4. 【令和5年度】年金の引き上げが決定

冒頭でも触れましたが、1月20日、厚生労働省から令和5年(2023年)度の年金額改定が公表され、3年ぶりに公的年金額が引き上げられることになりました。詳しく見ていきましょう。

出所:厚生労働省「令和5年度の年金額改定についてお知らせします」

新規裁定者(67歳以下)の例を見ると、国民年金は前年度より1434円増え、6万6250円(※1)に。厚生年金については標準的な夫婦世帯で前年度より寄り4889円増え、22万4482円(※2)となりました。

年金額の引き上げ自体は歓迎されるべきことですが、「これで十分だ」と感じる世帯は決して多数派ではないでしょう。公的年金「だけ」で老後を過ごすのは難しくなってきています。

※1 40年間保険料を納付した場合に受け取れる「満額」
※2 平均的な収入で 40 年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準

4. 年金だけで安心なのか

今回は、老齢年金の平均受給月額や、公表されたばかりの「令和5年度の年金額引き上げ」について整理しました。今回の引き上げ幅をどう感じるかには個人差があるでしょう。

とはいえ「上がる物価、増えない賃金」。老後の年金に不安を覚える人は依然として多いはずです。

長生きの時代を見据えると、公的年金以外の収入源や資産の確保が重要でしょう。国も「iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)」や「つみたてNISA」など、資産運用の税制優遇制度を拡充させています。

投資にはもちろんリスクが伴いますが、預貯金にはないリターンも期待できます。年金だけでは心もとないと感じる場合には、メリット・デメリットを理解し、ご自身のリスク許容度を見極めた上で資産運用を取り入れるのも良いでしょう。

まずは、自分の年金額などの整理から始めて、万全の準備で長生きの時代を乗り切りたいですね。

参考資料

徳原 龍裕