2. 「3人目は3万円」の思わぬ落とし穴

「3人目以降は3万円」と聞くと、第3子以降は0歳から高校卒業まで3万円が支給されるというイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。

しかし、「3人目以降」とは「児童手当を受給中(高校卒業まで)の子どもの中で3人目以降」と定義されています。そのため、第1子が高校を卒業した場合、第3子は2番目の子どもとして扱われます。

例えば、第1子が高校1年生であり、第2子が中学1年生、第3子が小学5年生の場合、第1子が高校生の間は第3子には3万円が支給されます。

しかし、第1子が高校を卒業すると、第3子は「児童手当を受給中の子ども」の中で2番目になります。そのため、第3子には1万円の支給額が適用されることになります。

第1子と第3子の年齢が離れている場合、3人の子どもが児童手当の受給資格に該当する期間が短くなり、第3子に3万円が支給される期間も短くなります。

つまり、「3人目以降の子どもだからといって、必ずしも3万円が支給されるわけではない」ということです。

3. 児童手当拡充の裏で「扶養控除」廃止or縮小で税負担増?

児童手当の拡充は子育て世帯にとって喜ばしいことですが、一方で「扶養控除」の縮小や廃止が検討されています。

扶養控除とは、納税者が所得税法上の控除対象扶養親族を持っている場合、一定額の所得控除を受けられる制度です。

扶養控除の金額

扶養控除の金額

出所:国税庁「No.1180 扶養控除」

例えば、年齢が16歳から18歳の子どもがいる場合、その親は年間で38万円の扶養控除を受けることができます。

しかし、今後、16歳から18歳の子どもにも児童手当が支給されることになり、38万円の扶養控除も受けられると、二重の補助となるため、扶養控除の廃止または縮小が検討されているのです。

もし扶養控除が廃止されるか縮小される場合、所得税などの負担が増える可能性があります。

4. まとめにかえて

児童手当の拡充は2024年10月から始まる予定です。

この変更に伴い、第3子のカウント方法や扶養控除などが見直される見通しですが、世帯の年収によっては、児童手当の増額よりも税金の負担が増える可能性もあります。

今後も最新の情報を取り入れるようにしておき、あらかじめ教育費などを試算して資金計画を立てておくことが大切です。

参考資料

中本 智恵