2.1 老後資金の計算方法
老後資金がいくら必要かは、収入が年金だけになった老後期間(月数)と老後の収入(年金の月額)、支出(毎月の生活費)によって次の通り計算します。
- 老後資金=(毎月の生活費-年金の月額)×老後期間(月数)
年金では不足する毎月の生活費を、老後資金を取り崩して補うイメージです。
60歳定年で再雇用されると一般的には収入がダウンするため、老後資金は50歳代までに準備するのが理想的です。
また、住宅リフォームなど生活費以外の支出が予想される場合は、追加の準備が必要です。
老後期間は、何歳まで働くか、何歳まで生きるかなど、前提条件次第で変わります。
また、老後の収入や支出も確定していないため、老後資金は将来を予測して概算することになります。
2.2 ゆとりある老後を送るのに必要な老後資金のシミュレーション
前提条件を次の通り設定して、具体的に老後資金を計算してみましょう。
- 老後期間:300か月(25年)または240か月(20年)
- 収入(年金の月額):28万円
- 支出(毎月の生活費):38万円
老後期間は、夫婦が同年齢で90歳まで生活すると仮定し、65歳まで働く場合は300か月、70歳まで働く場合は240か月とします。
年金収入は、夫婦共働きと仮定し厚生労働省の「厚生年金保険・国民年金事業の概況(令和3年度)」の男女別の平均年金額より計算します。
毎月の生活費は、前述の夫婦2人世帯が考える「ゆとりある老後生活費」を使用します。上記前提より、ゆとりある老後を送るのに必要な老後資金は次の通りです。
- 65歳まで働く場合:老後資金=(38万円-28万円)×300か月=3000万円
- 70歳まで働く場合:老後資金=(38万円-28万円)×240か月=2400万円
前提条件の数値は世帯によって大きく異なるため、実際に必要となる老後資金は世帯ごとに違います。
ただし、老後資金2000万円問題が話題になりましたが、ゆとりある老後を送るのにはより多くの資金準備が必要になるでしょう。
3. 在職老齢年金のまとめ
在職老齢年金とは、厚生年金に加入して仕事をしている人が老齢厚生年金を受け取るとき、老齢厚生年金の一部または全額が支給停止になる仕組みのことです。
定年後の働き方は、年金の支給停止も考慮して検討しましょう。
また、ゆとりある老後を送るには、一般的には高額な老後資金が必要です。
老後期間や老後の収入・支出を想定して、いくら位必要かを試算してみましょう。
参考資料
西岡 秀泰