国土交通省が2016年に公表した第6回全国交通特性調査結果(回答回収世帯4万3700世帯)によると、調査日に外出した人の割合、1日の移動回数ともに調査開始以来最低の結果になりました。

とくに20代の男性の外出率は低く、全年齢の男性の平日の外出率が85.2%だったのに対して、20代男性は81.2%。休日は、全年齢男性が61.6%に対し、20代男性は51.1%となっています。
「休日ひきこもり」は年々増加傾向にあるといえるでしょう。

「休日ひきこもり」男子、増加の背景

内閣府の調査によると、中高年のひきこもり数は61万人以上といわれています。ですが「休日ひきこもり」は、平日は仕事に勤しみ休日だけ引き込もるだけなので、この「ひきこもり」には該当しません。

しかし、いつも職場と家の往復ばかりの生活に嫌気がさしてしまう人もいるでしょう。また、周囲の人の中には「休みの日くらい、外で遊んできなよ」「結婚できないよ」など、色々という人もいるかもしれません。

しかし家での過ごし方によっても、その良し悪しは変わってくるでしょう。
体力を回復する、趣味に興じる、勉学に励む、室内で運動をするなど…。家の中で充実した時間を過ごしている場合は、問題ないのではないでしょうか。

しかし増加の背景には、家で過ごす方法の多様化の影響もあると思いますが、金銭的な事情の影響も大きいかもしれません。

国税庁の『平成29年分 民間給与実態統計調査』によると、1年を通じて勤務した給与所得者の1人当たりの平均給与は432万円(男性:532万円、女性:287万円)となっています。

しかし20代前半は262万円(男性:279万円、女性:243万円)、20代後半は361万円(男性:393万円、女性318万円)と全体平均より低くなっています。

20代にとって土日や連休中の割高料金はインパクトが大きく、とくに男性は女性より「おごる」機会が多いものです。金銭的な事情で出かけられない、という人もいるのではないでしょうか。

「帰省ブルー」で悩む人も減少傾向?

エアトリの調査「夏休みの過ごし方」の問いに対して、「帰省、里帰り」と回答した人は17.7%で6位となっています。またお盆と言えば帰省をイメージする人も多いと思いますが、お盆休みの人にしぼっても「帰省、里帰り」は20.3%と6位でした。

「帰省ブルー」という言葉も一般的になってきていますが、お盆に限っては帰省する人は少数派なのかもしれません。

子持ち世帯の中には、「休日ひきこもり」できる人をうらやましく思う人もいると思います。混雑していることは分かっているものの、子どものために外出している世帯も一定数いるでしょう。

しかし夏に限っては、実家や義実家ではなく、家族が行きたい場所へ出かけている人が多いようですね。

こんな「休日ひきこもり」は要注意

うらやましく思っている人もいる「休日ひきこもり」ですが、「何もやる気が出ない」「いくら休んでも体力が回復しない」「仕事に行く気力がわいてこない」といった状態は問題といえます。
精神的・身体的な病気かもしれませんし、仕事にも行けないような「ひきこもり」状態に陥ってしまう可能性も。
今年の夏休みは家でゆっくり過ごしたい人も多いようですが、連休が長いほど注意が必要でしょう。

【参考】
『お盆休みの人の約3割が「9連休」!夏休みの過ごし方、1位は「海外旅行」の一方で、お盆休みの人は「自宅でゆっくり休む、たくさん寝る」が1位に~エアトリが「夏休み」の動向調査を実施~』旅行サイト「エアトリ」調べ
20代男性、休日の外出が30年間で半減~第6回全国都市交通特性調査結果(とりまとめ)~』国土交通省
『平成29年分 民間給与実態統計調査』国税庁

尾藤 ちよ子