2024年1月下旬に公表された厚生労働省「令和6年度の年金額改定についてお知らせします」によると、2024年度の公的年金例として下記のように記載がされています。

  • 国民年金(満額受給):6万8000円
  • 厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額):23万483円


公的年金は、老後生活の「収入の大きな柱」となりますが、上記に記載された金額は「額面の金額」であり、この金額全てを受け取れるわけではありません。

年金は「収入」にあたるため、税金や社会保険料が天引きされた状態で振り込まれます。

その天引きされる項目の1つとして「後期高齢者医療の保険料」が挙げられます。

後期高齢者医療保険料は、2023年5月12日に「75歳以上の後期高齢者医療保険料を段階的に引き上げる改正健康保険法」が成立しており、一定の年収要件を満たした75歳以上の人を対象に保険料が値上げされる予定です。

では、2024年度から後期高齢者医療の保険料が値上げによって、負担が増えるのはどんな人なのでしょうか。

本記事では「2024年度から後期高齢者医療の保険料の値上げ」における概要や負担が増える対象者について解説していきます。

1. そもそも「後期高齢者医療制度」とは?

まずは「後期高齢者医療制度」について確認しておきましょう。

後期高齢者医療制度とは、原則75歳以上(一定の障害があると認定された65歳以上の人)のすべての人が加入する「公的な健康保険制度」となっています。

後期高齢者医療制度は、医療費の自己負担を軽減することを目的としており、制度を利用することで高齢者が安心して医療を受けられるようになります。

後期高齢者医療制度の運営は、各都道府県に設置された「後期高齢者医療広域連合」が行っており、すべての市町村が加入しています。

1.1 後期高齢者医療制度の保険料はいくら?

前述したように、後期高齢者医療制度は原則75歳以上の高齢者が加入対象となっていますが、年金からいくら保険料が天引きされるのでしょうか。

後期高齢者医療制度の保険料は、下記の2種類の保険料で構成されています。

  • 均等割額:被保険者が均等に負担する保険料
  • 所得割額:被保険者の前年の所得に応じて負担する保険料

保険料は各都道府県によって異なるため、気になる方は住所地を管轄する都道府県の後期高齢者医療広域連合のホームページで確認してみると良いでしょう。

一例として、東京都の場合は、下記のように記載がされています。

東京都の場合、均等額割は「4万6400円」、所得割額は「賦課のもととなる所得金額×9.49%」となっています。

世帯構成や所得額によっては保険料が減額されるケースもあります。

一例として、東京都後期高齢者医療広域連合の「保険料の決め方・賦課」が公表している、後期高齢者医療制度の保険料計算例は下記のとおりです。

上記は「後期高齢者医療制度の保険料」のみであり、実際にはここに所得税や住民税なども天引きされるため、年金を収入源として生活している人にとって負担は大きいといえます。

また、2024年度には後期高齢者医療制度の保険料がさらに値上げすることが決定しています。