ちなみに同社は、GW期間中に松弁デリバリーで、Uber Eatsでは6月をはじめ複数回の無料キャンペーンを実施していました。今回はこれまで以上に感染拡大が厳しくなっている環境での売上確保につなげるべく、対象を拡大しての実施に至ったと推察されます。

事業拡大はコロナで頓挫

前述のように、松屋フーズは牛めしの松屋のみならず多様な外食チェーンを展開しています。直近の2022年3月期・第1四半期決算報告では、1193店舗(FC店5店舗、海外11店舗)のうち、牛めし業態955店舗、とんかつ業態197店舗、鮨業態10店舗、その他の業態31店舗となっています。

近年の業績を見ると、2018年3月期から2021年3月期までの推移は以下の通りで、2020年3月期までの業績拡大がコロナ禍の2021年3月期に大きく落ち込んでいることがわかります。

売上高:930億円⇒982億円(5.5%増)⇒1065億円(8.5%増)⇒944億円(11.4%減)
営業利益:41.2億円⇒38.8億円(5.7%増)⇒50.8億円(30.8%増)⇒▲16.8億円(---)
当期純利益:23.8億円⇒22.0億円(7.7%減)⇒26.0億円(18.0%増)⇒▲23.8億円(---)
店舗数:1127⇒1181⇒1207⇒1192

2020年3月期までは安定した店舗拡大に加え、牛鍋や定食、期間限定メニューなどの販売促進策により売上高が伸びていきました。利益面については、2019年3月期には原材料高や店舗改装費など人件費以外の費用が利益を圧迫した一方で、2020年3月期は食材費と人件費の合計が売上高に占める比率(FL比率)の低下に伴い利益が改善した形です。