都市部の塾に比べれば、費用は抑えられてはいますが、中学受験をするとなると小学4年生頃から教育費がかかるようになります。学年が上がると月謝も高くなるので、入会した時はお得と感じていても、受験学年になると家計を圧迫するまでになることもあります。

夏休みのほとんどを夏期講習会に通うことになったり、勉強合宿を企画する塾もあるので、親としては入会時の月謝だけでなく、5年生や6年生時の費用も確認することが大切です。また、必要ないと感じた講習会は、時には断る勇気も必要です。大学までにかかる教育費を常日頃から計算し、余計な教育費を出さないよう意識することが必要でしょう。

中学受験が親の自己満足になるケースも

中学受験による教育虐待も、大都市圏限定の話ではありません。我が子が高倍率の中高一貫校受験を突破することが、親のステータスになると考えている人もいるのです。

子供本人は受ける気もないのに、「あの中高一貫校を受験した」ということで箔をつけさせようと企む親もいます。勉強するのは子供なのに、その気持ちを無視して中学受験を押し付ける親は地方にもいるのです。しかし、小学生時代にあまりにも強制的に勉強をさせると、たいていの子は勉強嫌いになります。

また、教育熱心な親同士のトラブルや成績を聞き出そうとする駆け引きに巻き込まれることもあります。「受験するの?」「塾とか通わないの?」と探りを入れるママさんがいたら、上手くかわして近づかないことが一番です。思わぬところでトラブルや変な噂を立てられてしまうこともありえます。もはや「地方だからのんびりと子育てできる」ということではなくなっている面もあるのです。

子供の勉強は目先のことばかりはなく長い目で見ることが大切

首都圏のように多種多様な中学がない地方では、受験を決めても受ける中学の選択肢は限られています。そういうこともあり、受験を決意した子は一様に狭き門に向かって必死に勉強をしています。努力むなしく合格を手にすることができずに打ちのめされる子もいますが、全員が立ち直れるとは限りません。

選択肢が少ないからこそ、「本当に我が子は中学受験に向いているのか」「遅咲きタイプだから高校入試まで待とうか」と熟考を重ねることが大切です。親の方が中学受験に夢中になると、周囲が見えなくなり子供を潰す可能性が高まります。あくまで子供の考えや性格を踏まえて、中学受験をするかどうか判断したいものですね。

中山 まち子