親の収入が高い場合、自分の子どもの教育にはお金をしっかりかけてあげたいと考えるご家庭は多いと思いますが、実際に親の収入と子どもの学力についてはどれくらい関係があるのでしょうか。

国立大学法人お茶の水女子大学の「平成 29 年度 学力調査を活用した専門的な課題分析に関する調査研究 保護者に対する調査の結果と学力等との関係の専門的な分析に関する調査研究」では、世帯年収と学力の関係など興味深いデータが公表されています(平成30年3月30日公表)。

今回は「親の収入が高いと子どもの学力は高いのか」「親の収入以外に学力に関係する要因はあるのか」など、家庭環境と学力の調査結果を確認していきましょう。

「親の収入と子どもの学力」の関係とは

お茶の水大学では、小学6年生と中学3年生の国語と算数(数学)の成績と、世帯年収の関係について調査を行いました。

これによると、小6、中3ともに、またすべての教科や問題においても、おおむね世帯収入が高いほど子どもの学力が高い傾向が見られています。

出典:国立大学法人お茶の水女子大学(平成30年3月30日)「保護者に対する調査の結果と学力等との関係の専門的な分析に関する調査研究」

上記の図より、たとえば中3の数学Aの問題の正答率を世帯年収別に見ると以下の通りです。

<「世帯収入(税込年収)」と学力の関係 (抜粋)>

世帯年収:数学A正答率

  • 200万円未満           :51.2%
  • 200万円~300万円 :54.9%
  • 300万円~400万円 :58.4%
  • 400万円~500万円 :61.2%
  • 500万円~600万円 :64.0%
  • 600万円~700万円 :67.0%
  • 700万円~800万円 :68.7%
  • 800万円~900万円 :71.2%
  • 900万円~1000万円  :71.2%
  • 1000万円~1200万円:74.3%
  • 1200万円~1500万円:74.4%
  • 1500万円以上    :73.9%

また、家庭の蔵書数と学力の関係を見てみると、家にたくさん本がある家庭の方が子どもの学力が高いことが分かりました。

出典:国立大学法人お茶の水女子大学(平成30年3月30日)「保護者に対する調査の結果と学力等との関係の専門的な分析に関する調査研究」

経済的な余裕がなければ多くの本を買うことはできないため、やはり収入が多く子どもにたくさんの本を買ってあげられる家庭の方が、子どもの学力は上がると言えるでしょう。