1. 日経平均は5営業日続伸で大幅上昇

2024年1月12日の東京株式市場で、日経平均株価の終値は、前日比527円25銭高の3万5577円11銭となりました。1990年2月以来、約33年11カ月ぶりの高値圏で、連日高値を更新しました。

大幅上昇には複数の要因があります。足元で円安傾向にあることから、自動車、機械などの輸出関連銘柄が買われています。また、欧米で地政学リスクが高まっていることから、日本株に資金を移す海外投資家も増えているようです。また、今年1月から始まった新しい少額投資非課税制度(NISA)、いわゆる新NISAを通じた個人の新規資金も流入しているようです。

今週、日経平均はどのような動きになるでしょうか。能登半島地震については、今なお懸命な救助が行われており、予断を許さない状況ですが、経済活動への影響は限定的との見方が強いようです。

12日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日ぶりに反落し、前日比118ドル04セント安の3万7592ドル98セントで終えています。バイデン米大統領が11日、米英両軍がイエメンの親イラン武装組織フーシの関連施設を軍事攻撃したと発表したことから、地政学リスクが高まると見た投資家の売りが広がりました。

13日に投開票された台湾総統選で中国に対して強硬姿勢を貫く与党候補の頼清徳氏が当選しました。日米が祝意を表明したのに対して中国が内政干渉だと強く反発しています。今のところ、対中関係を悪化させるような動きは出ていませんが、中国政府が日本製品の輸入や日本への海外旅行の規制を強化するようになると、日本の輸出企業やインバウンド関連企業の業績などに影響が出ます。

日経平均は5日続伸で、週間の上げ幅は2200円を超えています。利益確定の売りも出やすい局面です。反面、買い遅れた投資家も多いことから、若干の調整が入れば押し目買いも入るでしょう。

15日にはスイスのダボスで世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)が開かれます。ブリンケン米国務長官、中国の李強(リー・チャン)首相、ウクライナのゼレンスキー大統領も出席する予定ですが、ウクライナ侵攻や中東情勢など地政学リスクの高まりが主要なテーマとなる予定で、材料としては織り込み済みといったところ。要人の発言などによる相場の大きな変動はないでしょう。

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