ときとして、相手のことを考えない好意の押し売りは「善意の皮をかぶった悪意」になります。子育て中のお母さんが「ありがた迷惑だな」と感じる好意のほとんどは、相手の立場や気持ちを完全に無視。ただ単に自己満足・自己都合の優しさを押しつけているだけなのです。
そうなると、本当に優しいのは「好意」を押し売りする人ではなく、その「好意」を甘んじて受け入れ、相手の自己満足に付き合ってあげている人なのではないでしょうか。
とはいえ、「あなたは優しい人ね」と慰められて解決する問題ではありません。ときにはき然と、でも相手の気持ちを害することなくお断りする勇気も大切です。

お菓子を大量に持ってくるママ友には「ありがとう。でも、うちの子虫歯になりやすいと歯医者さんに言われたから、遠慮しておくわね」
お下がりを大量にくれるママ友には「ありがとう。でも義理の兄弟からたくさんもらって、収納スペースがないから…これ以上増えると主人に叱られちゃう」
それで気分を害したり、文句を言ってきたりするようなママ友は、友達ではありません。遅かれ早かれトラブルは起こっていたはず。早々にフェイドアウトしていいでしょう。

義母の贈り物攻撃は、ご主人にズバッと言ってもらうのが一番。…ですが、ズバっと言ってくれるご主人なら、モヤモヤは蓄積しませんよね。
そういう場合は「ありがとうございます。でも、子どもや主人が食べないので私が食べることになって、最近体重が増えちゃって…」とユーモア交じりに伝えてみてもいいかもしれませんね。

それは「優しさ」ではありません

なぜこちらが気を使わなければいけないのか…とゲンナリしてしまう、ありがた迷惑行為。「迷惑なんだけど、相手がよかれと思ってやっているから」と思うと、なかなかうまく断ることはできないもの。
でも、自分の好意や善意を押しつけることは決して優しさではないのです。自分が負担に感じるのなら、しっかりとお断りすることも大切。そして、人のふり見てわがふり直せ。
自分が誰かに何かしてあげるときは、それが相手の負担にならないかどうかを考えたいものですね。

大中 千景