インスタは”キラキラ”なママタレだらけ〜産後のリアルを発信してくれるママタレはなぜ出てこない?

2018年11月末、6月に第3子を出産した熊田曜子さんが自身のインスタグラムに、産後4カ月でグラビア復帰した様子を投稿。そこで披露された、細く引き締まったウエストは多くの話題を呼んでいました。そのニュースを見た筆者は、産後3カ月でぷよぷよしたお腹をボリボリかき、お菓子を食べながら思いました。「もう、いいよこういうの」と。

だいぶ前から、すでに飽和状態となっているママタレ界。飽和の一因は、ママタレの皆が皆、“キラキラ”したライフスタイルを発信しているから、ということが言えるのではないでしょうか。今回はママタレについて考えてみたいと思います。

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暮らしのリアルで共感を得る存在から、母・妻・女として完璧な存在へと変化

昔からママタレの需要があったのは、子育て中のママや主婦層からの共感や親近感といった支持を得ていたからでした。子育ての大変さや芸能人らしくない庶民的な暮らしといったリアルを発信してくれることで、多くのママや主婦層が応援していたのです。

しかしSNSが普及して以降、ママタレは子どもと過ごす楽しい時間、手の込んだ料理、掃除の行き届いた家、仲の良い夫婦生活、自分自身の美のお手入れまでもこなす様子を発信している感があります。その内容からは、母、妻、女として求められる役割をすべて完璧にこなしているように見えます。

冒頭で説明した熊田曜子さんの投稿を、否定したいわけではもちろんありません。しかし、先の投稿は「産後4カ月でも頑張れば腹筋は割れる」ことを示し、それはつまり、「産後数カ月経っているのにお腹がたるんでいるのは、ただだらしないからだ」という暗黙のメッセージとして広まっていくという側面もあります。

飽和状態のママタレが影響を与える“ママ”の虚像

実際に筆者の友人は、産後半年が経った頃、育児で忙しない日々を送っている時に旦那さんから「産後なのに全然痩せてないね。サボってない?」と言われたそう。

産後は妊娠によって落ちた筋肉量や開いた骨盤、ホルモンバランスなどで、痩せにくい体質になる人も少なくありません。おまけに忙しい育児生活では、決まった時間にゆっくり食事をとることは不可能に近く、食べられる時に食べてしまわないといけなくなります。授乳期間中であれば、母乳のために多くの水分やカロリーを摂取しなければいけません。

そういったことを知らずに友人の旦那さんは、誰でも出産すればすぐに体型が妊娠前に戻ると思っていたんだとか。そして体型が戻っていないのは、本人がだらしない生活をしているからで、女としてサボっていると批判してきたというのです。

友人の旦那さんのように、出産を経てもキレイな見た目をキープしているママタレを“普通”だと思っている人は、意外と少なくないのではないでしょうか。これは、そのようなママタレが芸能界で一握りではないことも起因しているように思います。

「子どもを出産したとは思えない体型」で「子育て中とは思えないほどキレイ」な見た目のママタレが、かなりの数いるのですから。

多くのママの「ママはこうあるべき」が今のママタレを作っている

しかし、そうしたママタレを見て、「私もこうなりたい」と思うママが多いのも事実。

痩せていてキレイでおしゃれで、家事や育児もこなして、旦那さんとも仲良くて…といった”完璧なキラキラママ”になりたい世の中のママからの支持を得るには、そうなるしかないのがママタレです。ママタレは、彼女たちの求めるものを発信しているだけなのかもしれません。

つまり、多くのママの「こうなりたい」「ママはこうあるべき」といった願望や義務感のようなものが、今のママタレの姿を作っているとも言えます。

母としても妻としても女としても完璧にならなくては。世の中のママが、ママタレを通して知らず知らずのうちに自らに課している役割。もうそろそろ、そういったものから解放されても良いのではないでしょうか。

ママを取り巻くライフスタイルは、ママタレが発信しているようなキラキラしたもの以外にも多様にあります。産後の体のたるみ、産後クライシス、育児の辛さ、夫とのセックスレスなど、影響力のあるママタレだからこそ伝えられるものがあると思うのです。

2019年、「ママはこうあるべき」からママを解放してくれるママタレが出てきてくれることを願うばかりです。

秋山 悠紀

参考記事

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秋山 悠紀

早稲田大学文化構想学部出身。女子高でサッカー部、フリーター、演劇活動、編集プロダクションなどを経て独立。
子育てへの不安から1年半の保育園勤務の後、第一子を出産。
現在、長男を育てながら女性の生き方、子育て、ジェンダー、社会、旅、ドラマ、映画について執筆中。