2. 「財形貯蓄制度」の主なメリット3つ

財形貯蓄制度には、利子等に対する非課税措置や財形持家融資を利用できるなどのメリットがあります。

2.1 メリット①:財形年金貯蓄・財形住宅貯蓄では、利子が「非課税」になる

財形年金貯蓄と財形住宅貯蓄の2つの制度において、あわせて元利合計550万円(財形年金貯蓄のうち、郵便貯金、生命保険又は損害保険の保険料、生命共済の共済掛金、簡易保険の掛金等に係るものにあっては払込ベースで385万円)から生ずる利子が非課税になります。

財形年金貯蓄については、年金の支払いが終わるまで非課税措置は継続。安定した老後生活に役立つでしょう。

2.2 メリット②:天引きで積立できるため、コツコツ貯められる

財形貯蓄は賃金からの控除(天引)のため、直接銀行などへ出かける手間を省くだけでなく、知らず知らずのうちに財産づくりできます。

たとえば、月に2万円とすると年に24万円、これを5年間続ければ120万円、10年間続ければ240万円になります。無理のない金額だとしても、コツコツ続けるだけ元本は膨らんでいくのです。

2.3 メリット③:その他の制度利用への要件になる場合がある

先に解説したとおり、いずれかの財形貯蓄制度を1年以上利用していて一定条件を満たしていれば、公的住宅ローンである「財形住宅融資」を利用できます。

その他、財形給付金や財形基金制度を採用している企業においては、その受益者になる資格が与えられる場合もあります。詳しくは、勤め先の担当窓口などでチェックしてみましょう。

3. NISAやiDeCoなど「投資信託」との違い

ご質問にもあるNISAやiDeCoとの違いについて、これらを利用する際はそもそも投資信託で「運用」するものであるということが大きなポイントです。

財形貯蓄は一般財形貯蓄、財形年金貯蓄、財形住宅貯蓄の3つに分かれています。財形貯蓄の金利(利息)は基本的には普通預金と同じぐらいの水準にあり、現在の財形貯蓄の金利は0.1%以下に設定されていることがほとんどです。

そのため「天引きされた金額よりも大幅に増える」という未来は、なかなか難しいのが現状といえるでしょう。

一方、投資信託(ファンド)とは、一言でいえば「投資家から集めたお金をひとつの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が投資・運用し、その成果が投資家それぞれの投資額に応じて分配される仕組みの金融商品」です。

投資リスクがあるものの、長期的にみる運用結果によっては決して少なくない利益が期待できます。

強制的にお金を貯めたいという方には財形貯蓄はピッタリですが、お金を増やしたいという方には新NISAに切り替えるメリットもあるでしょう。

4. 貯蓄の目的や自身の性格にあわせて検討してみて

一般的に、目先に必要となる学費などは財形貯蓄などのリスクが低いもので運用し、目先必要ではない老後資金などは新NISAなどのリスクがある方法で運用するのも良いとされています。

まずは今の財形貯蓄を続けながら、無理のない範囲で投資信託の併用も検討してみましょう。そして、貯蓄の目的や自分の性格を十分に理解したうえで検討することが理想の将来像に近づく第一歩になるのではないでしょうか。

5. 【比較・参考】2024年からスタートした新NISA制度の概要

【図解】新NISA制度の概要

新NISA制度

出所:金融庁「新しいNISA」をもとにLIMO編集部作成

5.1 新NISA「成長投資枠」

年間投資上限額:240万円

  • 非課税保有期間:無期限
  • 投資対象商品:上場株式・投資信託など

5.2 新NISA「つみたて投資枠」

年間投資上限額:120万円

  • 非課税保有期間:無期限
  • 投資対象商品:投資信託やETF

非課税保有限度額(総枠):1800万円(うち成長投資枠1200万円)※枠の再利用が可能

参考資料

足立 祐一