の人が受け取る厚生年金は月額約18万100円

年収500万円の人が受給できる厚生年金を知るために、厚生年金受給額の計算式を確認します。

2.1 【厚生年金】受給額の計算式

報酬比例部分= A + B

  • A(2003年3月以前):平均標準報酬月額×7.125/1000×2003年3月までの加入期間の月数
  • B(2003年4月以降):平均標準報酬額×5.481/1000×2003年4月以降の加入期間の月数

報酬比例部分(従前額)=( A + B )× 1.014

  • A(2003年3月以前):平均標準報酬月額×7.5/1000×2003年3月までの加入期間の月数
  • B(2003年4月以降):平均標準報酬額×5.769/1000×2003年4月以降の加入期間の月数

どちらかの式によって算出されます。また加入の時期によって計算式が異なるため、ここでは2003年4月以降に加入したとして試算します。

2.2 今回の厚生年金シミュレーション・試算条件

  • 年収500万円から、平均標準報酬額は41万6700円とする
  • 2003年4月以降に厚生年金に38年間加入した
  • 国民年金は40年間未納なし
  • 配偶者や扶養家族はいない

2.3 厚生年金受給額をシミュレーション

上記の四季に当てはめると、41万6700円×5.481/1000×38年(456ヵ月)=111万1500円。

さらに老齢基礎年金(国民年金)の満額約81万6000円を足すと、合計で約190万6500円となります。

月額にすると約15万8900円です。実際には38年間を通して年収500万円であるケースはまれですが、一つの目安となるでしょう。

※昭和21年4月1日以前に生まれた方については、給付乗率が異なります。
※年収÷12で仮の平均標準報酬月額を算出しています。実際には「平均標準報酬月額」「平均標準報酬額」を用いるため、厳密には年収と異なります。
※あくまでも概算のため、実際の受給額とは異なるケースがあります。
※老齢基礎年金は2024年度新規裁定者の基準額です。