次に、「平成30年(2018年) 家計の金融行動に関する世論調査」で40代の「2人以上の世帯」と「単身世帯」の資産について比較してみましょう。

40代の2人以上世帯
• 金融資産を保有する世帯の割合:77.4%
• 保有世帯の金融資産保有額の平均値:1238万円、中央値:800万円
• 金融資産ゼロ世帯を含む全体の平均値:942万円、中央値:550万円

40代の単身世帯
• 金融資産を保有する世帯の割合:57.4%
• 保有世帯の金融資産保有額の平均値:1177万円、中央値:500万円
• 金融資産ゼロ世帯を含む全体の平均値:657万円、中央値:25万円
※「金融資産ゼロ世帯」とは、預貯金を含む金融商品を保有していない世帯と、預貯金のみを保有しているがそのうち「運用または将来の備え」がゼロの世帯を指します。

このようなデータからも就職氷河期世代の特徴が見えてきます。

とくに40代の単身世帯については、金融資産ゼロ世帯を含んだ金融資産保有額の中央値は25万円です。非正規社員の割合などは明らかになっていませんが、40代単身世帯の中には、「貯蓄したくてもできない」状況に陥っている人がいるのかもしれません。

40代からの老後資金形成、「iDeCo」のメリットと注意点

老後の資産形成のために個人型確定拠出年金の「iDeCo(イデコ)」や、積立型の少額投資非課税制度「NISA」「つみたてNISA」の活用が注目されています。

とくにiDeCoは原則60歳までは積立て分を引き出せないため資金を確保しやすく、また、税制上の優遇も用意されています。

《iDeCoのメリット》
・掛金が全額所得控除
・運用益が非課税(一般の金融商品の利息は原則、源泉分離課税20.315%がかかる)
・受取時にも税額控除が受けられる

ただし、40代からiDeCoを始める際には「加入期間」についての注意点があります。60歳から受け取るには加入期間(通算加入者等期間)が10年以上必要となるのです。

10年に満たない場合は、以下のように受給可能年齢の繰り下げがありますので注意が必要です。

加入期間等10年以上:60歳
8年以上10年未満:61歳
6年以上8年未満:62歳
4年以上6年未満:63歳
2年以上4年未満:64歳
1カ月以上2年未満:65歳

iDeCoの利用を検討する場合は、できるだけ早期にスタートすることがポイントとなるでしょう。なお、iDeCoの加入資格、加入区分による掛金の上限、運用や受給の詳細などについてはiDeCo公式サイト「iDeCoってなに?」をご参照ください。

老後に必要な金額とは? 現役時点での収入から考える

着実に老後の資金を貯めるためにも、目標額を具体的に想定していきたいところです。退職後は退職直前年収の約7割の確保が目安とされています。

退職した後は
・公的年金
・個人資産からの引き出し
・継続勤務等の勤労所得

などの収入を見込んでいきますが、退職時点での収入は人によりさまざまですし、公的年金の受給開始年齢のこともあります。

仮に継続雇用や雇用期間の延長で勤務できたとしても、一般的に給与の低下は避けられません。つまり、老後の収入を確保することは非常に難しく、生涯にわたる生活資金の準備が不可欠だといえるのです。

貯金が苦手…老後に向けて貯めていく3つのポイントとは

安定した生活のためにも、貯金の得意不得意をチェックして、自分の傾向をつかんでおきましょう。貯めていくポイントについても参考にしてみてください。

【お金に無関心タイプ】
・自分の貯金額・負債額が分からない
・いま財布に入っている金額が分からない
・今週いくらお金を使ったか分からない
・毎月、何にいくら使っているか分からない
・通信費の支払い額を知らない

【お金にネガティブタイプ】
・毎月赤字になる金額の差が激しい
・固定費の支払いに余裕がない
・クレジットカードの請求明細を見ない
・貯金用の口座を持っていない

これらの項目に当てはまる人は、お金の扱いが苦手かもしれません。お金はほしいけれど管理は苦手。お金は出て行っても仕方ない。そのような意識を乗り越えて支出をコントロールしていきましょう。

(1)先取り貯金の増額

給料天引きで財形貯蓄を利用している方も多いでしょう。その金額を段階的に増額したり、給与振込口座に自動積立を設定する方法で貯める金額を増やしていきましょう。退職までの月数を計算すると、貯金のペースを計画しやすくなります。

給与から貯金分を先取りして残りのお金で生活するパターンができると、老後の生活の練習としても役立ちます。

(2)家計簿をつける

不要な支出を減らすためにも、家計簿などで支出の傾向を把握しましょう。外食の回数を抑えるなどの方法で差額を貯金に充てることができます。

(3)固定的な支出を見直す

毎月支出する「固定費」を見直すことで自動的な節約ができます。保険料や通信費などの固定費、毎月利用している通販などを見直すと、カットできる部分が見つかりそうです。

さいごに

どの世代にとっても老後の生活資金は不安なものです。とくに就職氷河期のあおりを受けた世代では今後の資産形成が切実な問題になるでしょう。iDeCoやつみたてNISAといった税制優遇のある資産形成を利用して、効率よく対策していきましょう。

【参考】
「家計調査報告(貯蓄・負債編)-平成30年(2018年)平均結果-(二人以上の世帯)」総務省統計局
平成30年(2018年) 家計の金融行動に関する世論調査」金融広報中央委員会

【ご参考】貯蓄とは

総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。

LIMO編集部