お休みと共に気になるのが経済面です。ニュージーランドでは政府がプライマリー・ケアラーに補助金を支給しています。勤務形態によって若干異なってきますが、毎週最高で585.50ニュージーランド(NZ)ドル(約4万2,000円)が出ます。

本人の週給が585.50NZドル以下の場合は通常通りの週給額、それ以上の場合は一律585.50NZドルとなります。支給期間は「プライマリー・ケアラー・リーブ 」とマッチし、22週間。来年7月からは26週間になります。

一方、パートナーに対しては、残念ながら補助金は出ません。それでもカップルで一緒に赤ちゃんの世話をしたいと思う人は多く、1~2週間のお休みを取るのが一般的です。「パートナーズ・リーブ」を取ると無給になってしまうので、皆有給休暇を利用します。

政府が提供する、子どもがいる家庭への経済支援はほかにもあります。「ベスト・スタート」は、1歳以下の子どもが対象です。全1歳児に、1人当たり週に60NZドル(約4,300円)を支給しています。世帯の収入いかんで、3歳まで受けることも可能です。

「ワーキング・フォー・ファミリーズ」は18歳以下の子どもがいる世帯のための補助金です。世帯の収入などによって額は違います。年間所得が6万5,000NZドル(約467万円)以下の家庭のほとんどすべてが、また8万NZドル(約575万円)以下の家庭の多くが、額もさまざまに、この補助金を受け取っています。

創意工夫次第で、倹約生活もまた楽し

大企業の中には、プライマリー・ケアラーが受け取る政府の補助金に上乗せする形で、社員の家庭をサポートするところもあります。ですが、これはほんの一部の企業のこと。一般的に赤ちゃんがいる家庭は、政府の補助金とパートナーの収入で生活をやりくりします。

どんなふうに出費を抑えるかは、個々の家庭で違います。筆者の場合はおむつもおしりふきも布製のものを使いました。頻繁に洗濯しなくてはいけませんが、おむつの値段も気にしなくていいですし、ごみも増えずに済みました。

また母乳で育てたので、人工乳を買うことも、用意することも必要なく楽でした。食事をはじめ自分がきちんとした生活を心がけていれば、それが母乳を通じて赤ちゃんにも反映されるという考え方は単純明解でした。離乳食は手作りを中心にしました。特別に材料を買うのではなく、自分たちの食事に使う食材を少し取り置いて作り、製氷皿で保存しました。

ベビーチェアなどの家具類や服にはセカンドハンドを取り入れました。セカンドハンドグッズはニュージーランド人の生活に深く浸透しています。成長が早い赤ちゃんのためのアイテムにも当然ながら登場します。知り合いからお下がりをもらったり、買い受けたり。お店でも質が良く、かわいいセカンドハンドのものを手に入れるのは難しいことではありません。

食べるのにも困るというのでは問題ですが、赤ちゃんが誕生した時に倹約生活を送るというのは悪いことではないように筆者は感じます。自分の子どもにとって、家族にとって、何が必要で、何が不要なのかが見えてくるからです。赤ちゃんを育てながら、また同時に新しい家族を築きながら培った価値観は、これからの人生にプラスになりこそすれ、邪魔になることはないはずです。

クローディアー 真理